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現代のお産事情 ニュース × 3

2007-09-01 13:26:56 | Weblog
妊婦搬送先探し、都市も難航 「県境越えは日常」2007年08月31日 朝日夕刊
http://www.asahi.com/life/update/0831/TKY200708310127.html
 救急搬送された妊婦(38)が、多数の医療機関で相次いで受け入れを拒まれ、死産した。昨年8月にも、19病院に受け入れを拒否された妊婦が死亡している。昨年も今回も、悲劇は同じ奈良県で起きた。だが、妊婦の搬送先探しは、同県以外でも、都市部を中心に難航している。
 お産を扱う医療機関が年数カ所ずつ減っている神奈川県。同県には、八つの基幹病院が搬送の受け入れ先を探す「周産期救急医療システム」がある。05年度は依頼があった1655件中、そのまま基幹病院で受け入れたのは26.6%。県外搬送も9.5%ある。搬送先が決まるまで「1~2時間」が20%、「2~3時間」が8%、「3時間以上」も3%。多胎などの17件は、搬送あっせんができなかった。
 川崎市の聖マリアンナ医科大学病院は、3分の1を東京都内の病院に依頼する。産科の井槌慎一郎医師は「医師不足で3年前から当直は2人体制。搬送先探しに、医師を電話に張り付けるのは大きな負担だ」と話す。
 同県は当直医の負担を軽減するため、4月から、県救急医療中央情報センターが24時間搬送先探しを手伝う仕組みを試行中だ。
 搬送先探しが特に難しいのは都市部。05年に、総合周産期母子医療センターで母体の救急搬送を受け入れた率は、全国平均で67%だが、東京・大阪の11施設では44%。1施設あたりの搬送依頼数が多いためで、選択肢が多い分、手間と時間がかかる、という。全国周産期医療連絡協議会は今年3月、「救急搬送態勢は都道府県単位だが、県境をまたいだ搬送が日常的になっている。円滑に搬送を実施するシステムが必要」との提言を出した。
 厚生労働省の辻哲夫事務次官は30日の会見で、「大阪の病院の受け皿情報について、奈良県の主要拠点病院と連絡が取れるシステムを直ちにつくってほしい」と述べた。
 大阪府には、中核的な医療施設の空床情報をまとめた「産婦人科診療相互援助システム(OGCS)」がある。ここに奈良県を参加させるように、との要請だった。
 しかし、府は「奈良県との連携は進めていくが、OGCSの共有化は難しい」という姿勢だ。
 昨年8月の奈良・妊婦死亡問題を受け、近畿と福井、三重、徳島の2府7県は3月、「近畿ブロック周産期医療広域連携検討会」を発足させた。しかし、足並みはそろわない。府県を越えた搬送の調整拠点の選定すら難色を示す府県もあるほどだ。
 大阪府立母子保健総合医療センターの末原則幸・産科部長もOGCSの共有化に異論を唱える。「逆に奈良の態勢整備が遅れる」とみるからだ。
 現在も奈良県からの搬送は日常的だ。本来、重篤な母体・胎児の緊急治療に24時間対応するために構築されたOGCSは、相次ぐ産科の休診などでパンク状態だ。
 末原さんは「本当の重症例が受け入れられなくなる恐れがある。かかりつけ医のいない今回のケースは、まず県内で診て、搬送先を判断すべきだった」と指摘する。

妊婦たらい回し死産 悲劇生む産科医不足 8月31日13時40分配信 産経新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070831-00000913-san-soci
 体調不良を訴えた奈良県橿原市の妊婦(38)の受け入れ先が見つからず死産となった問題は、救急隊が12の病院に延べ16回の要請を余儀なくされるなど、産科医不足という産科医療体制のもろさを改めて浮き彫りにした。少子化問題が国の将来を脅かす一方、産科医の確保には難題も多く「安心して産める体制」をどう築くかが改めて問われている。
 奈良県では昨年8月にも、分娩(ぶんべん)中に意識不明となった女性が19病院から転院を断られて死亡しており、“2度目の失態”となった。
 今回は11病院が受け入れを断り、最終的な搬送先となった高槻病院(大阪府)も1度は固辞した。「ほかに分娩が連続していた」「とても責任を持てる状況ではなかった」などが理由だった。
 奈良県立医大付属病院(橿原市)は3度の要請を断った。当直医2人が当時、他の患者の対応に追われていたからだ。県の担当者は「産科医が多ければ事態を防げたかもしれない」。
 奈良県の産科医療のセーフティーネットは、とりわけ低い。厚生労働省はハイリスクの重症妊婦を受け入れる「母体・胎児集中治療管理室」を今年度中に整備するよう都道府県に指示しているが、奈良を含む6県は未整備。奈良では来年1月の開設が間に合わず5月にずれ込む見通しだ。
 さらに、同県中南部では今年4月以降、休診などが相次ぎ、大規模病院の産科がゼロの状態。同県では昨年4月現在、産科医が75人しかおらず、県医務課は「人口に比べて、あまりの少なさにショックを受けた」。
 産科医不足は奈良に限ったことではない。厚労省の統計によると、医療施設に従事する産婦人科医は、複数の診療科を受け持つ医師を含めても16年末現在、1万555人で、医師全体の4・1%に過ぎない。「深夜呼び出しがあり、医療訴訟も多い産科は、荷重な労働やストレスが多く嫌われる」という。
 与謝野馨官房長官はこの日の会見で「日本の医療制度として欠けているところがある」、舛添要一厚労相も「省を挙げて全力で取り組むべき課題」と述べた。しかし、産科医不足の背景には産科が敬遠されるという根本的で深刻な問題もあり、万全の体制を築くまでの道のりは険しそうだ。

