キネオラマの月が昇る~偏屈王日記~

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「リアル」 第7巻

2007年11月29日 | 漫画
ネタバレあり。ご注意下さい!


待ちに待った「リアル」第7巻発売。
今回は戸川と野宮とタイガース、そして新たにタイガースに加入した17歳の脊髄損傷の少年、水島亮を中心とした物語。

野宮の科白、
「たとえ鞘から抜かなくても刀を差していることが大事。
 いつでも抜けるんだってことがな」
にシビレました。

ここらへん、「バガボンド」を描いていて、つむぎ出された言葉ですね。
「バガボンド」じゃなく「リアル」にあえてこの言葉を使ったのが面白い。

そう、本当の実力や実績や誇りなんてものは、持ってるだけでいい。
人にひけらかさなくても、いざってときに頼りになる。

大体「刀を差してる人」は見る人が見れば判ります。
いちいち抜いて見せなくたってね。

井上雄彦 特設サイト

皮肉屋の言辞

2007年11月28日 | 雑感
真実が純粋であることはめったになく、
単純であることは絶対にない。
              ―――オスカー・ワイルド



ううーん、エッヂィだなぁ(嘆息)。

オスカー・ワイルド大先生にもろ手を挙げて賛成ですね。
真実なんてそんないいもんじゃないですよ、ほんと。

赤いピルと青いピル

Nikon 英語での発音はニコンじゃなくてナイコン

2007年11月28日 | 雑感
ニコンのデジタル一眼レフ D300のCMを観て知ったんだけど、Nikonの英語での発音は“ニコン”じゃなくて“ナイコン”なんだね。
知らなかった。

スキンヘッドのバーテンダーが
「イズ・ザット・ア・ナイコン?」
ていうと、キムタクが
「ヤー、イッツ・マイ・トレジャー」
って言ってるもの。

スポーツブランドのNikeってもともと神話に出てくる勝利の女神“ニケ”のことだよね。
それの英語での発音が“ナイキ”になるのと同じだ。

へぇー。やっぱネイティヴの発音は勉強になるな~。

ニコンのCMはカメラのイメージカラーである黒、それもつや消しのシックな黒でイメージをまとめたスタイリッシュな映像でいつもカッコイイな、と思う。

あとどうでもいいけど、写真を極めた人って最後は結局カメラへのフェティッシュな偏愛になるよね(笑)。
90秒編にあるみたいに「いい音」って言ってカメラにキスしたりとかさ(笑)。

でもシャッターを切る音ってセクシーかも。
Duran Duran の「ガールズ・オン・フィルム」にはシャッターを切る音が入ってるよね。
で、PVがまたものすごくエロいんだけどさ(笑)。

だるまさんがころんだ 「未来世紀ブラジル」

2007年11月27日 | 映画
「未来世紀ブラジル」で好きなシーンといえば、なんといっても主人公が勤める役所のシーン。

なんかものすごい大勢の人が忙しく立ち働いてる役所の中を、ずーっとカメラ長回しで撮って行くのが何度観ても飽きない。

途中できびきび歩くメッセンジャーボーイが画面に映ったりして。

で、上役が個室のオフィスを持ってるんだけど、彼が見てるとすっごいみんな忙しそうにコンピュータ(といっても、TVとタイプライターを合わせたようなレトロなデザイン)に向かって仕事して、上役がオフィスに引っ込むとコンピュータで古い西部劇を観始める。

