キネオラマの月が昇る~偏屈王日記~

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「イン・ハー・シューズ」

2006年05月30日 | 映画
※ 完全ネタバレです。

「プリズン・ブレイク」に何度も何度も予告編が入ってて観たくなりました(笑)。
地味だけど爽やかな佳作。

美人でスタイル抜群だが無職で何の資格もない妹マギー(キャメロン・ディアス)は、弁護士の姉ローズ(トニ・コレット)の恋人を寝取ってしまい、たった一人の理解者である姉と険悪な関係に陥ってしまう・・・。

本作で一番感動的だったのは、盲目の大学教授とマギーとの交流でしたね。

教授がマギーに詩の本を読んでもらう。
で、彼女が難読症なのを知るんだけど、そのまま最後まで読ませて詩の解釈を聞く。
マギーの「失くしたものは愛」との答に「Aプラス。君は賢い子だ」と教授が言ったときの彼女の輝くような笑顔!

そう、彼女は「綺麗だ」とか「スタイルいいね」とか、そんなとこじゃなく「頭がいい」って誉められたかったんだろうな。
だけど今までの人生で誰もそんな風には誉めてくれなかったんだろうな、と観客が一瞬にして悟るいいシーンです。

適切な誉め言葉がどんなに人に勇気を与えるか!
私もこの教授のような人になりたいと思います。

もちろんマギーが立ち直ったのは祖母(シャーリー・マクレーン さすがの存在感です)の愛情のお陰であり、愛する母親との思い出を共有する姉の愛情のお陰なんですが、自分にピッタリの天職を見つけたというのも大きい。
最後、自分の好きなオシャレを活かして、老人相手のファッション・アドバイザーを仕事にするところ、すごく良かった。

でもやっぱり彼女に一番力を与えたのは教授の一言なんですよね。

「日本沈没」ならぬ「日本水没」

2006年05月30日 | 雑感
※「日本沈没」のネタバレあり。

なんかここんとこ、やけに雷雨が多くないですか?
昼間は晴れてムシムシしてるのに、急に空が夜みたいに暗くなって、雷雨になるというパータンが多い。
しかもまだ5月だっていうのに・・・。

子供の頃日本は亜熱帯って習ったけど、もはや熱帯ですよね。
夏の暑さが35℃とか36℃とか、信じらんないですよ。

全く話は変わるけど、最近小松左京原作の映画「日本沈没」がリメイクされましたよね。
「日本沈没」は聖書に出てくる「ノアの箱舟」の話みたいに短期間で日本が沈むわけですが、実は本当の「日本沈没」ってこんな風にじわじわと異常気象が続いた挙句に、床上浸水等の被害が毎年増加してくのかもしんない。

「日本沈没」ならぬ、「日本水没」みたいな。
そっちの方が逆に怖いかも。

「ピンクパンサー」

2006年05月28日 | 映画
この週末は映画を2本という強行軍。
「ピンクパンサー」を観て来ました。

いやはやスティーブ・マーティンの芸達者ぶりにびっくり。

だって、フランス人のジャン・レノよりフランスなまりの英語を喋ってるし(笑)。

彼がいろんな国のなまりで「ハンバーガー」というところはタモリの4ヶ国語麻雀を彷彿とさせました。

ただネイティブ・スピーカーじゃない日本人に、彼の上手さがどのくらい伝わるかちょっと疑問。

「スラップスティック(ドタバタ・コメディー)でアカデミーにノミネートされないのは解ってるよ。でも僕はスラップスティックが好きなんだ」
と言ってたマーティン。

その喜劇役者のプロ魂に敬礼!であります。

とんでもない羞恥プレイに挑んだジャン・レノにも敬礼。
そして白いサマードレスを着たビヨンセのゴージャスな美貌にも敬礼。

「間宮兄弟」

2006年05月26日 | 映画
世間の皆さんが「ダ・ヴィンチ・コード」真っ只中な週末「間宮兄弟」を観てきました。

原作本が面白くて、映画化すると聞いた時は「そりゃ映画化もするよなぁ~」と思い、兄が佐々木蔵之介、弟がドラドラ塚地と聞いてあまりのキャストのハマりっぷりに「その映画観たい!」に気持ちが変わり、ついに実際に観るに至ったわけです。

うん、しみじみと面白かった。
日常にある小さなシアワセ感がぎっしり。

ベターハーフって本当は異性のことを言うんだけど、同性だったり、肉親だったりのベターハーフっていうのもありなのかもしれない、なんてことを思いました。

原作本の感想でも書いたけど、こんなに気の合う人が側にいるなら、もう恋人とかそんなのはどうでもいいじゃん、ていうか。

原作通りの所も、森田芳光監督オリジナルのところも全部ひっくるめて面白かった。
全体的にゆる~い感じでね。
「かもめ食堂」が主に女性向けのゆる映画なら「間宮兄弟」は男女両方向けのゆる映画かも。
(観客はほぼ男女同数。若干男性が多かったか?)

