百休庵便り

市井の民にて畏れ多くも百休と称せし者ここにありて稀に浮びくる些細浮薄なる思ひ浅学非才不届千万支離滅裂顧みず吐露するもの也

NHK-Eテレ 「クラシック音楽館 ~ バイオリン 500年の物語」 は   たいそう勉強になりました

2017-08-29 16:41:09 | 日記
   
 H29.7.23 放送の NHK-BSプレミアム「クラシック音楽館 ~バイオリン500年の物語」は、クラシック音楽初心者と言える老生にとりましては、とてもタメになる番組でありました。

バイオリンが現在と ほぼ同じ形になったのは、今から約500年前、16世紀 ルネッサンス後期の 北イタリア、特にクレモナのアマティが礎を築いてからの250年間は オールド・イタリアと呼ばれる名器が 数多く輩出されたとの由。

中でも代表的なのが この ↑ 写真、史上最高の名バイオリニストと言われるパガニーニさんの持つバイオリンを作った ガルネリ・デリ・ジェスさん、そしてこの方 ↓ 93歳で亡くなられるまで 1000丁以上作ったと言われてる アントニオ・ストラディヴァリさん、このお二方の作ったバイオリンは 名器中の名器と言われ双璧、現在に於いても バイオリニスト垂涎の的とのこと。



番組では ストラディヴァリの いったいどこが優れているのか、愛知淑徳大学 牧 勝弘教授の、① 1KHz付近の帯域で正面への音の放射 および ② 音の上下方向へのユラギがある のはストラディのみという分析結果が示され、名古屋在住の バイオリン職人 窪田博和さんの視点、板厚調整を施し 手でコツコツ叩いた音の高さを同じであることも、音の響きを良くするポイントであることも紹介されてました。もちろん ストラディも このようであるとのこと。

そして完成度を一気に高め 素晴らしい音色となったバイリンは、踊りの伴奏に採り入れられ、さらに組織化され

これが オーケストラの原点となり、モンティヴェルディさんの出現をみて、バイオリンを使った音楽表現が 劇的に、飛躍・発展したとのこと。




次に 名バイオリニストさんの系譜はどうなっているかといいますと

まずは アルカンジェロ・コレッリさん。




そしてご存知 アントニオ・ヴィヴァルディさん。番組では ジェームス・エーネスさん+N響メンバーさんによる、お馴染み「四季」の 春夏秋冬、それぞれ ええとこ(楽章)取りした、謂わば キラキラ煌く 宝石箱が如き の演奏もありました。





それから「近代バイオリン奏法の父」と呼ばれ、弓の形状を変革し 現在の形にした ジョヴァンニ・ヴィオッティさん。




さてお次は、この方を書き留めたいがために本投稿を発意したと言えるほどのキーパーソン。オイラは ラフマニノフさんが作曲された 演奏時間は 2分44秒と非常に短いですが、「パガニーニの主題による狂詩曲 作品43:第18変奏」という楽曲が ことのほか好きでございまして、当該 CD はもとより、その歌「星に願いをかけて」英題「Wishing On A Ster」が聴きたいがばかり、増田いずみさんの「ロミオ&ジュリエット」という CD も購入してまして、さらに 死ぬまでには、原曲に沿ったオイラ流の詩作り、♫ もしあのとき貴方に出逢わなければ いま私 ここにいないわ 空をさ迷いこの世にいないわ そうよ宿命なの 貴方と出逢うこと だから結ばれた とても幸せよ あなたが好きよ こころから 好きだから生きられる・・・♫ というようなコトバを綴った詞を作り上げたいとも思ったりしてるのですが、、、、
そうです、その方は 史上最高のバイオリニスト、ニコロ・パガニーニさん その人であります。





 

次いで ブラームスさんの 生涯の友人 ヨーゼフ・ヨアヒム さん。




パガニーニさん以来の最も偉大なバイオリニストと讃えられた ヤッシャ・ハイフェッツさん。





ソ連を代表する 伝説のバイオリニスト ダヴィッド・オイストラフさんと 
ユーディ・メニューインさん。 


以上でございますが、最後までご覧いただきました皆様方に、および当番組を制作されました
NHK-Eテレ クラシック音楽館さんに 深く感謝申し上げます。誠に ありがとうございました。


