はれっとの旅路具

(はれっとのたびろぐ)田舎暮らしと旅日記
金沢・能登発 きまぐれ便

10日後の山形・宮城:その1

2008-07-07 22:41:39 | 旅日記
6月24日から27日まで、仕事で山形・宮城に行ってきました。

14日に発生した岩手・宮城内陸地震の報道で、
現地の知人が気になっていましたが、
メールなどから伺うとどうも全く影響が無い様子。
予定通り出発しました。

●24日:金沢→北陸自動車道→山形県白鷹町中山
白鷹町山中地区から朝日連邦を望む夕暮れ
24日は、山形県白鷹町に昨年度の仕事のフォローに入りました。
こちらも全く地震の話は出てきませんし、町にも何も変わった様子がありません。

途中通って来た北陸自動車道では、
中越沖地震で波打った路面の修復工事が未だに続いていて、
むしろ、その爪跡の大きさを感じて来たところでした。


●25日:山形県白鷹町中山→出羽三山湯殿山神社→仙台
翌25日は午後から仙台で会合。
午前中の時間を利用して少し寄り道をしました。
予てからいつか行きたいと思っていた出羽三山。
その一つ湯殿山へは月山道路から立ち寄れそうです。

白鷹から国道287号を北上し朝日町を抜けて左沢に抜け、国道112号を西進します。

途中猛烈な眠気が襲ってきました。
前夜は午前3時まで中山地区の方々と地域興し談義をしていたのに、朝は7時頃に起きて活動を始めたため、完全な寝不足。(^^;ゞ

道の駅の駐車場に転がり込むように止めて爆睡…
1時間少々でようやく復帰して、また走り始めました。

山形自動車道は、庄内地方に抜ける月山の辺りで自動車専用道路になります。
その途中に湯殿山への分岐点がありました。
湯殿山神社の大鳥居
すぐに道が細い山道になります。この道はどうやら国道112号の旧道のようです。
途中で一瞬行き止まりか?と思ってしまう場所に出ますが、左手前方になにやら料金所らしきものがあり、ここから有料道路になります。
折角来たのだからと往復料金400円を払ってさらに曲がりくねった山道を進むと、湯殿山神社の大鳥居下の駐車場に出ました。

この辺りは、かなりの標高なのでしょう。
雨雲が垂れ込め、神秘的な光景でした。

ここにも、霊験新たかな温泉があるとのこと。
途中の道の駅で爆睡さえしなければ、入浴できたのですが…

いつか、キチンと時間を作って出羽三山詣でをしたいものです。

出羽三山神社(公式サイト。ほら貝の音が鳴りますのでご留意を)

さて、戻りは山形自動車道で一気に下り、仙台を目指します。
仙台では、各地の猛者が集められたという感じで中々楽しみな会合になりそうでした。
ただ、事務局を受託されている東京の某財団かあまりにもお粗末。
この対応を巡っても中々面白い体験をさせていただきました。

それはさて置き…。
それにしても、この震災被災地の多くを占める宮城県の県都仙台は至って平穏。
まるで何事も無かったかのようです…。

都市が大きすぎるからでしょうか?
余りにも他所事のような印象を受けましたが、地元の方に伺うと全くと言って良い程被害が無かったため、どうも当事者意識が薄いようです。(^^;ゞ
もし、過去の経験から心配しているこの震災報道による「誤解」が元で、旅行先として忌避される事態が訪れると、この夏休みにある仙台七夕祭りなど、東北三大祭への観光客への影響があるかも知れません。
秋になってその数字を見てようやく気づく…ということでは、ちょっと対策を講ずるには遅すぎるのですが…

震源地から直線距離にして7~80kmしか離れていない大都市仙台が、この状態。
今回の地震は、何か様子が違うようだとこの時、初めて実感しました。

この日の会合である東北の温泉宿のご主人と出会いました。
ご本人から伺うとやはり殆ど被害が無いとのこと。
しかしキャンセルや新規予約が入らないそうです。
数日前のNHKニュースでも岩手県内のある温泉宿の女将さんがキャンセル・予約無しの状態に一人立ち上がって首都圏でビラを配る様子が報道されていました。
こうなってしまうと、単独での対策は果てしない戦いにさえ、思えてきてしまいます。

どうやら我々が能登半島地震などで経験した風評被害や、旅行客の忌避が始まっているかも知れません。


●26日:仙台→東鳴子温泉→かみのやま温泉
この日は夕方から山形県上山市で会合があるだけでしたので、
前日聞いた状況などから、震源地から直線距離で約30km程とかなり近い東鳴子温泉の様子を確かめに、急遽現地に向かいました。

◎仙台→東鳴子温泉
東北自動車道を北上。古川ICで下り、国道47号を西進します。
途中全く、災害に関する道路情報が出ていませんでした。
ということは、東北自動車道には被害・損傷が無かったようです。

東北に来る際に通った北陸自動車道では、未だに中越沖地震で波打った北陸自動車道の補修工事が完了していない状況からすると、震源地からわずかしか離れていない東北自動車道が、無傷なのは信じられないほどです。
しかし、実際に東北自動車道には、北陸自動車道のそれに類する程の被害は無かったようです。

また国道47号では、
・国道398号が通行止め
・秋田県湯沢方面に抜けるには国道108号を迂回せよ
と電光掲示されていました。

ということは、国道108号は無事ということです。
この国道108号沿いには間欠泉で有名な鬼首温泉(おにこうべおんせん)があります。
恐らく鬼首も無事のようで、その手前の鳴子温泉・東鳴子温泉も同じように無事のようです。

