保津川下りの船頭さん

うわさの船頭「はっちん」が保津川下りの最新情報や、京都・亀岡の観光案内など、とっておきの情報をお届けします。

鴨川には二つの呼び名が?

2004-12-27 23:07:11 | シリーズ・京都を歩く
京都の川と聞かれて一番に思い浮かぶ川とはどの川でしょうか?

保津川下りの船頭をしているはっちんとしては「保津川!」と
いって欲しいところですが、残念ですが違うみたいですね。

京都の川といえばやはり「鴨川」が一番人気なのです。

京都の中心地を流れ、三条、四条周辺は京の夏の風物詩・「納涼床」や
カップルが均等間隔で座ることで有名な憩いのスポットとして
多くの人たちに親しまれているのはあまりにも有名です。

また、平安京遷都以来、1200年もの間、京都の歴史を見続けてきた川でもあり、
山紫水明の地・京都の象徴であるとともに、氾濫・洪水で度々都人を
苦しめ、時の大権力者・白川法王をして
「鴨川の水と賽の目、叡山の僧兵は意のままにならないもの」と
三不如意あげるほどの暴れ川でもあったのです。

そんな「鴨川」。上流と下流では同じ「かもがわ」でも
漢字が違う川名になっているのをご存知でしょうか?

大原から流れてくる高野川との合流点・出町柳を境に、
上流を「賀茂川」、下流を「鴨川」と二つの呼び方に分けているのです。
ではどちらが正しい呼び方なのでしょうか?

保津川も大堰川、桂川など呼び名を変えて下流に流れて行きますが、
「かもがわ」は呼び名は同じで、漢字が違うだけなのが不思議でした。

謎は解明しなければ気が済まないはっちん。少し調べてみました。
河川管理者である京都府土木事務所に聞くと「鴨川」が正式な名前で
これは明治政府により制定されたそうです。

しかし、今でも地図には二つの呼び名で書かれています。
地元の人に聞くと「昔ここに住み着いた賀茂氏という豪族が名付けた」と
いうことが分かってきました。

平安遷都以前の昔、大和の国から賀茂氏という豪族がこの川の流域に移住し、
勢力を誇っていました。その賀茂氏が農耕神を祀る県主神社として建てたのが
上賀茂神社と下鴨神社といわれます。

賀茂氏は河川に沿うこれら神社の名前及び土地名を取り、振り分け、
上流にある上賀茂神社付近を流れる川を「賀茂川」
下鴨神社がある高野川合流点から下流を「鴨川」と
呼ぶようになったのが二つの呼び名で分けられる理由らしいのです。

三条大橋や四条大橋から眺める「鴨川」は、北山まで一直線に見渡すことが
でき、碁盤の目に整備された京都のダイナミックスさと美しさを実感できます。

また、上流の「賀茂川」は、なだらかな川堰の段差が清らかな流れを
より一層際立たせ、背景の美しい北山の山波と相まって、
京都の雅を象徴する清らかな風景が広がっています。

上流も下流も1000年の古都・京都を象徴する美しい川、
それが「かもがわ」なのです。

有史以来の雄大な自然を残す我が「保津川」とは
正反対の美しさをもつ「かもがわ」。

ともに京都を訪れる人を魅了する「川」。
この川河の流れが永遠にある限り、この京都は
これからも多くの人達に愛されていくことでしょう。

*写真は四条大橋から北山を望む「鴨川」です。
 夏には左岸のお茶屋さんが「納涼床」が出されます。