はれっとの旅路具

(はれっとのたびろぐ)田舎暮らしと旅日記
金沢・能登発 きまぐれ便

江戸の粋

2007-04-08 23:19:23 | 旅日記
静岡で生まれた僕は4歳のとき、
ほんの数ヶ月だけ横須賀に居たことがあります。

このほど、遠州にご縁を頂き、何度か通いましたが、
遠州にも横須賀という地名がありました。

その遠州横須賀から一通の招待状。
4月第一土曜日に開催される
遠州横須賀の祭り・三熊野神社大祭
での祭礼交流会のご案内でした。

このお祭りは享保年間、
江戸で流行した祭りを参勤交代で江戸から戻った藩士が
遠州横須賀に持ち帰って始まり、
大戦中も休むことなく続けられたという伝統行事だそうです。


ところが、
年度を挟むこの時期は、まだまだ厳しい日程が続くのが通例

しかし、何か「予感」がして
清水の舞台を飛び降りる思いで
(業界人なら大袈裟ではないことをご理解いただけるものと…)
出席のご返事をしてありました。

その後、震災…


旅行キャンセルの防止を呼びかけている僕が
折角のお誘いをキャンセルしては何にもならないと
頑張って出かけました。

何度も行程を検討してみましたが、
旅費は当然自腹なので
旅費と前後日程の関係で
7日早朝発、当日戻りしか成立しそうにありません。

土曜日金沢駅発5:24始発のしらさきで米原へ
その後新幹線を名古屋で乗り換え浜松へ
浜松で東海道線で袋井へ
ここから路線バスで御前崎方面へ

かつて袋井からは軽便鉄道がありました。
その名残も見られません。

片道約6時間。
平均乗り換えは1時間半なので、
うっかり居眠りもできません。


三熊野神社の桜
こうして着いた遠州横須賀は
昨夜の兼六園とは違い、既に葉桜
(いつものように写真をクリックすると拡大します)



三熊野神社祭礼の旛
快晴とは行きませんが、
程よい天候で中々良い祭り日和です。

旛も春の風を受けて
朗々とはためいています。



境内
三熊野神社門前の旧街道ではあちらこちらで
祭人らの輪ができて昼前から既に宴会

境内でも春を寿ぐかのような
ゆったりとした雰囲気です。

驚いたのは、子らの多いこと
どうもこの祭りは子どもたちの参加が
重要な位置を占めているようです。

祢里と呼ばれる山車の勢揃い
境内には既に十三台の祢里と呼ばれる「屋台」が勢揃いをしていました。
どれも華やかに飾られています。



ネリと桜
日本の祭礼は、どの地域のものも色彩が豊かです。

こちらでも葉桜とともに
それを凌ぐかのように
何と豊かな色彩のお祭りです。



ダシ
ネリ(祢里)の頂上には
ダシと呼ばれる飾りがあります。

これは、十三町ごとに異なるもので
永年使われているそうです。

後から判ったのですが、
この日は午後から雨の予報
このため、ビニールを掛けるための
鳥かごのような金具がついています。


席を取るおばあたち
祢里が練り歩く街道沿いには
お年寄りが見物の席取り
温かい日差しを浴びながら
お話にも花が咲いています。




江戸の香り
三熊野神社大祭は、江戸の粋とも言われている祭礼です。

神田の祭礼ともゆかりがあるそうで
なんとなくお江戸の雰囲気があります。


交流会場
さて会場は街道沿いの老舗旅館
風情があります。

この交流会は、席次も自由で
全くの無礼講だとか

交流会場から祢里の眺め
会場の二階からは祢里のダシが目前に見えます。
まさに特等席


早めに陣取った僕は
中ほどの島の下の方に座りました。

交流というからには
たとえ初めての席でも
隅っこには行かない主義です。

が、何故か両側に誰も座りません(^^;ゞ

座りにくいオーラでも出しているのかなぁと
ちょっと心配になっていると…

横須賀城主末裔の御当主の西尾さんが隣に…
相当なご高齢とお見受けしましたが
お元気お元気

「ご城主」の挨拶で交流会が始まりました。

ややあって反対側の空席にもお一人
後から判りましたがこの方は
元回船問屋で今でも名庭園が残るSさんのご当代…

いやはやとんでもない席…(^^;ゞ

ご城主とは、何故か意気投合
お歳には似合わない少年の瞳をされていて
色々なお話を伺うことができました。

このような交流会を十年来続けておられること自体
この地域の底力を垣間見る想いです。

最後には僕の膝を叩きながら
「来年も来いよ。ワシも生きとる限り来るから」と
あり難い暖かなお言葉を頂きました。

練り歩く祢里
交流会を終えて街道に出ると
祢里が少しずつ練っています。

この祢里を引く曳き子の囃子は
三社祭礼囃子といい、

ハッハ。シタッ、シタッ シタッ、シタッァ

と、それはそれは名調子

ブログではお伝えできないのが
何よりも残念。

この三社祭礼囃子は静岡県無形文化財指定第一号なのだそうです。

囃子と子どものおたふく
祢里の上ではひょっとこ・おふたくの面をつけた子らが
絶妙な踊りを披露しています。

お囃子の太鼓も子どもたちが主役

ホームページでは有名な笠井屋さん
遠州横須賀・三熊野神社大祭で検索すると笠井屋さんのページがあちこちに…
地元の方に伺うと、それはそれは大変なお祭りきちとのこと
お店はこちらです。

こういう方々が祭礼を支えています。

栄醤油
遠州にご縁を結んでいただいたKzmさんに案内していただいたお醤油屋さん。
完全な天然・伝統製法を守っておられます。

お土産に求めた「卵かけご飯用醤油」
戻って頂いた味はの甘く、味わい豊かでした。


往復12時間、滞在僅か4時間
来年もお呼び掛けを頂いたら
今度は宿泊して夜祭も堪能したい
と思うお祭りでした。


●参考ページ
◎公式系
三熊野神社大祭(掛川市)
遠州横須賀 三熊野神社大祭(三社祭礼囃子保存会公式ページ)
祭りで繋がる江戸の粋(千代田day's)

◎ねりきちさんのページ
新屋町(あ組)発 遠州横須賀 三熊野神社大祭(笠井屋さんのページ)
遠州横須賀 観歩記(笠井屋さんのページ)
遠州横須賀・あれこれ書き連ね(笠井屋さんのブログ)

◎ブログ
三熊野神社大祭に行ってきました。(2006-04-11:「考古学者のひとりごと」吉村作治先生のブログ)
 ⇒エジプト考古学で有名な吉村先生も昨年行かれたそうで、ブログには何枚も写真が…
遠州横須賀 三熊野神社大祭 め組(matubaさんのページ)
遠州横須賀の祭り・三熊野神社大祭(鈴木さんのページ)


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