国道47号を走る際、僕の前に観光バスが2台走っていました。
お昼を取る施設でしょうか?途中で2台ともその施設に入っていったのですが、その際にナンバーを確認すると2台とも別々ではありますが東北ナンバーでした。

◎東鳴子温泉
東鳴子温泉は初めてでした。
古川ICから意外に早く着くことができました。
JR陸羽東線・鳴子御殿湯駅の玄関
ここは、JR陸羽東線沿線です。
東鳴子温泉は鳴子御殿湯駅前に広がっています。
駅名の由来ですが、かつて東鳴子温泉は一帯を治める城主が入る温泉・御殿湯があったことからとか。


JR陸羽東線・鳴子御殿湯駅の内部
地元の方に伺うとこの駅舎は、東鳴子の方々の地域づくり活動に共感したJR東日本の某局長が思い切った投資をして新築されたものなのだそうです。
駅舎の中には、畳敷きの小上がりや写真のようなしつらえが現代風の鄙を表現しているようです。


6/26付けのJR陸羽東線運行状況
鉄道はミリ単位で整備・維持(保線)されています。交通施設の中で最も厳密・精密な状態維持が求められるものですから、この状況を見るとより克明に地域の状態が判ります。
駅に掲示されていた6月26日現在の運行状況説明を読むと不通区間は無く、東北本線が一部区間で徐行により最大7分程度、陸羽東線で同30分程度の遅れがあるなど、『列車を通しながらの調整・整備状況である』ことがわかります。
つまり、大きなズレではなく、列車がとりあえず進行できる程度の影響範囲内であるということです。



鳴子御殿湯駅を出発して最上方面に向かう列車
比較的大きいとされる地震の震源から30km程しか離れていない地域で、この状態です。



旅館大沼の母里の湯にて
東鳴子温泉の中の一軒「旅館大沼」さんの超人気露天風呂「母里の湯(もりのゆ)」に日帰り入浴をさせていただきました。
本来は、宿泊者限定とのことで、この日は特別に入れて頂くことができたようです。

この「母里の湯」は、貸切状態だったためもあり、緑に包まれた極めて静かな中でひと時、日常溜まった世俗の垢や無用なものを放電して行くかのような時間を過ごすことができました。
(写真の下に僕のつま先を意図的に写していますが、ご愛嬌ということで…(^^;ゞ)
旅館大沼の母里の湯の周り
母里の湯のお湯は、柔らかでお肌を優しく労わってくれるようなお湯でした。

私が失礼した午後3時には、数組のご夫婦と思われるカップルが数件のお宿に入っていかれました。
今日はどちらから起こしなのでしょうか?

能登半島地震の直後、営業していたお宿で「予定通り宿泊してくれたお客様の嬉しかったこと」と聞きました。
この方々もお宿では、いつもに増して有難く感じられたかもしれません。

東鳴子温泉 旅館大沼

聞くと東鳴子温泉では各旅館が全て自家源泉とのこと。
つまり一軒一軒のお宿のお湯の性質が厳密には違うのです。

そのどの源泉にも湯量の変化が無いとの事。
つまりこの辺り一帯は地中深くにも地震の影響が無いようです。

全ての旅館の源泉が違うので、「東鳴子温泉」を知るには全部の旅館のお風呂に入らねばなりません。
これは中々楽しみです。

東鳴子温泉観光協会

岩手・宮城内陸地震の被災地区エリア地図
実は出張から戻った後、知人の防災専門家が丁度ほぼ同じ時期に、被災地周辺に調査に入っていたことが判りました。
後日彼からは、今回の震災はこれまでの震災と異なって極端に被災地区が狭い範囲に限られていて、その外側ではほぼ全くと言って良いほど被害が無い状態であることを聞きました。
この地図は、goo地図に彼から教えてもらった土砂災害の発生地点の範囲を示したものです。

彼によると、南は国道398号、西は山形県境・秋田県境、北は国道342号で囲まれた範囲だけで被災しているそうです。
この地図では地図の縮尺の関係もあって、東側の境界がやや不確定であることをお許しください。
いずれにせよ、被災境界の東側は、東北の大動脈である国道4号や東北本線、東北新幹線までには至らない範囲で収まっています。

世界遺産登録の最終段階にある奥州・平泉を始め、ごく近隣にあるガラス関連施設(施設名は失念しました)も展示物が全く倒れておらず、本当にここで震度5もあったのか震度計の方を疑うべきだとのこと。
地震・防災の専門家の間では、地震波の向き・強度・揺れの周期などを最も正確に捉えられるものとして墓石の倒壊状況を観測します。
倒れた墓石の縦横比・元あった向きなどを正確に測量すると、地震波の破壊力・影響力の本当の大きさを数値として得られます。

彼もガラス関連施設の他、岩手県一関市の厳美渓(震源から20km程度)周辺で全く墓石が倒壊していないのを確認して、今回の地震の被災範囲が前例が無いほど極めて小さく限られた範囲に限定されていることを確認したそうです。
この地図からも東鳴子温泉や、その周辺地域が無傷であることも理解できます。

◎東鳴子→かみのやま温泉
さて、また東北自動車道を南下、山形自動車道で県境の峠を超え、国道13号を南下して、本日の最終目的地・かみのやま温泉に戻ります。
各道路とも、実に順調ですが、一つ気づいたことがあります。

それは、
・観光バスが極端に少ないこと。
・見かけるバスも東北圏内のナンバーばかりであること
です。

今回の地震とその報道によって事実以上に被災範囲が大きいと誤解され、旅行客が東北から離れている
つまり風評被害が既に起きているのではないか
そんな予感がしました。

つづく(2008-07-07)


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