保津川下りの船頭さん

うわさの船頭「はっちん」が保津川下りの最新情報や、京都・亀岡の観光案内など、とっておきの情報をお届けします。

世界の「水」がなくなる?

2005-06-09 23:32:15 | 船頭の目・・・雑感・雑記
「20世紀は石油の争いであったが、21世紀は「水」を
めぐる争いの時代になるだろう」
とは世界の識者が口を揃える言葉です。

船頭と「水」は切っても切れない関係ですが、
今、水の惑星・地球で深刻な「水の危機」が
進行しているのを皆さんご存知でしょうか?

私はっちんも恥ずかしながらこの深刻な事態を
2年前、京都で開催された国際会議「世界水フォーラム」
で知らされるまで、全くの無知な一人でした。

この開催時に、私はある雑誌の編集に関わっており、
この「世界の水問題」を特集した事で、深い
内容を詳しく知るに至ったというわけです。

そこでは水に恵まれた国・日本では夢にも思えない
衝撃の事実が、次々と報告されていたのです。

今、発展途上国を中心に世界各地で「水不足」
「水質汚濁」「洪水被害」等が日常的に発生し
多くの人の命が危機に晒され、これを起因として
「水」をめぐる紛争が各地で勃発しているのです。

昨日の新聞紙面にも「中国の多くの川の90%以上が、
工業排水により水質汚濁が進み、周辺住民の生活を
脅かしている」との記事が記載されるなど、年を追う後とに
「水危機」の深刻さの度合いは高まっているのです。

水惑星といわれる地球ですが、その水の97%が海水で、
残り3%が人の命を支える淡水なのです。でも、その
大半は極地の氷河や水蒸気、雲などの大気中にあり、
私達が使える川や湖、降雨など表淡水は僅か0.006%に
過ぎないのです。その中で、60億を突破した世界人口を
支えてゆかねばならず、人口増加が著しい発展途上国では
慢性的・絶対的な水不足によりる食糧難が、紛争を起こしています。

年間「水問題」で命を落としている人は発展途上国を
中心に500万~1000万人です。
人口増加に伴う一人当たりの水量の低下は食糧難を起こし、
その僅かに手に入る水も汚染され、病気に感染し死に至るという
悲惨な状態なのです。

この悲惨な事態を受けて、私達日本に住む者が、まず押えておきたいのは
この世界で起こっている悲劇に私達日本人が無関係ではないという事です。

日本は、世界では珍しく水の豊富な国です。
「水問題」といってもひと夏の渇水時しか思い浮かばない
馴染みのない問題です。

世界で争いが起こる様な深刻な事態といわれても、
日常生活に特に苦痛も感じないから感覚的にも
実感がわきません。

人が最低限生活するに必要な水量50リットル以下で
暮らしているいる国が62ヶ国・22億人もいて、これは
世界人口の3分の1に相当します。
しかし、私達のライフスタイルは、シャワー使い放題、
洗濯機の水は全自動、そのまま飲めるのに浄水器、
トイレまでウォシュレットです。

深刻な「水問題」も所詮は対岸の出来事。
少しのヒューマニズムもあるから、心が痛み
寄付や募金でもして、納得させるくらいです。

でも、世界の人達が「水」の問題で苦しんでいる
事態に、私達にも原因があるとしたらどうでしょう。

日本は農作物から工業製品、木材に至るまで、
殆どを輸入に頼っています。

それら製品は、現地の大量の水を使って作られており、
これを間接水とも仮想水とも呼んでいます。

たとえば、毎年500万t輸入される大豆の生産に必要な
水は22億t、これに家畜の餌となるとうもろこしなどを
合わせると52億tもの大量の間接水が使用されているのです。

この様に、輸入で入ってくる物資・製品全てに間接水が
使用されているのですから、物凄い量の水が
私達の豊かな生活を確保する為に、消費されているのです。

しかも、その現地の人達は、僅かの水しか与えられず、
その水も工業排水で汚濁しており、幼い子供達が
毎日死んでいるのにです!

私達は今、世界で起こっている深刻な
「水危機」の当事者なのです。

この問題解決に私達は、正面から向き合う
義務と責任があると考えます。

この「水問題」に対して新たな世界システムを構築しなければ、
20年後には深刻な事態を招く事は疑う余地がない、とまで言われる
この問題に私達日本人が出来る事は何なのでしょう?

あくまでも一国生き残りで、生存競争と経済競争を
推し進めていくのでしょうか?

