百休庵便り

市井の民にて畏れ多くも百休と称せし者ここにありて稀に浮びくる些細浮薄なる思ひ浅学非才不届千万支離滅裂顧みず吐露するもの也

刹那の煌きをキャッチする 神懸かり的カメラマン 保山耕一さん ~ NHK-Eテレ『こころの時代~宗教と人生~命の輝きをうつす』より

2019-06-29 21:03:20 | 日記
 本稿は、H31.3.2 NHK-Eテレ で放送された『こころの時代 ~ 宗教と人生 』『命の輝きをうつす』に甚く感動したオイラの 備忘録であります。

番組は、6年前 余命数ヶ月と宣告された 奈良市在住の映像作家 保山耕一(ほざんこういち)さんの、生き方 考え方 作品世界について述べられた、謂わばドキュメンタリー番組とも言えるものでありました。
:
オイラが氏の何に共鳴し感動したのかと申しますと、とりもなおさず 氏の捉えられた映像の 突出した美しさというものが挙げられるのですが、そういった作品を生み出した 氏の考え方

・諦めず 極めて粘り強く 真剣に模索し 突き詰めた先でしか 極上の美は見いだせない
・しかもそれは ほんの一瞬の 奇跡の輝き と言えるようなものであり
・それは、己の能力の上に さらに別の力が付け加わったように感じられ、つまり
・まるで、神様が お恵み下さった光景であるかのように 思える
・そして 余命数ヶ月というのを このように生き存えさせてもらっているのは、そういった
 本当の美の存在というものを、多くの人々に詳らかにするいう役割を果たすための
 その時間を 神様から授けていただいている、ということではないだろうか

に、心底 ココロが揺り動かされたからに他なりません。

では いったい氏が、どれほどの美に対する切れ味を有しておられるのか、オイラはこれを見、ゾクッとすると同時に、それはもう 感動させられたのでありますが、まずこれをご覧下さいますか。

新月は真っ暗で見えなく、認識できるのは 3日目か4日目というのが一般的ですが

実は 月は、2日目から顔を見せてるのだと。

日没後 追い掛けるように、糸を引くようなお月さん、一番キレイな 生まれたての お月さんが、このように ほんの短い間 出てるのだと。

オイラは これほど繊細なお月さんを見るのは、もちろん初めてのことであります。

 では、保山耕一(ほざん・こういち)さんとは どういう経歴の方なのかなど、箇条書きします。
・昭和38年(1963) 奈良で生まれ
・高3時、学園祭向けに作った映画を見たお客さんが泣いてくれたのに感動
・カメラマンになることを決意、アシスタントからスタート
・研鑽を積み、あらゆる撮影機材を使いこなす
・特に 特殊機材の扱いに長けた フリーカメラマンとして頭角を現す
・H25(2013)年 50歳時、白神山地の仕事の後、倒れる。末期直腸ガン 余命1,2ケ月との診断
・直腸と大腸の一部 全摘手術、しかし肺へも転移してしまい
・化学 放射線 抗がん剤治療 および孤独感に苛まれる日々に、七転八倒 悶え苦しむ 
・5年後の生存率 10%と宣告され、でも3年は生きたいと思うも
・TVカメラマンの仕事は もう無理と覚り、でも30年間 カメラマンやってきてるので
・それしかでけへん、そんなら故郷 奈良を撮るんや
・奈良公園(春日大社や飛火野)を撮るんやと、ある日
・スマホで撮ったら、しんどいのを忘れることができ、夢中になれ、生きてるやん!!! と思え
・また 見慣れている風景が 別の見え方をしてきたと
・特に ”色” に対する感覚が、とてつもなく鋭敏になってきたと自覚





大賀ハスは、日が昇る前の2,3分、特別の色で 微笑んでくれてるように見え

春日大社さんの藤は ”神様の花” と言われるに相応しい、特別な色を見せてくれるが、いつも

見せてくれる訳でなく、年一度 日の出前のちょっと明るい折、薄暗いところで咲き始める

その時の5~10分くらいだけ自ら光ってるように見え、ここしかない美しさを呈してくれると。



夕日の中でだって、一瞬だけ鮮やかになるときがあって、それを撮るのだと。


さらに、すべての生きものを根源的に支える役割を果たし、天に昇り また降りて といった循環を繰り返す ”水”というものの存在に、氏は 生きてゆく希望を見出すと同時に、それを一方の制作テーマに据え

自然の中で放たれている ホンモノの色というものを忠実に捕らえた映像を皆さんに紹介すれば、古代より日本人のDNAに組み込まれている色の記憶を刺激できるのではないか という思いで配信を重ねてゆくうち、注目を集めるようになって

H30(2018).9 開催『なら国際映画祭』で、自らの 病と向き合う日々の 心の内を描いた作品が、春日大社さんに奉納するという形で上映されるという運びになるのですが











本作品制作の最終段階に於いて、不思議としか言いようのない出来事があったのだと。

それは 春日大社さんの宮司 花山院洋匡(かざんのいんひろただ)さんとの出会い

3才で小児がんを発症、過酷な治療に耐え 5年もの間 奇跡的に生きられた宮司さんの次女
彩生(さき)さんの生涯と、その彩生さんが 春日大社と、このベンチから眺める 御蓋山
(みかさやま)が大好きだったということを知り

このままではダメだ、何か彩生さんに捧げる映像を取り込まないと!!!、そうだ、虹だ !!!
あの世とこの世を結んでいる虹、御蓋山に架かってる虹、無理かもしれへんが挑戦しよう!!

