ハードディスクを掃除していたら昔のフィルが出てきました、自分ながら良く出来ているなと思いましたので、アップしました。
注:あくまでも医療用や産業医用ですので、一般人の人格や性格に言及したものでは有りませんので、他人に対して決め付けのなきようご注意ください。
高機能発達障害の職場での対応方法
1.サーチライト的思考
説明:発達障害の人は一つの事に焦点を当てた思考をします。ですからその他の思考が出来ないことが多くあります。まるで光の強いサーチライトのように対象を絞って考えます。ですから、その他の部分がかえって益々暗くなって見えにくくなります。すなわち考えられなくなってしまいます。
対策:全体思考思考をすること。全体照明では明かりはあまり強くすることが出来ませんが、周りの状況の変化くらいは見てとることが出来ます。この全体照明のように、できるだけ思考を集中せずに全体思考をすることが大切です。自分考えだけに集中せず、職場や家庭の人達の全体の様子をうかがう努力が大切です。周囲の人もそうアドバイスすることが必要です。
2.高感度防犯カメラ
説明:発達障害の人は思考のスピードが速く、しかも槍のような集中力と観察力を持っています。それはまるで、高感度防犯カメラが犯人を見つけたら、その方向にカメラが自動的に動き、しかもズームアップまでしてしまうというのに似ています。
対策:この場合、職場の上司などは「もうそこまでで良い、後は明日で良いです」といったアドバイスが必要になります。いつもやり過ぎていないか、自分もその周りの人もチェックが必要です。
3.過敏性
説明:発達障害の人はあらゆることに過敏性です。対人関係は勿論、匂いやドアの大きな音であったり光りであったり、あるいは手先の冷たい感覚であったりします。
対策:仕事をしてもらう時は、なるべく刺激の少ない場所とか静かな所で仕事をさせるのが望ましいです。また不特定多数の対人関係のない仕事が望ましいです。過敏性を取るためローノイズ音楽などををかけておくのも良いでしょう。
4.こだわり
説明:一般的に対人関係や仕事にこだわりが強いことがあります。集中力が高い反面、一度事を始めるとなかなか止められなかったり、いつまでもそのことが頭に浮かび、気分転換や他の仕事に移れないことが多くあります。そのために予定の仕事が進まず、まわりにも迷惑をかけることがあります。
対策:毎日の仕事にかける時間をあらかじめ決めておくように指導します。時間割を見ながら仕事を進めて行きます。カレンダーや手帳を常に見るように指導します。終わったことは引きずらずに、後ろに投げて行く感じで処理させます。私は患者さんに「トリモチ(鳥を取るための粘々した樹液)思考はやめなさい」と言っています。今日または明日することを白板に書いていると、次の仕事に移りやすいことがあります。
5.縦の線と横の線
説明:垂直方向の思考は得意ですが横のつながりと因果関係や相互関係に理解が難しい傾向があります。周囲の空気が読めず自己の関心事や目先の事に没頭する傾向が強い。
対策:会社の仕事仲間の相関図とか、あるいは職場の横のつながりを意識した仕事のマニュアルを作るように指導します。自分の仕事のフローチャートのみならず、同僚のフローチャートも少しは理解しておくように指導します。関連図や構造図などを描いておくと便利です。
6.魚群的思考
説明:発達障害の思考はまるで大きな海の中の魚群のような動きをしています。餌を求めて動き回る魚群のように、あるいは大きな魚に追われて激しく動き回るイワシの魚群のように思考を巡らせます。
対策:あせらず騒がず、逃げもしない隠れもしない。まるで南の島の色々な所で生息する魚達のように、ゆっくり落ち着いて周囲を見回しながら地に足が着いた思考をすることが大切です。常に思考の速さを抑え思考が局所的に集中しない分散思考思考をすることも大切です。
7.ぶっきらぼうなものの言い方やあるいは単調な話し方
説明:悪気はないが相手の感情を考えないで、ものをズバリ言う場合が多くあります。あるいは言わなくてはならないことを言わない傾向もあります。周りの人たちの心理にあまり関心がなく雰囲気調整が出来ません。単調な話し方をする場合もあります
対策:物の言い方について早めに注意する方が良い場合があります(ダメよ~ダメ、ダメといった感じではっきりと)声の大小、抑揚で発言をまろやかにするようアドバイスします。ある面リハビリ的な所があるので、懇切丁寧に対人接触方法を忍耐を持って繰り返し指導することが望ましいと考えられます。
8.易激怒性と自閉
説明:高学歴の人はプライドが高い人がいるので、過剰防衛になりがちで、指導を批判と捉えがちです。怒りが出やすく相手が上司の場合は、怒りが抑圧され適応障害やうつ状態に陥ることもあります。あるいは逆パワハラで上司が恐れることがあります。
対策:上司が発達障害の部下に指導するときは感情的にならず、叱りではなく指導であることをあらかじめ十分に話しておきます。作業中は気分転換や身体を動かすことを勧めて下さい。発達障害の人が上司の場合は、上司の得意な集中力で今まで出来きたような仕事は、部下も同じくらいできると考え、要求水準が高くなります。したがって仕事において過度な要求はせず、適度なところで作業量などを調整するか、場合によっては内容的に妥協し、部下に向いた仕事を探し、両者間に怒りが暴発したりあるいは内向しないように注意することが必要です。
鞍手クリニック 熊井三治