で、上役がなんか変だなって感じで出てくると、みんなものすごい熱心に仕事をやってて、西部劇を観てた気配すらない。

なんか「だるまさんがころんだ」みたいで、笑ってしまう。

ここらへん、コントっぽくて、さすが「モンティ・パイソン」のメンバーの一人っていうか。

あ、あと暖房修理人のアーチボルト・タトルの衣装ってジブリっぽいよね。

宮崎駿は絶対にこの映画好きだと思う。

タトルが暖房を直してるときの、あの壁の内部の機械の感じとかも、すごくジブリっぽいもの。

「ゴッドファーザー」のトム・ヘイゲン

2007年11月27日 | 映画
「ゴッドファーザー」で印象深かったキャラクターといえば、ロバート・デュバルの演じた、トム・ヘイゲンである。
孤児だったのをドン・ヴィトー・コルレオーネに拾われ、頭が良かった為、ファミリーの顧問弁護士となるべく育てられる。
血の結束を誇るコルレオーネ・ファミリーの中で、彼一人だけはイタリー系でもなければ、シシリー生まれでもない。

私は始終トムが裏切るのではないかとハラハラして見ていた。
確かに彼はドン・コルレオーネに深い恩義を感じているだろし、ファミリーのみんなも愛しているのだろうが、あまりにも沈着冷静で感情を表に出さないので、一体腹の中では何を考えているのか判らなかったからだ。

トムのような男は確かに頼りになる。
しかし、口が堅いということは、反面、人間の生の喜怒哀楽の感情に乏しいということだ。
そこに何ともいえない薄ら寒さを感じる。
若い頃はトムのような人間―頭が切れ、沈着冷静で感情を表に表さない人間―に憧れたけれど、今はむしろ長兄ソニーのような熱血バカの方が友人としては信頼できるかも・・・などと思っている。

「ゴッドファーザー」のスピンオフ映画を作るとしたら、トム・ヘイゲンの目線で作ると面白いかもしれない。
ファミリーの中にいながら、家族ではなく傍観者として生きる人間・・・。

タナカヒロシが教えてくれた

2007年11月25日 | 雑感
長い間、「来るものは拒“み”去るものは追わず」でやってきた結果、本当に友達がいない。

いないものは仕方がない、これから作るしかない。

今年一番の収穫は「タナカヒロシのすべて」を観たことかも。

いかん、他者と関わろうと強く思った。

今までの私は、あまりにもタナカヒロシ的でありすぎた、と思う。

見果てぬ夢 「トゥルー・ロマンス」

2007年11月24日 | 映画
これだけ自己啓発本を何冊も読み漁り、「やっぱり自分が強くなるしかないんだ」と悟ったかと思えばさにあらず、偏屈王氏の他力本願は未だ止むことを知らず。

たとえばこんな映画。

誕生日だってのに一人ぼっちで、場末の映画館でソニー・チバの出てくるB級映画を観てると、すごく綺麗でセクシーな女の子が膝にポップコーンをこぼす。

それがきっかけで意気投合しちゃって、その日の内にベッド・イン。

そしたら「あたしあなたのこと、ホントに好きになっちゃった」

・・・って、えーっ、マジっすか!?

この映画を「出来すぎだ」、とか「あり得ない」なんていうつまんない奴とは友達になれないね(笑)。

だって、これは全ての孤独な人間が見る夢だもの。

アラバマは夢の女。

パッとしない不完全な自分を何故か熱狂的に愛してくれる。

自分の人生にもこんなことが起こらないだろうか?なんて未だに夢みたいなこと考えてるんですけどね。

え、偏屈王さんはもう結婚してるじゃん、て?

いっけねー、すっかり忘れてたよ。
(忘れんなよ!)

「生き方ナビ」 太田哲也

2007年11月21日 | 
「生き方ナビ」 太田哲也 清流出版 再読

「日本一のフェラーリ遣い」の異名を持つレーサー太田氏は、98年、フジスピードウェイで行われたGT選手権で多重事故に巻き込まれ、瀕死の重傷を負う。
23回に及ぶ手術、リハビリを経て復活。


太田さんは自分の弱さを人にさらけ出すことの出来る、とてもとても強い人だ。
太田さんから元気を貰いたくて「生き方ナビ」を再読。
本当の痛み、本当の苦しみを知っている人ならではの、温かい言葉の一つ一つが胸に染み渡る。

KEEP ON RACING 太田哲也公式サイト

古武士の風格 井上雄彦

2007年11月21日 | 雑感
今月号のダ・ヴィンチは、井上雄彦の特集。

11月29日にいよいよリアルの7巻がOUT。楽しみ。

特集巻頭の井上の写真がまるで古武士のように澄んだ厳しい表情だったのに驚く。

その目は紙面を通して、まるで読んでいる私の全てを見透かすようだ・・・。

30代半ばの頃の写真は、水泳金メダリストの北島に似た、イタズラ坊主という感じだったのだが、いつのまにこんなに悟った風貌になったんだろう?