すると 10日ほど経った頃、たった 10秒ほどですが このように薄い虹が掛かったのだと・・・
他の人は 誰も 気付いてない、保山さん たった一人が 目にすることのできた 虹 !!!!!!!

氏はこの体験から、たましいを込めて取り組めば、何か目に見えない力が働くのではないだろうかと思うようになり、この映像も自分で撮ったというよりは、彩生さんに撮らせていただいたように思えます と。

そして、人間は亡くなった後も このように、会ったこともない人間に対しても、持っている力以上のものを引き出すパワーを持っているのだ。死んだら終わりということでは 決してないのだ、と 思うようになったと。

現在も氏は、自分は 日々 一番美しい瞬間を撮り続けることでしか、人の役に立てないとの思いから、苦しくとも毎日 日の出前から、心の命ずるまま 撮影に出掛けておられるのだと。で、そうした中の 昨年暮れ (H30.12.22) には、本当に不思議な 100年に 1度 あるかないか情景が 目の前で繰り広げられたのだと・・・

高貴な方や高僧は 傘をさして移動されるが、それは神様は傘を目掛け降臨されるので その目印と言われているが、御蓋山のてっぺんだけが あたかも その傘のように覗いている あたり一面の雲海を、目の当たりにすることができたのだと







以上は その映像の 数カットでした。


オイラは、ここで紹介された 保山耕一さんに、本当に共鳴できるのです。と申しますのも、例えば もう20年ほども前のことですが、今はもうそのエネルギーは使い果たし、燃えカスすら残ってない状態でありますが、

当時、花の絵を描くことに熱中したことがありまして、その絵は 最初のほうの当ブログで、色紙に描いた下手くそな絵を ”木端絵ギャラリー” と称し 紹介させていただいてますが、自画自賛するしか 浮かぶ瀬がないだろう オイラの絵にして、あるとき 無意識なうちに手が動いて、「どうして こんなエエ表現ができたんやろ、”神の手”ってホントにあるんやなぁ~」と思うほかない出来栄えの絵が、極めて希なことであれ 得られたり、

冬を除いて草刈りに追われているオイラ、あるとき キレイだったのでアザミだけ刈らず 残してあげたら、そのアザミの花が、ハッとするような 一段と鮮やかな色して応えてくれたり、

また、花が綺麗なのは ほんの一瞬しかないということを、つくづく思い知らされてますから、描けるときは 極めて限られた ダイヤモンドが如き その一刻(いっとき)。ですからオイラは、何回か年休を取って描いたことがあるのですが、まぁ こんなことは どうでもイイことですが

”色”には絶対 妥協したくないと仰る 保山耕一さんの、研ぎ澄まされて めっちゃ美しい 映像作品が、一作でも多く 一日でも長く見られること、願わずにいられません。 

 < 追 伸 > R2.5.4 記
 保山さん映像を追加します。NHK-BS1『目撃! にっぽん』からです。
.

 以下は R2.8.3 NHK-BS1 『映像詩「飛鳥」』から、二上山映像です。上にも 1枚 ありますが、このお山様の上に、中将姫さんのように みほとけ ≡ 阿弥陀如来様 がイメージできたらと思い、並べさせていただきました。
.............
                                  




  

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4 コメント

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Unknown (荒木かず枝)
2021-08-19 08:52:23
私の夕食後の散歩は今は植田の夕日を見る楽しみで行くようなもの。
これから青田になり稲の花の芳しい匂いがまっていますが一瞬ですので注意深く見なければ。
九月の始めに大腸癌の検診がありますがまあ、自然が何とかしてくれます。
荒木かず枝さんへの御礼 (100q)
2021-08-19 10:25:08
 コメントありがとうございます。稲も麦も人類繁栄の最大の功労者(?)でありますが、揃いも揃って その花は、それはそれは慎ましいモノであることを、そして一日として同じ空の無いことを、「そうなんだよなぁ」と、いつも心に刻みながら生きております。
 検診、大事なきこと 祈ってます。ちなみにオイラ、会社 辞めてからは一切 健診というもの 受けておらず、「それでいいのだ !!!」と、赤塚 不二夫さん  してます。
Unknown (池田加寿子)
2021-08-19 13:06:02
保山氏のFBを楽しみにしている者の1人、北九州市の、池田加寿子と申します。
貴方様の、この、
保山耕一氏の生き様、その証したなる作品群への検証、説明、ほかに較べるものがありません。このブログは、保山耕一氏の素晴らしい学術論文と、拝読いたしました。
ご承知かと存じますが、氏は、菊池寛賞で、
これまでのお働きへの評価を夢としておいでです。
貴方様のこのサイトを、巷の推薦人として使ってはいけませんか?
保山耕一氏のサイトにお返事頂けましたら幸いです。
池田加寿子さんへの返礼 (100q)
2021-08-19 17:22:41
 コメント および お褒めの言葉 頂戴しまして、たいへんありがとうございます。当方としましては仰せのように当ブログをお使いいただき一向に構わないですが、
 ご覧のように当ブログは、NHKさんの放送内容を 当事者さんのご了解も得ずして 勝手に、オイラ流に編集させていただいたものに過ぎませんから、著作権絡みが 気になるところであります。
 ただし、もし 保山耕一さんに好意的にお受け止めいただけるのであれば、きっと NHKさんも黙認して下さるのではとの希望的観測は持ってます。
 そういうことですので 推薦人云々の手筈は、できますなら池田さまのほうからいただけますと、オイラとしてはありがたいのですが、お願いできませんでしょうか。よろしくお願いします。

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