保津川下りの船頭さん

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バラマキ依存体質と日本、そして保津川下り

2010-10-03 23:59:38 | 船頭の目・・・雑感・雑記
今日、某新聞社のニュースサイトを見ていると、大阪府が、府在住の私立高校生の
授業料について来年度の新入生から、年収約600万円未満の世帯にまで
無償化を広げる方針を固めたとの報道がなされていました。
これは府が既に実施している年収350万円未満の世帯の生徒の授業料無償化
の枠を拡大するもので、その財源には府職員の給与削減を当て込むというものらしい。
実現すれば府在住の私立高校生約7万人の半数程度が無償化の対象になるそうです。
いつもセンセーショナル話題を提供してくれる橋下大阪府知事。
今度も労働組合側と激しい抵抗にあい、交渉は難航が予想されますね。

今、中学生3年生の子供を持つ、私としてはとても関心のある話題ですが、
ちょっと自分の事とは離れて客観的にみると、国も地方もなんでも「無償化」
今の日本国のこの方向性には、国家としての大局観が欠如し、目先だけを
みている感じがしてかなり疑問を持っています。
公務員の給与削減政策は、回復の兆しが全く見えない現在の経済状況の中
でひっ迫する府財政を考えると致し方ない面もありますが、
庶民の不満の矛先を公務員というスケープゴートへ向かわせているだけでは、
今の日本が置かれている現実、根本的な危機的問題を見誤る危険性があり、
論点がずれるような気がします。

今の政府は政策目玉として高速道路の無料化にはじまり子ども手当て、
公立高校の無償化、農家の戸別所得補償など、バラマキ政策のオンパレード。
今、国家が置かれた現実的な状況を省みず、ただ国民に口当たりのいい
場当たり的な政策ばかり打ち出し「サービスの安売り合戦」に精を出すばかりです。

そんな危機感のない政府が、本当に抱える現実はとても厳しいものがあります。
先頃、IMD(経営開発国際研究所)が発表した「2010年度世界競争力年鑑」によると
1999年には「世界第一位」であった日本の国際競争力が「第27位」にまで
転落しました。
かつて技術大国日本の象徴的存在として世界を席巻した「ソニー」や「パナソニック」
などのリーディング・カンパニーは今、束になって掛かっていっても
韓国のサムスン一社に敵わないのが、悔しいですが現実です。

そんな厳しいグローバル化の荒波のなか、政府は今年度予算を
過去最大の92兆円まで膨れ上がらせました。
税収が37兆円と落ち込んでいることから、赤字国債をこれまた
過去最大の44兆円も発行しました。
国債発行額が税収を7兆円も上回るというは異様な事態です。
戦後、どんなに景気が悪いときでも当初予算の段階で税収を上回る額の
新規国債を計上したことは一度もないのです。

それでもこんな異常な財政赤字でも強気でいられるのは1400兆円とも
いわれる国民の金融資産つまり預貯金があるからなのですが、しかし、
それも住宅ローンや保険などを除いた家計純資産でみれば1000兆円まで
目減りしますし、これに対し国債など金融負債から資産を差し引いた
純金融負債は国と地方を合わせて約500兆円にも達するといわれています。

今年、政府が過去最大の44兆円の国債を発行し、来年もマニフェスト通りの
バラマキ政策を続ければ国債発行額50兆円を軽く超えると財務省は試算しています。
今後、このように大量の国債発行を続けていけば、日本はあと「3年」で
純債務国に転落です。
純債務国への転落が近づけば、日本の信用力は著しく低下し国債の暴落を生み、
金利は高騰するでしょう。
金利が高騰すると利払い費は膨大な額に達し、支払い不能となることは免れません。
そうなると日本は債務不履行となり、かつて「世界第6位」のGDPを誇りながら、
政府のバラマキ政策の影響で、僅か数年で財政破綻に追い込まれたアルゼンチンや
IMF(国際通貨基金)やEUの支援により、国家破綻をなんとか免れたものの、
その引き換えとして国民が重い負担を強いられることになったギリシャと
同じ様な運命をたどることになるのです。

私たちの世代は、巨額の借金によるバラマキ依存体質にどっぷり浸かり、
自分たちの子どもたちにその借金のツケを背負わせることになるのです。
1億3000人が国民が乗っている日本丸の船底の大きな穴が開いていて、
今にも沈み行こうとしているときに、借金で取った一等船客で、テーブルに
並べられたバラマキによる見せかけの高級料理を食べていていいのか?
必ず、次の世代の国民からその責を問われることでしょう。

今、大事なのは無償化による甘いアメを舐めさせられることではなく、
国民一人ひとりが自立して生きる強さを持つ事ではないでしょうか。

何でも依存するという思考の肥大化を防ぎ「今さえよくば」「自分さえよければいい」
という考え方と決別して、自らの知恵と技術で「公のために」という先人たちが
持っていた誇り高い志ある日本国の伝統を守り、自由で力強い国を再生させることが
もっとも必要ではないかと思います。

これから日本が歩んでいく道を考えると、我々保津川下りという観光業も
予断を許さない厳しい時代を迎えることは容易に察することができます。

400年続いてきた伝統の知恵と技術を大切に守りながらもその伝統に胡坐を
かくことなく、必要とあれば思い切った改革に踏み切り、自らの力で
生き残っていかねばならないと強く感じています。

我々の仕事は世界情勢に大きく左右され、経済状況が直に影響する仕事
であるという自覚を持ち、先人たちがそうであった様に、方向を間違うことなく
時代の現状をしっかり読み取っていかねばなりません。

今、我々の目前にも大きくうねりをあげた激流が迫っています。
この激流にのまれない為にも、正しい判断にもとづく確かな舵取りが
我々の世代に求められているのです。


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