ふりかえれば、フランス。

かつて住んでいたフランス。日本とは似ても似つかぬ国ですが、この国を鏡に日本を見ると、あら不思議、いろいろと見えてきます。

フランス人の平均月収は1,605ユーロ。そこには、格差が・・・

2012-02-23 20:24:46 | 社会
隣の芝生が青く見えるのかどうか・・・まずは、自らの現状を知ることから始めましょう。

「年収ラボ」というサイトがあります。年収に関する各種データを公開しています。その情報源は、国税庁の『民間給与実態統計調査』と、厚生労働省の『賃金構造基本統計調査』だそうです。

まずは、サラリーマンの年収。
平成9年 :467万円(頂点)
  21年:406万円(底)
  22年:412万円(回復)

業種別のトップ3は、
総合商社  :1,115万円
テレビ・放送:909万円
石油    :840万円
ビール   :840万円

年齢別・性別の年収は、
50~54歳:男=649万円、女=283万円
40~44歳:男=577万円、女=286万円
30~34歳:男=432万円、女=299万円
男性は50代前半が頂点。一方、女性は20代後半から30代後半までが他の年代より多くなっています。男女格差は非常に大きい!

年収300万円以下の割合(平成22年)は、
男性=23.4% 女性=66.2%
男性は徐々に増えつつあり、女性は高止まりしています。

また、公務員のケース。
国家公務員全職員=663万円
(最も高い職種は、税務署職員で740万円)
地方公務員全職員=729万円
(最も高い職種は、警察官で814万円)

さて、では、フランス人の懐具合はどうなのでしょうか。22日の『ル・フィガロ』(電子版)が伝えています。

給与の男女格差はなかなか縮まらない。管理職ではその差はさらに大きくなっている。男性給与所得者の平均月給は1,605ユーロ(約17万円)に増加している。

男女格差はなかなか手強い。Insee(Institut national de la statistique et des études économiques:国立統計経済研究所)が22日に発表した最新の雇用給与統計(2009年)によると、給与については、女性の収入は男性より相変わらず20%少なくなっている。1954年には35%もの格差があり、その後かなり解消されてきたとはいえ、1990年代初頭からは給与における男女格差はほぼ同じレベルで推移している。

この格差は同じ労働時間に基づいて算出されており、実際の年間労働時間を考慮に入れれば、格差はさらに顕著なものとなる。というのも、パートタイムで働いている女性の割合が多いからだ。パートタイムで働いている女性の収入は男性の手にする給与より30%低くなっている。しかしポジティブな面もあり、25歳以下の年齢層では給与の男女格差が縮まる傾向にある。

Inseeはこの解消されにくい格差の原因を男女の地位の違い(une structure de qualification différente de chaque sexe)に求めている。例えば、管理職の割合は、男性では19%だが、女性で管理職に登用されているのは12%に過ぎない。しかし、同じ地位でも、男女格差は見られる。いや、むしろ、拡大傾向にある。民間企業の女性管理職の収入は男性管理職より23%少なくなっている。

背景のひとつとして、女性が責任ある地位に就くのを妨げている有名な「ガラスの天井」(plafond de verre:性別や人種により昇進がブロックされている状態)が指摘される。また、Inseeによれば、教育や業種の選択、積み重ねたキャリアなどの結果でもあるという。例えば、女性の多くは、健康や社会活動といった給与の低い業種へ進んでいる。

パートタイムで働いている女性のかなりの部分は、自らそれを選んだというより、家庭の事情でそうした状況を選んでいる。しかし、子どものいない女性に限っても、パートタイムで働いている女性の割合は、男性よりも17%多くなっている。パートタイムが多い第三次産業で働いている女性が多いことが、このデータを裏付けている。

2009年における全就労者の平均年収は19,270ユーロ(約205万円)であり、月収では1,605ユーロになる。当然のことながら、管理職の方が高収入だ。管理職の年収は、工員や従業員より3倍多く、38,430ユーロ(約407万円)となっている。しかし、就労者の中で経済危機の影響を最も受けたのも彼ら、管理職だ。2009年の収入は前年より1.5%減少している。製造業、金融、IT通信が最も給与の高い業種だそうだ。

・・・ということで、“machisme”(男性優位の考え)の影響か、フランスにおける男女格差、特に給与格差、昇進格差はしばしば指摘されていますが、2009年の給与でもまだ大きな格差が残っているようです。

耳元でフランス語を囁かれると思わずうっとり、という大和撫子も多くいらっしゃるのかもしれませんが、いざ結婚してしまえば(あるいはPACSを申請してしまうと)、財布は別々。いつまでも白馬にまたがった王子様ではないようです。ドメスティック・バイオレンスも多く報告されています。なんだ~、がっかり・・・する必要もないのかもしれません。

何しろ、給与の男女格差、我らが日本の現状はフランスどころではないのですから。大きな差ですね。管理職についている女性の割合も、フランスより少ないものと思われます。やはり、フランスの方がいい・・・

と思うか、財布のひもをしっかりと握れる日本の方がいい、あるいは「亭主、元気で、留守がいい」と堂々と言える日本が良いに決まっているなどと思うか、それは、女性の皆さんの判断次第、ですね。

なお、円ユーロの換算は、1ユーロ=106円で計算しています。物価や社会保障を勘案しないと単純には比較できないのですが、平均年収205万円・・・フランスで多くの女性が働いている背景も分かるような気がします。

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