「奈良県の「ドクターバンク」、いまだ登録医ゼロ」 2007年8月30日 産経夕刊
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/life/education/e20070830000.html
 奈良県橿原市の妊婦(38)の受け入れ先病院探しが難航した問題で、同県が今年度スタートさせた産科や小児科の医師OB登録の「ドクターバンク」制度が、いまだ登録ゼロで機能していないことが30日、分かった。また、計3回にわたり受け入れ要請を断った県立医大付属病院(同市)ではベッドが1床空いていたにもかかわらず、医師が別の患者の処置に追われて受け入れられなかったことも判明した。
 奈良県の「ドクターバンク」制度は、高崎実香さん=当時(32)=が昨年8月、分娩(ぶんべん)中に意識不明となり、19病院から転院を断られた末に後日死亡した問題を教訓として整備された。
 奈良県外の医療機関で働く県内出身者の医師や、県立病院を出産や定年で退職した医師OBなどに事前登録してもらい、県内の主に産科や小児科、僻地(へきち)の医療機関で働いてもらう制度で、今年4月に発足。県医務課の職員が、全国各地の医師会や県人会などに足を運び、登録を呼びかけた。
 しかし、退職した医師に接触を試みたくても、医療機関などから「個人情報保護」などを理由に退職医師の名簿提出を拒まれるなど、作業は難航。現時点で接触できた候補者は1人もいないという。
 同制度は他府県でも例があり、医師不足が深刻な産科や小児科の医師の登録をすすめているが、登録する医師がほとんどいないのが現状だ。(以降省略)



 奈良県橿原市の妊婦さんのたらい回し流産事件ですが、現代のお産事情について、見逃す事ができないと思われる記事を3つピックアップしたいと思います。
 まず1つ目の記事は県境を挟んだ分娩が珍しくなくなっているという現実。実際に深夜の緊急手術が必要なケースでなくても、病院の空きベッドやドクターの配置の関係で他の県で出産せざるを得なくなっているケースが急増していますし、私自身も、京都でフリーのお仕事をしている女性から、『最終的には京都市内で産む病院が見つかったが、一歩間違えば滋賀の病院で産むところだった』との生の声を聞いています。
 2つ目の記事は奈良県の中南部で、大規模病院での産科がゼロになっていること。言いかえれば、異常分娩やハイリスク分娩は県の北部の病院にどうしても集まるために、夜間の救急患者は対応しずらくなり、県外搬送の確立が高まっているということなんですね。
 そして3つ目の記事は奈良県としても何の努力もしていないわけではなく、1年前の高崎実香さんの病院たらい回し問題を教訓に、ドクターバンク制度を創設したにも関わらず、応募者がいなかったという厳しい現実。

 いくらフットワークの軽い舛添氏でもこの問題を早急に解決できるとは思いませんが、いくら少子化対策を立てても、肝心の産む環境が整っていなければ、長期的な合計特殊出生率の低下を止めることはできないでしょうし、どうこの問題を解決していくのか、新しく就任した厚生労働大臣である舛添氏の打ち出す対策が注目されるところです。


1 コメント

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マスコミの医療破壊は大成功 (都筑てんが)
2008-12-25 21:19:16
10リットルまでの水しか入らないバケツには、11リットルの水は入りきれません。

1リットルの水がこぼれてしまった事で、周囲の人間が「なんだこのクソバケツ!」と足蹴にしたら、

バケツが凹んで、10リットル入れられたはずの物が、9リットルまでしか入らなくなりました。

…っていうのが、今の日本の医療崩壊(ていうか、マスコミによる医療破壊)の現状。

教訓とかそういう以前の問題。

…。
……。
………。

…マスコミの医療破壊は大成功ですね。
ttp://punigo.jugem.jp/?eid=500
ttp://punigo.jugem.jp/?eid=495
ttp://punigo.jugem.jp/?eid=491
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