「彼等の涙と犠牲の上に、私達の豊かな暮らしがある」

この事に気付く鋭い感性、その意識を高めることが
問題解決への出発点になると信じたいです。

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
7世代後に美しい地球を! (バリトン)
2005-06-10 00:58:57
はっちんさん、こんばんわ。



水問題。 まさに現実の問題で日夜進行しています。 ほとんど毎日使っているのに、身近かすぎて実感がでにくいですし。

その分、注意して、見て考えていないと気付かないですね。



自分で出来ることを少しずつやっていってます。

それがすこしでも前進することになれば、と。

まわりを変えていくには、自分からしないといかんし、それがいちばん早いから。



フロの水は必ず洗濯へ。 お湯のうちに洗濯するので洗剤いらず。 塩と炭で洗います。結構落ちます。たまに重曹なんかもつかったり。

台所も使ったらすぐに洗えば簡単に落ちるし、油物はクズ紙やボロで拭いて。 これも洗剤いらず。

フロではせっけんは使いますが、その他はなし。 シャンプーよりお酢のほうが髪もしっとり。



たったこれだけでも簡単に節約&汚さずにすむし、あとが楽かな。

もう1年以上になりますが、慣れですね。

慣れると、これが普通になり、次はなににしようかなーって、おもしろ感覚でやれば、続けられますよー



簡単ですぐできることだと、いろんなひとに伝わって、実行できそうな気がします。



実はいま書いたことは、小笠原のプーランビレッジという宿で、すでにずっと前から実践されていることなんですよねー

でも、お気楽にできるところが、すごい気に入って、真似させてもらっています。

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何が出来るのか? (はっちん)
2005-06-10 02:42:06
バリトンさんの実行しておられる節約運動も興味深いものがありますね。水の恩恵に感謝する精神、質素倹約を美徳とする心に繋がるものだと確信します。この問題の根深さは水に恵まれている、私達日本人がいくら水の節約に励んでも、世界の水事情解決に影響が薄いという点だと思います。問題は間接水や仮想水の削減、急激な工業化で追いつかない処理施設の整備、そして最も大事なのが、自然という「天の与え」をお互いが公平に分け合うという人類愛でしょう。

これは夢物語かもしれませんが、人類が欲望と利己心の肥大を見直し、幸せの価値観を変革させる

事が必要だと思います。

もし出来れば間違いなく‘人の進化’です。



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意識の変革 (バリトン)
2005-06-10 18:49:29
はっちんさん、 こんばんわー



そうですねー グローバルなこの問題において、

いったい自分になにができるか・・現実感がともなわずどうしたらよいかと思ってしまいがちになりますが、

自分はこんな言葉でもって、自分に、まわりの人に、現況を知ってアクションを起こしてもらおうと、考えて行動しています。



「足るを知る」 「地産地消」 「もったいない」

エネルギーの移動や消費、使用が水や空気などの”限りあるもの”を消費していくことになりますから。

自らの消費、生産、活動を見なおしていくことが、はじまりの1歩だと思います。

まずは現況を知る、知ってもらうことが大切ですね。啓蒙でしょうかねーー

人の意識の変革こそがマンパワーであり、”変った”ということになるのでしょう。



なんだか長文になりすいませんーー

南太平洋のモーリシャスなどの海面上昇による国土の喪失など、状況は危急になりつつありますね。
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人の意識は・・・ (はっちん)
2005-06-12 00:11:44
バリトンさん、こんばんは。

バリトンさんの意識の高さ、熱情に感動しております。さらに自らも活動されているご様子。さすが浜省を愛する方ですね。

人の歴史は約1万年前に文化というものを手に入れてから、物質的な繁栄を求めて生きてきたといえます。その満足感は今日の満足ではなく、明日の繁栄に焦点があったのでしょう。それを支えた価値観は常に強者が弱者を淘汰し、優秀な者が劣った者を選別するという生存競争の歴史です。

繁栄はいつも勝利者の上に輝いてきたのでしょう。しかし、この物質的繁栄が極限に来て、環境破壊や原子力という近代科学が地球上の一切のいのちの滅亡すら可能にした今日、どう生きれば人は生存できるのでしょう?

人は愚かな者です。でもその愚かさを他人事としないで、自分自身の中にある欲の心、物質欲だけでなく、名誉欲、性欲などが必ずあるのだという事を見据え、その熾烈で執拗な心をごまかすことなく我が事として考えたいと常に思っています。私達はこの地球上のもの、自然の中にあるもののお陰で日々、生きていく事ができているのは間違いない事実です。酸素一つ欠けても生きてはいけません。

私達は自分の力で生きているのではなく、つまり‘生かされて貰っている’という事だと思います。この大自然はもちろん、地球に生きる全ての生命を創造したものがあるなら、生かされている喜びを素直に感謝したいと思います。

この謙虚な心が破滅を回避できる出発点になるような気がします。
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水問題 (もが)
2005-07-19 21:09:43
今まで、地球の水問題がこんなに深刻になっていたなんて

考えたこともなかったです。

私が住んでいる四国は、雨が少ない気候ということもあって

水不足の問題には、しょっちゅう直面しているというのに。



今の私にできることは限られているのかもしれないけれど

せめて、「心がけ」からでも始めたいものです。
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意識する (はっちん)
2005-07-19 23:31:45
もがさん、コメントありがとうございます。

これほど問題が大きいと、私達になにができるのか?

どれから手をつけていいか分からなくなるのですが、

とりあえず、事実を知ることから意識が変わると

思います。意識が変われば、行動はおのずと出てくるものです。「心がけ」から始めるというのは、大変素晴らしい

ことだと思います。もがさんもその豊かな感性に拍手を

送りたいです。

意識する!この気持ちをお互い忘れたくないですね。
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