石橋みちひろのブログ

「つながって、ささえあう社会」の実現をめざす、民主党参議院議員「石橋みちひろ」の公式ブログです。

経済的徴兵制が日本にも?

2009-07-20 21:11:52 | 書評
雑誌「世界」の8月号に、非常に興味深い・・・というよりは、恐ろしいと言った方がいいかも知れない記事がありました。布施祐仁さんというジャーナリストの「自衛隊・経済的徴兵制の足音」というタイトルのルポです。

布施さんは、日本でも昨今、経済的な理由で「自衛隊を就職先として選ぶ」学生たちが増えていると述べています。「政府によってセーフティネットが破壊された社会」で、経済的に進学が難しかったり、適当な就職先が見つからない若者たちが、自衛隊を唯一の選択肢として入隊しているのだ、と。また自衛隊側も、それに乗じて「ハイスクールリクルーター制度」や、「体験入隊」、さらには「教員対象の研修・見学会」などを活発化して、新規隊員の確保に躍起になっていると報告されています。

以前、堤未果さんの「ルポ 貧困大国アメリカ(岩波書店)」を読んだ時に、アメリカにおける貧困ビジネスの実態、つまり、米軍が各種の経済的特典を武器に、貧困家庭の子弟にターゲットを絞ってリクルート活動を展開しているという事実に戦慄を覚えたことがあります。ところが今や、それは対岸の火事ではなく、日本もそういう方向に向かいつつあるのだと、布施さんは警鐘を鳴らしているのです。

今年5月の有効求人倍率(季節調整値)は0.44倍、最低の青森県では0.26倍でした。「いずれ海外の戦地に送られるかもしれないという怖さよりも、どこにも就職できないのが怖かったんです」というある高卒入隊者の一言を、私たちはしっかりと受け止める必要があると思います。