「バガボンド」を描いていることが大きいのかな?

「みんな強くなればいい。人に優しくするためには強くなければ出来ないから」

という井上の言葉が心に残った。

「1秒で打て」と雀鬼は言う

2007年11月21日 | 雑感
「1秒で打て」と雀鬼は言う。
長考すると打算が混じる。
打算とは自分さえ良ければいいという考えだ、と。
考えるな、感じろ、とも。
1秒で打った結果に責任を持て、と。

考えてばかりいないで行動に移し、結果責任は自分が負うこと。
難しいけれど、徐々にこれが出来る人になりたい。

日本幻想文学集成 「芥川龍之介」 橋本治 編

2007年11月17日 | 
日本幻想文学集成 「芥川龍之介」 橋本治 編 国書刊行会


橋本治らしいマニアックなセレクトの芥川龍之介アンソロジー。

「裏畠」や「葱」って初めて読みました。
特に「葱」は、へぇ~、芥川もこんなユーモラスなのを書くんだねぇ、と感心。
声を上げて笑ってしまったくらいです。


ちなみに偏屈王が最も好きな芥川の短編は「魔術」かな。
強いて一本挙げるのは難しいけれど。
(このアンソロジーには未収録)

アンビバレンツ

2007年11月17日 | 雑感
「シェフと素顔と、おいしい時間」を観る。

ジュリエット・ビノシュがジャン・レノに

「あなたって人間嫌いの癖に、孤独に耐えられないタイプね」

というシーンがあるんだが、自分のことを言われてるのかと思った(笑)。

えーえー、だからこうしてせっせと毎日ブログを更新してたりなんかするわけですよ(笑)。



奇跡の女性 チソン

2007年11月16日 | 雑感
奇跡の女性 チソン

気持ちが折れそうになったときは、イ・チソンさんのことを考えてみる。

こんなにも靭(つよ)い精神の持ち主を見たことがない。


著書「チソン、愛してるよ」で一番衝撃を受けた件(くだり)。


「その人(飲酒運転をして追突した犯人)の家族がやってきたら、イエスさまが私たちの罪を全て洗い流し、許してくれたように、私たちにも『許す』という言葉を使う資格があるとするならば、イエスさまの名において許すと、そう言ってください」


イエス・キリストが湖面を歩いて渡ったり、イエスの衣の裾に病人が触れると病が癒えたというような奇跡が聖書にはたくさん載っているが、イ・チソンさんは生きた奇跡、奇跡そのものだ。

普通の人間なら、神を憎んだり、運命を呪ったりしなければとてもいられないところなのに、この人の心の中には愛と許ししか存在しない。



付記:その後、チソンさんは何度かの辛い手術に耐え、この上の写真よりも美しくなっていることを書き添えたい。

愛が溢れてる 「町長選挙」 奥田英朗

2007年11月14日 | 
伊良部先生はやはり名医なのかも。

「物事、死人が出なきゃ成功なのだ」

なんか滅茶苦茶大雑把なくくりだけど、まさにその通り(笑)。

仕事で失敗したり、失恋したり、その他諸々落ち込んでる人には、この言葉を言ってあげたいと思う。



それにしても奥田英朗の本はいいよね。

他者への愛で溢れてる。

みんな何かしらちょっと変なところがあるんだから、そのままでいいんだよ、って。

私怨で小説を書いてるような人もいるけど、何か物を作る人間には、基本、奥田のようであって欲しいな、と思う。