大体エンディングテーマがRIP SLYMEってとこがエライ!
RIPを使ってる時点で、私の中での森田評価は急上昇です。

ただエンドロールの最後の“アレ”はやらないほうが良かったと思います、監督(笑)。

「落語の名台詞100」

2006年05月25日 | 
「ちょっと小粋な言葉がいっぱい! 落語の名台詞100」
  三遊亭道楽 著 PHP研究所 より

*おれがいったんじゃねぇ。あれは酒が言わせた。『鼠穴』

*世の中でなんかおかしいなー、どうしたんだろうなーってときは、必ず裏に女がいるんだよ。『佐野山』

*自分を落っことしたって金は落とさない。『火炎太鼓』

*人間、遊びっていう楽しみがあるから稼ぐっていう張り合いがつくんだよ。『唐茄子屋』

*情事(いろごと)なんてのは顔や姿で出来るんじゃねぇんだよ。『宿屋の仇討ち』

ああ、なるほど!

2006年05月23日 | 映画
「CUT」の2005年9月号に載ってたんだけど、「銀河ヒッチハイク・ガイド」のガース・ジェニングス監督ってブラーの「コーヒー&TV」のMVを撮った人なんだって?
ああ、なるほど!
道理でセンスいいワケだよ。
「コーヒー&TV」のMVすごく好きだった。
キュートでユーモラスで。
牛乳パックがブラーのギタリストを探して町に出るというストーリー。
「銀河ヒッチハイク・ガイド」のマーヴィンやディープ・ソートがキュートな感じは、まさにブラーのMVを彷彿とさせるよね、うん。
ほんとはあんまファンシーなキャラって好きじゃないんだけど、彼のキャラにはユーモアがあるからね。
そこがいい。

7年ぶりの衣替え

2006年05月22日 | 雑感
つ、ついに、携帯を新しくしました。
思えば苦節7年、前世紀(1999年)からいつも一緒だった携帯。
当時はメールやネットが出来る最新機種だったのに(当たり前か)、今じゃ骨董品。
なんせ画面が白黒です。
友達からクリスマスや正月にeカードを貰っても
「この機種では開けません」
というイカシたコメントが出る始末。
もちろん着メロは単音。
待ち受け画像?
そんなもん日付&時計ですよ。

番号ポータビリティー制度が出来るまでは何とかこのまま・・・と思ってましたが、ツーカーからauへの乗り換えを勧められたこともあり、思い切って変えました。

それにしても長持ちしたなぁ。
バッテリーも切れず、トイレに水没させることもなく、7年。
お疲れ様、マイ・ケイタイ。

新携帯はカメラつき。
ブログの写真掲載が増えるかも・・・!?

佐野へドライブ

2006年05月21日 | 休日
真夏のような暑い日。
GWに果たせなかった佐野へドライブ。
道路はガラガラに空いていた。
連休後&給料日前だからか。

以前から行ってみたかった、佐野厄除け大師へ行く。
思ったよりも小ぢんまりとしていた。
佐野厄除け大師は、観音様に甘茶を掛け鉦をを一つ叩いてお祈りする、という独特なスタイルだった。

その後、佐野城址とみかも山公園へ。
みかも山の入り口にはすごく綺麗な「道の駅」が出来ていた。

道の駅にて昼食後、帰宅。

せっかくのいい天気なので、アウトレットモールやショッピングモールへは行かなかった。

「プリズン・ブレイク」

2006年05月20日 | ドラマ
「LOST」が終わってほっとしたのも束の間。
「プリズン・ブレイク」にハマってしまいました。

死刑の確定した兄貴を救うために、弟がわざと銀行強盗を犯して同じ刑務所に服役。
兄貴の脱獄の為頑張るというストーリー。

TVCMを観て面白そうだな~と思ってたんですが、案の定面白い。
特に壁に穴を開ける云々よりも、刑務所内の人間関係に主人公が悩まされるのなんかはリアルですねぇ~。

人間関係が一等難しいのは塀の中もシャバも一緒なようです(笑)。


ついでに言えば、「LOST」の後番組の「生存者」も観始めてしまってます。

♪欲求のはずが義務に変わり~ by スチャダラパー

もともと海外ドラマを好きで観ているはずだったのに、次第に義務みたいになっていくのは何故だろう?

