宮下昌也の近況報告    MASAYA MIYASHITA 's News

美術家・宮下昌也の展覧会、ライブペインティングなどの活動情報と
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平川美奈子木版画展 始まりました!

2011-10-15 | 展覧会
本日より2007年に逝去した義妹・平川美奈子の木版画展始まりました。

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あるひ  あるとき  どこからどこへ

平川美奈子 木版画展

2011年10月15日(土)~10月23日(日)
am9:00~pm5:00 Open 
17日(月)休館日

鴨川市民ギャラリー
千葉県鴨川市横渚893
tel:04-7093-2366




こちら山本起生さん額装による第1室。


美奈子の創作の中心をなす、木版画、ペン画約150点がこの展覧会のために制作された工夫を凝らした額に収められたいます。


これは本展覧会のサブタイトルにもなっている絵本作品「あるひ あるとき どこからどこへ」の木版画バージョン。


小品達。


そしてこちら第2室には、生前に美奈子自身が額装した作品や、絵本原稿、漫画原稿、ポストカード、マッチラベル、第1室に入らなかった小品、ペン画などを、版木や、制作に至るまでのスケッチとともに展示。美奈子が創作に費やした全ての時間を感じてもらえるような展示になっています。


例えばこれはマッチラベルのコーナー。壁面には額装されたラベル。その下に版木。机上には完成品のマッチと、ファイルに入れたトレース画やラフスケッチが展示されています。


これが完成形のマッチラベル。


これが版木。


これがトレース画。


ここは漫画原稿のコーナー。壁面に展示されているのは木版画漫画。


身内ですら見たことが無かった漫画原稿も、ファイルに入れて読める様にしてあります。

この展覧会の実現にかける広子さんの熱意には、並々ならぬものがありました。こうして初日を迎えることができて感慨深いです。作品総数300点以上。大変見応えのある展覧会になっています。ぜひ、多くの方にご覧になっていただきたいです。

最後にこの展覧会に掲げた広子さんの挨拶文を掲載させていただきます。


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このたびたくさんの方々のご協力とご援助をいただき、平川美奈子木版画展が開催の運びとなりました。とても嬉しく思います。

 妹・美奈子は、幼い頃から絵を描き続けていましたが、1991年以前に描かれた作品は残されていません。木版画による多色刷りという表現方法に取り組み始めた1991年からの作品は、おそらく本人の意図するところにかなうものだったのでしょう。完成した作品の他に発想段階の習作やスケッチやトレースなど、制作過程を想像させる様々な紙片も多数保存されていました。

 生前の発表の場は千倉の潮風王国内の「海猫堂」さんや、東京の「猫の額」さんであったようです。
近くに住んでいるわたしの所には、時々新しい作品を見せに来てくれましたが、いつでも月に雲がかかる様にすぐに片付けられてしまいゆっくり見せてもらえることはありませんでしたので、万華鏡をのぞくような、一時の夢のような感じを受けたものです。また、一緒に暮らしていた母も自宅の壁に掛けられている数点の版画の他は見たことがありませんでした。
 美奈子が30歳になるまでに個展をしてみたいと話していたことを思い出します。その後どういった心の動きがあったのか、30歳を過ぎた頃には、日曜画家として趣味で描き続けたい旨を話していたように記憶しています。姉としては、いずれは個展を開く気になるだろうし、その時には美奈子の世界をじっくり堪能できるだろうと考えていました。
このような経緯もあって、美奈子逝去の後、喪失感と哀惜の想いのなか具体的な目標も定まらないままに、いつか個展を開こうとその全作品をまとめて自宅に持ち込みましたが、収めた箱から取り出すことも、作品を整理することも取り組めないまま丸3年が過ぎてしまいました。
今回の展覧会が開催に至ったのは、今年の始めに山本起生さんから美奈子の版画展をしようよとのお声がけを受けたことによるものです。山本さんには深く感謝いたします。
美奈子は山本さんと2004年に上総一宮の「ギャラリー801」で二人展をしたことがあります。


 この木版画展では、2007年に逝去するまでの16年間に制作された作品を可能な限りくまなく展示いたします。

 木工家山本起生さん額装による展示では、わたしからの作品全てを展示したいとの希望を受け入れて下さった上で、山本さんが選んだ版画、ペン画など150点余りを工夫を凝らして作り上げた額で展示しており、とても見応えのある展示空間になっています。

 次室では、前室で展示されていない版画やペン画、木版による手刷りマッチラベルとポストカード、この木版画展のサブタイトルになっている「あるひ あるとき どこからどこへ」等の絵本原稿、漫画作品、作家自身によって額装された版画等を展示します。また制作過程で作られた習作やスケッチ、トレースなどのファイルや版木、クロッキーブックも展示しますので自由にご覧下さい。

 この展示全体を見ていただくことで美奈子が作品制作に打ち込んでいた熱意あふれる一面や、驚くほど精力的な一面を感じ取っていただけることと思います。
 
本日は平川美奈子木版画展にご来場いただきありがとうございました。どうぞごゆっくりご覧下さい。

                                                 
                                               宮下広子




宮下昌也と巡る悠久の旅