 < 備 考 > H29.11.22 追
当番組で演奏の ほとんどの楽曲は、このように、CD化 しています。Good !!! です。




 < 追 補 > H31.1.9 記 
H30.12.30 付ブログ『本邦初、ニコロ・パガニーニさんの評伝を書いて下さった 浦久俊彦 さんに感謝です』は、上稿補足記事につき、以下に コピペ添付 いたします。

 オイラは クラシックの小品では、ショパンさんの『ノクターン(遺作)』とかも めっちゃ好いですが、同じくらい フェルナンド・ソルさん作曲の『モーツァルトの「魔笛」の主題による変奏曲』というギター曲も、ラフマニノフさん作曲『パガニーニの主題による狂詩曲 作品43:第18変奏』も好きであります。(ただ どちらも、主題と銘打っている元の旋律なるものを、突き止められてないのですが)

とりわけ 後者に対する思い入れは強く、H29(2017).8.29付 当ブログ『 NHK-Eテレ「クラシック音楽館~バイオリン500年の物語」は たいそう勉強になりました』で記してますが、この方に関し もっと詳しい情報を得たいという願望を持ち続けてましたところ、待ち詫びたと言いますか、H30.8.19 産経新聞 於、このような本の紹介記事が齎(もたら)されたのです。
 
オイラは飛び付きました。見て 読んで、感心しました。以来 ブログ化を思い続け、年の瀬の今になって やっと、実行に移せているということです。

まず、これら参考文献リストをご覧下さい。外国語オンチのオイラにとっては、これをを見ただけで感激してしまうのですが、4年の歳月を掛け、これらの文献を探し 読破し、何回も現地(ヨーロッパ)を踏み、オイラが知りたかったことを書いて下さっているのです。
 
 
           
その本は 新潮新書『悪魔と呼ばれたヴァイオリニスト~パガニーニ伝』。著者は、20年以上 ヨーロッパ暮らしの経験をお持ちの 文化芸術プロジューサー 浦久俊彦さん 57歳。
        
