ふりかえれば、フランス。

かつて住んでいたフランス。日本とは似ても似つかぬ国ですが、この国を鏡に日本を見ると、あら不思議、いろいろと見えてきます。

賄賂天国はどこだ? ランキング発表!

2010-10-29 21:22:58 | 政治
「政治とカネ」という言葉がメディアに踊らない日はないと言ってもいいくらいですね。小沢氏の場合は、挨拶に行ったのに名刺も受け取ってくれなかったとか、「勉強が足りない」と同業者の面前で言われたとかいった経験をしたメディア人の私憤、あるいは小沢氏の性格が嫌いだという心情的反感も大きいような気がしますが、違法献金、賄賂、口利きといった「政治とカネ」の問題は、日本の政治史に連綿と続いていますね。造船疑獄、ロッキード問題、リクルート事件、佐川急便問題・・・

しかし、日本の政治状況は、これでも改善されてきているのだと思います。政治資金規正法など法整備も進み、また政治家や企業人のモラルの変化もあり、透明性は時系列的には改善されてきているとは思います。

では、その日本のクリーン度は、外国と比べてどの程度なのでしょうか。相対的にかなり透明なのか、まだまだなのか・・・

ベルリンに本部を置く“Transparency International”というNGOが、年次報告を発表しました。その中に、「汚職指数2010」(Corruption Perceptions Index 2010:仏語訳はIndex 2010 de la perception de la corruption)という国ごとの汚職度を示すランキングがありますが、その概略を26日の『ル・モンド』(電子版)が伝えています。

見出しは強烈です。「ほぼ75%の国々が汚職にまみれている」(Près de 75% des Etats perçus comme très corrompus)。

まず、指数の出し方ですが、ビジネスマンや専門家に、汚職のないクリーンな国は10点、汚職まみれで目も当てられない国は0点、という10段階評価で、それぞれの国をチェックしてもらいました。その結果は・・・

最もクリーンな国として認められたのは、3カ国が同点で、デンマーク、ニュージーランド、シンガポール。続いて4位にフィンランドとスウェーデン。6位がカナダ。7位、オランダ。8位にオーストラリアとスイス。そして10にノルウェー。これがクリーンな国トップ10です。北欧、オセアニアにクリーンな国が集まっていますね。その中でアジアからシンガポールがトップ10入り。立派なものです。罰金の多さに“fine country”(「罰金」と「良い」という意味のかけ言葉)と言われるほどでしたが、初代首相、リー・クアンユ―氏の国づくりがさまざまな分野で結実していますね。

一方、ワーストは・・・調査対象178カ国の最下位は、海賊問題でも有名なソマリア。そのすぐ上、176位にアフガニスタンとミャンマー。そして175位にイラク。どうしても戦争や内乱などにより、治安が悪化している国々が、汚職まみれになっているようです。これでは、国の再興も、難しいのでしょうね。

さて、では日本は・・・『ル・モンド』が紹介していないので、“Transparency International”のサイトを見てみると、17位です。どうですか、予想より良かったですか、悪かったですか。上位10%ですからそれなりの結果ではないでしょうか。因みに、他の主要国は・・・ドイツは15位、イギリスが20位、アメリカ22位、フランス25位。この辺りまでが、何となく政治とカネに関しては、ある程度のクリーンさを保っているのではないかと思われますね。

さらに他の国々を見てみますと、韓国は39位ですから、もう少しですね。イタリアは67位。ベルルスコーニ首相の言動やマフィアの暗躍を聞くにつれ、この順位も宜なるかな、といったところですね。では、BRICsはどうでしょう。ブラジル69位、中国78位、インド87位。経済の発展に、法整備やモラルの改善が、まだ追いついていないようですね。そしてロシアは何と154位。ビジネスはすべて政治家とのコネ次第、なのでしょうか。あるいは、政治家がビジネス界も思いのままに操っているのか。いずれにせよ、ロシアでは政治とビジネスが良い意味ではなく一体化しているようですね。

また、地理的に日本に近いところでは、タイが中国と並んで78位、インドネシアは110位、ベトナムが116位、フィリピンは134位。まだまだ袖の下が幅を利かせているようです。ビジネス慣行上、必要悪として、賄賂が必要な場合もある。それを受け入れざるを得ない現地と、認めようとしない日本本社。その板挟みにあって困るのが駐在員。こんな状況もあると聞いています。現地の状況を受け入れず、その状況の解決まで一企業や一駐在員に命じるのは、風車に向かって突撃するドン・キホーテのようなもの。すべて日本スタンダードで行おうとするのは、無理があります。

ビジネス上は受け入れざるを得ない場合もある袖の下ですが、原則はもちろん無くすることです。そのためには、どうすべきか・・・“Transparency International”曰く、破綻してしまっている国々に国際社会の力で信頼できる政治体制を構築することが必要だ。このことは少なくとも、開発援助として数十億ドルの援助をすることと同じ程度には大切なことだ。いくら支援しても、それが一部の権力者に自由に使われてしまっては、貧困にあえぐ国民の苦しみを継続させるだけで、一向に改善しない。

36カ国が、外国の公務員への賄賂を禁ずるOECDの反汚職協定に署名していますが、状況は必ずしも改善されていない。こうした協定を実効あるものにするとともに、加盟国を増やしていく、地道な努力が求められています。

汚職、政治とカネ・・・日本でも、まだまだ改善の余地があるのではないでしょうか。税金は、国民のために。私腹を肥やすのではなく、清廉潔癖な政治を。そうした決意のある政治家を生み出す社会へ。そのためにも、政治家のみならず、国民一人ひとりの自覚と行動が欠かせないのだと思います。政治家からのさまざまな便宜供与を期待しながら、清廉な政治をというのでは、政治とカネの問題は解決しないのではないでしょうか。

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