保津川下りの船頭さん

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角倉了以率いる角倉船に掲げた「舟中規約」其ノ壱

2018-06-17 07:57:07 | 角倉プロジェクト・世界遺産事業
角倉了以率いる朱印船「角倉船」に乗船する条件として掲げた
「舟中規約・其ノ壱」

(原文)
(原文)凡そ回易の事は、有無を通して人・己を利するなり。
人を損てて己を益するには非ざるなり。利を共にすれば、小と雖も還りて大なり。
利を共にせざれば、大と雖も還りて小なり。謂う所の利は義の嘉会なり。
故に曰く、貪之を五とすれば、廉賀は之を三とすと、これを思え。

(訳)貿易の事業は一方にあって他方にないものを互いに融通し合うもので,、
相手にも自分にも利益をもたらすものである。相手に損失を与えることによって、
自分の利益を図るためのものではない。ともに利益を受けるならば、
その利は僅かであっても、得るところは大きい。利益をともにすることがなければ、
利は大きいようであっても、得るところ は小さいのだ。ここにいう利とは、
道義と一体のものである。だからいうではないか、
貪欲な商人か五つのものを求めるとき、清廉な商人は三つのもので満足すると。
よくよく考えよ。

という訳になります。今の時代は当たり前ともいえる「均等な分配」という
貿易のグローバルスタンダードですが、時は16世紀後期、西欧列強が大航海時代として
世界の海に繰り出し、アジア諸国を植民地化していった時代に、
民間でありながら世界的視野に立った「共益の精神」で貿易を実践したことは
当時の世界状況を考えると、その先見性と人間性には驚嘆いたします。

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