                 
では、オイラが当ブログに残しておきたい具体的内容、意訳でありますが、列記します。
● P5 パガーニさんとはどういう人か簡潔に纏めた文章があり、転記します
 その驚異的な技巧でヨーロッパ中を狂乱させ、「悪魔」と呼ばれたヴァイオリニストである。ナポレオンの妹など、貴婦人たちに囲われ、博打と酒と女に溺れた守銭奴。ヴァイオリンを片手に、かってどんな音楽家も夢見ることすらできなかった巨万の富を築き、病弱で干からびたように死んでいったひとりの音楽家。ヴァイオリンの 5世紀に及ぶ歴史の中で、パガニーニに匹敵するヴァイオリニストは、現在にいたるまで ただのひとりも現れなかったということだ
● P11 「パガニーニ・ショック」ともいうべき、この社会現象が 19世紀ヨーロッパにもたらした衝撃と波紋は、到底ひとりの音楽家の伝記とか、音楽というジャンルに収まるようなものではない
● P28 イタリアという国の誕生は、今から約150年前で、パガニーニ没後 21年のことでしか過ぎない
● P33 貧しく俗にまみれた家庭であるが、音楽に親しむ環境であった。1796年 9歳で ジェノバの教会で初演奏会、万人の賞賛を浴びる。
● P34 10歳くらいの時、『カルマニョーラ変奏曲』作曲
● P37 1786年 ベートーベンのヴァイオリンソナタ最高傑作『クロイツェル・ソナタ』の由来になった、フランスの名ヴァイオリニスト クロイツェルが 30歳時、14になったばかり 超イケメンの パガニーニの超人的演奏技法に「まるで悪魔の幻影を見ているようだった」と驚嘆。
● P39 高速スタッカート スピッカート ダブル・フラジョレット ピッツィーカート 広域アルッペッジョ スコルダトゥーラなどの特殊奏法をふんだんに盛り付けした独自の演奏であったが、そのベースは イタリアの巨匠 ヴィオッティーの弟子のデュランに繋がるものでなかったか
● P43 パガニーニの演奏の特色を成すものは、超絶技法と、それを裏打ちする 音階だけで聴衆を酔わせることのできる 正確無比な音程を完璧に表現できる超高感度な耳を持っていたことだ
● P61ほか ナポレオンの妹(長女)エルザ、次いで絶世の美女と称されたポーリーヌ(次女)の囲われ者となる
● P68 ナポレオン一家と離れた後、18年間にわたるイタリア半島を巡る大コンサートツアーで、「世界一のヴァイオリニスト」との称号を得る
● P74 ローマ教皇レオ12世から、騎士勲章としては最高位(全体では2番目)の黄金拍車勲章を授かる
● P72 代表作は「無伴奏ヴァイオリンのための二十四のカプリス」と 6曲のヴァイオリン協奏曲か
● P77ほか 45歳、1828年から6年間、ウイーン べルリン パリ ロンドンと、ヨーロッパツアー。ここで(老生は、ビートルズをも遥かに凌ぐ、現在でも比類なきものではなかったかと思ってます)空前絶後の超超巨大旋風を起こす。
・これまで音楽家がエンターテーナーとなったことはなかった
・パフォーマンスという概念が初めて採り入れられた
・初めて下層階級まで含んだ圧倒的多数の大衆を巻き込んだ熱狂を生んだ  
・初めて音楽家が巨万の富を稼ぐ実績を作った
・ウイーンではパン ケーキ 料理 ステーキ ハンカチ ネクタイ パイプ タバコケース等々、パガニーニグッズが大流行
・4年前のベートーベンのウイーン公演の収益は 880フローリンだったが、パガニーニの 4ヶ月 14公演では 28,000~42,000フローリンだった
・ただこの時点では、歯は既に無く 痩せ細っていた
● P100 パリ オペラ座 7週間11回公演於、栄光は頂点に達する
・音楽家 画家 作家 詩人 王侯貴族 政治家 銀行家など ありとあらゆる著名人が集った
・批評家ブラーズは「所有物を売り払え。全部質に入れてでも聴きに行け! 最高の驚嘆 最高の驚き かって起こったことのない素晴らしい奇跡 悪魔は紛れもなくパガニーニだった」と論評する 
・ドラクロウは このとき上掲の肖像画を描いた
・本オペラ座公演だけで 165,751フラン(約1億5000万円)も稼いだ
● P107 1831年 イギリスツアー
・ザ・タイムズは「パガニーニはおそらく史上最高のヴァイオリン奏者であるだけでなく、神の域に達した唯一の人間だ。彼を適切に判断するには、演奏を聴くべきである。彼は疑問の余地なく、現代でも過去でも最も秀でた音楽の天才だ」と
・ロンドン 6公演での収益は 10,212ポンド(12億円)
・英国 1年間 151回公演の収益は、彼の体重の5倍の純金に相当したとの証言あり。円換算すると約80億円に相当
・但し 体は、廃人も同様 ボロボロ状態に衰え果てる
● P114~ 同時代に生きた音楽家に対し、良い意味での、めちゃめちゃ強烈なトラウマ弾をブチ込んだ
    ご参考までに 生存年を列記してみます
     ベートーベン  1770 ~ 1827
     パガニーニ   1782 ~ 1840
     ツェルニー   1791 ~ 1857
     ロッシーニ   1792 ~ 1868
     シューベルト  1797 ~ 1828
     ベルリオーズ  1803 ~ 1869
     ショパン    1810 ~ 1849
     シューマン   1810 ~ 1856
     リスト     1811 ~ 1886
     ブラームス   1833 ~ 1897
     ラフマニノフ  1873 ~ 1943
・上記のほとんどの音楽家が「パガニーニのテーマによる・・・」を書いている
・リストは「ピアノのパガニーニになる!」と宣言
・シューベルトは家財道具を売り払いチケット購入。「天使の声を聴いた」と感動
・ロッシーニは生涯 3回しか泣かなかったが、1回はパガニーニの演奏で号泣した分
・ツェルニーは感銘を受け、二つの作品を書いている
・ショパンとしては「パガニーニの思い出」という異色のピアノ変奏曲を作っている
・文豪ゲーテも詩人ハイネも パガニーニに関する文章を書いている
・シューマンはパガニーニの演奏を聴き、法律家でなくピアニストになる決断をし、遺作は パガニーニの『二十四のカプリス』のピアノ伴奏付き編曲であった
・パガニーニはベルリオーズに賛辞を送るとともに経済的支援を行い、彼の困窮を救った
● P156 1840年 57歳で逝去 体のあらゆるところが不全に陥いる凄惨な死であった
・遺産は動産 不動産合わせ 200万リラ以上
・特筆すべきは弦楽器のコレクション
     4挺のグァルネリのヴァイオリン
     2挺のアマティのヴァイオリン
     7挺のストラディヴァリのヴァイオリン
     2挺の   〃    のヴィオラ
     2挺の   〃    のチェロ
● P196 パガニーニの愛器は「カノーネ」と呼ばれるグァルネリ・デル・ジェスで、現在 ジェノヴァ市庁舎となっているトゥルシ宮殿に保管されている
● P213 38歳 『無伴奏ヴァイオリンのための24のカプリス』『ギターとヴァイオリンのための6つのソナタ』『3つのギター四重奏曲』出版
● P190 P202 ストラディヴァリは 約2000挺製作(ほとんどヴァイオリン、ヴィオラは18挺 チェロは21挺)した
・半世紀後登場した アントニオ・グァルネリただひとりが、ストラディヴァリウスを凌駕するヴァイオリンを作った
・ただしその数は、100挺から多くても200挺しか作られてない

