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富士重工業が軽自動車の開発から撤退&11万台をリコール

2008-04-15 19:35:53 | Weblog
富士重:「軽」生産撤退 「量出ないと苦しい」 高付加価値化進める--森社長 2008年4月12日 毎日
http://mainichi.jp/select/biz/news/20080412ddm008020062000c.html
 富士重工業の森郁夫社長(60)は11日、毎日新聞などのインタビューに応じ、軽自動車の開発・生産から撤退することについて「軽は量が出ないと苦しく、特徴も出しにくい。我々の強みが生かせるところに集中する必要がある」と述べた。今後は、同社が得意とするスポーツタイプの中・小型車開発を強化し「高付加価値路線を進める」とも語った。
 富士重は10日、軽の開発・生産から段階的に撤退し、トヨタ自動車の子会社、ダイハツ工業からOEM(相手先ブランドによる受託生産)で供給を受けると発表。1958年発売の「スバル360」以来続く軽自動車生産の歴史に幕を閉じる。
 撤退について、森社長は「(生産規模で勝る)スズキやダイハツのように頻繁に新車を投入するのは難しい」と主張。富士重は国内の量産乗用車メーカーの中で最も規模が小さく、軽自動車の生産は最下位。若者の車離れなどで販売環境が厳しさを増す中、「規模で劣る我々が生き残るには、独自技術を生かし差別化を進めないといけない」と語った。得意の水平対向エンジンなどを生かせる中・小型車分野に集中するため、薄利多売の軽自動車はOEMで対応することを「うちから(トヨタに)お願いした」という。富士重は水平対向エンジンを載せた小型スポーツ車の開発をトヨタと共同で進めており、トヨタの店でも取り扱う予定で「(トヨタの販売力を通じて)我々のコア技術の良さを見直してもらえる」とした。
 ただ、トヨタとの共同開発は「どんどんやるという意味ではない。(主力車種のレガシィやインプレッサなど)スバルブランドの強化に努める」と強調した。

◇居住性で大ヒット--往年の人気車「スバル360」
 富士重工業の「スバル360」はそれまでにない小さな車体にもかかわらず大人4人が乗れる居住性が大ヒットし、軽自動車のパイオニアとなった。
 限られたスペースで必要な居住性を確保する設計思想は、前身の航空機メーカー「中島飛行機」の航空機開発の考え方が生かされ、他のメーカーにはまねできない車づくりだった。スバル360はコンパクトなボディーと丸みを帯びた可愛らしいデザインから「てんとう虫」の愛称で親しまれ、70年までの12年間で計約39万2000台を生産した。
 富士重は軽自動車人気が高まりを受けた03年以降、軽の車種を増やしたが消費者ニーズをつかみきれず、発売から50年の節目に生産撤退を決めた。


富士重工、軽自動車11万台リコール 2008年4月14日 日経夕刊
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080414AT1G1402U14042008.html
 富士重工業は14日、エアコン部分に不具合があるとして、軽自動車「サンバー」11万4232台(2005年5月―06年12月生産)のリコール(回収・無償修理)を国土交通省に届け出た。エンジンルーム内のエアコン調整装置のクラッチ部分が摩擦熱により発熱し、連続走行すると火災が発生する可能性がある。不具合は06年6月から昨年10月までに32件。うち2件は調整装置から出火した。




 富士重工業が、軽自動車の開発から撤退して、ダイハツからのOEM生産に集約するそうです。
 富士重工業といえば、戦前の中島飛行機(軍用機やそのエンジンの開発などで有名)をルーツに持つ歴史のある企業で、60年代には、軽自動車のスバルシリーズが爆発的に売れたそうですが、最近はスズキやダイハツの軽自動車専業メーカーとの開発競争に(資金繰り的に)ついていけなくなったことや、経営不振の影響で筆頭株主が日産→GM→トヨタところころ入れ変わるなど、不安定な経営を続けていましたが、いざ、あの個性的な名車スバルを生み出した富士重工業が、軽自動車の開発から撤退すると聞くと、やはり寂しいものがありますね。

 それはそうと、富士重工業といえば、前身との関係から航空宇宙部門(業界3位)も保有しているのですが、この部門の将来的な位置づけはどうするつもりなんでしょうね???
 なんでも、トヨタ自動車も90年代に自社エンジンを搭載した航空機を試作し、最近では三菱重工が主体となっている国産旅客機MRJに対して資本参加を発表したことからも、航空事業に全く思い入れがないというわけでもなさそうですが、軽自動車でさえも集約を迫られている現状を考えると、もしこのままトヨタグループ入りするのならば、いずれは事業の集約や再編の波にさらされそう。かといって、トヨタという組織全体からみれば、富士重工業の航空技術部門の優秀な技術者を、営業譲渡などでみすみす同業他社に奪われるのもシャクな話でしょうし、将来的にはこの富士重工業の航空部門の従業員の処遇をどうするのか、どうしても気になってしまいます。

 一方、この軽自動車からの単独生産からの撤退発表から日を置かずに、軽自動車「サンバー」11万台のリコールを発表。ひょっとすると、このリコール騒ぎも、軽自動車からの撤退を決断する理由のきっかけの1つになったのでしょうか…。


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