キネオラマの月が昇る~偏屈王日記~

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久々に良いドラマだったよね、「すいか」

2003年09月21日 | ドラマ
「すいか」が終わってしまった。
最終回、どうなるかなぁと思っていたのだが、ああいう風に決着か。
小泉今日子が捕まったほうが道義的に良かったと思うけど、そこら辺はボカシて、続編がつくれそうな終わりかただった。

しみじみと懐かしい感じのするドラマだったけど、古臭いかといえばそんなことはなく、実は「血縁関係のないシングル女性達」が、一種の「家族」として楽しく暮らしている、最新の見たこともないタイプの「ホーム・ドラマ」だったりするのだ。
今まで、ホーム・ドラマといえば、血縁関係にある本物の家族の物語だった。 「寺内貫太郎一家」「ムー・一族」ずーっと飛んで、「渡る世間は鬼ばかり」・・・時に、住み込みの従業員や居候が加わることがあっても、基本的には血縁関係によって、はっきり家族と認められた人々の間に巻き起こるオハナシだ。
でも、「すいか」は違う。
ハピネス三茶という、下宿・・・まぁ、一種の地縁だわな・・・によって結ばれた「家族」の物語だ。
女同士の「友情」と捕らえるのが正解では? と言う人もいるかもしれないが、やっぱり「家族」と呼んだほうがぴたっとくるぐらい、濃密な関係だったと思う。
それでいて、個々人の生活や個性は最大限に尊重される、実の家族以上にある意味、理想的な関係・・・オモシロイなぁ。

木皿泉という脚本家は、なかなか力量のある人だ。
1回だけ脚本を書いた山田あかねもよかったぞ。 
脚本や演出、キャスト以外の細かい点もスバラシかった。

まず、外見も内装もレトロで味のある「ハピネス三茶」(美術さんのオリジナルだそうだ、びっくり!)
それから、登場人物たちのファッション。 
古着を中心とした、かわいらしいが個性的なもの。
女性の支持が高いのも肯ける。

割とお説教くさい台詞なんかも多くて、ほんの少し匙加減を間違えたら、陳腐になってしまいそうなところも、ふんわりした情感で包んだ優しいドラマだった。

オマケ : 浅丘ルリ子っていい女優だなあ。教授の役は、寅さんのリリーくらい彼女の当たり役かもしれない。

「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」

2003年09月19日 | 映画
 単なる愉快・痛快な娯楽作かと思ったんだけど、孤独とか家族愛が胸に痛い映画だった。

 実在の高校生詐欺師、F・アビグネイル(R・ディカプリオ)が詐欺を続けたのは、事業に失敗した父親を深く愛していたから。 金さえあれば、離婚した父母の中も元通りになると信じている幼さ。
 結局は上手くいかないというのに・・・。

 フランクと彼を追うFBI捜査官カール(トム・ハンクス)の間にある奇妙な友情を支えているのは、孤独感だ。
 クリスマス・イブに電話を掛けてきたフランクにカールが言う。 「お前がオレに電話してくるのは、他に掛けるやつがいないからだ」
 この一言が二人の仲を象徴している。

 パンナムのスチュワーデスに囲まれてFBIの捜査網突破等、キュートで笑えるシーンよりも、フランクとカール(彼も離婚経験者)が一人ぼっちでいるシーンが胸に焼き付いている。
 スピルバーグが幼い頃経験した離婚というものが、こんな風に作品世界に投影されているんだなあ。

庭園美術館でアラーキーに遭遇の巻

2003年09月15日 | アート
 かねてから気になってた東京都庭園美術館(旧浅香宮邸)へ、マリー・ローランサン展を観にいく。 チケットを買うために受付に並んでいるとき、門からすっとアラーキーが入ってきて、守衛と話しているのを発見。 手にはIWハーパーの箱が・・・。
 どうやら、美術館内で開かれていた「長っ尻茶会」というのに来てたみたいだ。
 アラーキーはTVやなんかで見るまんま。 すごく精力的な感じがした。

 さて、肝心の邸内の様子。 まず、エントランスを入ってすぐのルネ・ラリックのパーテーションに感動。 非常に繊細で美しかった。 残念なことに、一番右側のガラスにヒビが入っていたが。 絵画の搬入かなんかのとき、ぶつけでもしたのだろうか? なんて勿体無いことを・・・。 

 それぞれの部屋の壁、シャンデリア、暖炉の火覆いの格子までが、凝りに凝ったアール・デコの作り。
 昨日江戸東京たてもの園で観た、すべての金持ちの家がかすんでしまうほどのゴージャスさ。 当たり前か・・・元々宮様の家だもんな。

 でも、ゴージャスといっても猥雑な感じは一切なし。 本当のシックとか洗練というものの底力を思い知らされました。