だいたい以上が小生が注目した内容ですが、オイラの知りたいことはほとんど記載されてて、たいへん嬉しく有り難く、オイラにとりましては、今年度ナンバーワンの本と言えるぐらいのものでして、著者の 浦久俊彦さんに、深く感謝申し上げる次第でございます。

< 追 伸 > R1.9.11 記
 R1.8.30 NHK-BSP『クラシック倶楽部』で、ヴァイオリニスト:コリア・ブラッハーさん &
ピアニスト:オスカー・アイデンさんがご出演の、ふたつのヴァイオリン名器を聴き較べるコンサートが放送されてますので、ここに参考情報をメモしておきます。
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       ベートーベンさんのバイオリンソナタは、ストラディヴァリウスです

 R1.9.3 NHK-BSP『プレミアムカフェ』では、H13(2001)年放送の『地球に好奇心~ストラディヴァリに挑む』という番組の再放送がありまして、クレモナ市役所保管のヴァイオリンが紹介されてました。
.....

 < 追 伸 > R1.10.14 記
 R1.10.13 BS-TBS さんで 映画『博士が愛した数式』が放映されましたが、
その中に、1866年 ニコロ・パガニーニさんが 16歳の折、1184 と 1210 の友愛数を発見した旨 教えている場面がありました。友愛数とは その数字の約数を全部 足すと、相手側の数字になるという組み合わせを言い、220 284 の友愛数は、ピタゴラスさんが発見されたとのことです。
    220 → 1+2+4+5+10+11+20+22+44+55+110 = 284
         220 = 1+2+4+71+142 ← 284

            パガニーニさんは、数学も 天才の域だったようです。

 < 追 伸 > R1.10.19 記
 R1.7.1 NHK-BSP『プレミアムシアタ-』で放送の、ワレリー・ゲルギエフさん指揮 マリインスキー劇場管弦楽団さんによる ラフマニノフさん作曲『パガニーニの主題による狂詩曲』約22分20秒 を、収録できています。なお ピアノは ダニール・トリフォノフ さんです。

待ちに待った楽曲でして、オイラの大好きなとこは、14分30秒過ぎから流れてきます。




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