キネオラマの月が昇る~偏屈王日記~

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天才は天才を知る

2010年10月14日 | 
「同時代ゲーム」

テレビ東京の世界を変える100人の日本人という番組で、筒井康隆が書評をしていたのだが、それが滅法面白かった。
実は私も2~3回しか見たことがないのだが。
筒井のレビューに熱が入って特に面白くて読みたいと思ったのが、大江健三郎の「同時代ゲーム」。

「同時代ゲーム」
語り手である主人公はメキシコ旅行を経て、自分の父親の神話や、歴史を書きだす仕事を受け継ごうと決意した。四国の山奥に建設された村=国家=小宇宙で、語り手と語り手の家族は幸せに暮らしていたのだった。しかし、大日本帝国が二重戸籍は罷りならんとして軍隊を派遣し、併合しようとやってきた。その村で、村人たちはどういう暮らしをしていたのか?そして大日本帝国に、どう戦いを挑んだか?さらに語り手の家族は村から離れてどんな生活を送っていたのか?

村=国家=小宇宙を絶対的に支配しているという「壊す人」、村=国家=小宇宙の神話や歴史を研究していた「父」こと神主、2人組みの天体力学の専門家、「アポ爺」と「ペリ爺」語り手の弟で村の若者である「ツユトメサン」百歳近くにもなるのに、性的な魅力を持ち続ける「オシコメ」二重戸籍を正して大日本帝国に村=国家=小宇宙を取り込む為に派遣された「無名大尉」。
魚屋の「コーニーチャン」 女旅芸人の「カーネーチャン」など、ユニークな登場人物とともに、自殺した双子の妹に対する語り手からの手紙という形式で綴られていく。

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評論家の小林秀雄がたった2ページで投げ出してしまったほど難解な作品だが、筒井康隆は絶賛。

「失敗作であることを除けば最高傑作!」
という、とんでもなくキャッチーなコピーをこの作品に献上している。

普通の人間には難解と思える作品も、筒井にはとんでもなく楽しい「キャラクター小説」と映ったそうな。
天才は天才を知るということか。

あらすじだけ見ると、左翼臭がすごいけどね。
小説を楽しんでも、私が彼の思想に染まることはないだろう。


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