ああ、ノルマが消化できない・・・・・・。
(ノルマって・・・?)

「海猿」

2006年05月16日 | 映画
*完全ネタバレ

先々週の土曜日、TVで「海猿」を観てそのあまりの完成度の高さに驚いた。
人間が惹かれる「物語」になくてはならない要素が全てきっちりと盛り込まれていた。

(1)主人公(及び他の登場人物)は物語が終わったとき精神的に成長していなければならない。

(2)懸案になっていた問題は解決されなければならない。

(3)(2)によって魂の浄化がなされなければならない。

海猿の表の主人公が仙崎大輔なら裏の主人公は源太郎である。
この話は仙崎たち潜水士の卵の成長物語であると同時に、源の辛い過去からの決別の話でもある。

映画の冒頭で流れるショッキングな映像。
助けを求めて沈没船のドアの隙間から差し出された手を振り解いて海面へと上がっていく潜水士。
これが一体いつ誰が体験したことなのかは明らかにはされない。
過去の話なのか未来の話なのかすら判らない。

これが教官・源の体験した辛い過去だということが観客に明かされるのは、映画も終盤に入ったころである。
そのとき観客は仙崎と共に気付くのだ。

「水深40mで二人の人間が取り残された。エアの残は30、片道一人分だけ。どうする?」
と訓練生たちに何度も繰り返される意地悪な問いは、実は源が今まで何度も何度も心で血を流しながら自らに問い続けてきたものであったろう・・・と。

この問いに対して仙崎は「何とかしてバディーと二人で助かる方法を考える」と言い、優等生の三島は「一人だけでも助かるのが賢明」と答える。

さぁ、その二人に神はどんな試練を用意したか?
「もしお前がへマをしたら、遠慮なく置いていく」と言い放った、冷酷な三島の方が事故によって岩に足を挟まれ動けなくなってしまう。
おまけに三島のエアのボンベは破損。
仙崎のエアを二人で分け合うしかない。

絶体絶命の二人のもとへ仲間たちが助けにやってくる。

潜水士の卵を救難場所に派遣した源は査問委員会に掛けられる。
源をかばう訓練生たち。

「なるほど、これがお前の育てた潜水士か」
と言って五十嵐が初めて微笑む。
この五十嵐という上官は、今まで源がバディーを見捨てたことを決して許さなかった男である。

仙崎たち訓練生は、過去の辛い事故((2)懸案になっていた問題)から、源と五十嵐の二人を精神的に救うのである((3)魂の浄化)。

源がバディーを失ったという重い現実は変えられない。
しかし、訓練生たちがここまで精神的肉体的に素晴らしい成長を遂げたこと((1)登場人物は成長しなくてはならない)、そして、「バディーと二人何とかして助かる」という難事をやり遂げた仙崎と三島によって、源の(そして五十嵐の)心の傷は癒され、魂は浄化されるのである。


う~ん、なんて見事なんだろう。
あまりにも真っ当なそのストーリーに心底感動した。
単館ロードショウでよくある、雰囲気だけの起承転結すらないつまらない映画が、娯楽アクション大作より高尚だと思ってる俗物は多い。

だけど、違うよ。
本当に素晴らしい映画ってのはこういう映画を言うんだ。

「シカゴ」

2006年05月15日 | 映画
男を喰らう雌カマキリ二人。
モラリティー、ゼロ、反省ゼロのヴェルマとロキシーがあっぱれ。
とくにキャサリン・ゼタ=ジョーンズの振り切れっぷりは見事。
「ディボース・ショウ」みたいな可愛らしい役より、断然こういう役が似合ってるよ、悪いけどね(笑)。
そしてレネー・ゼルウィガーって、とっても可愛く見えるときとブスに見えるときの振り幅が大きくて、その一種不安定なところが魅力なんだろうな、なんて思いながら見てました。

しっかしよくもまあ、こんな物語にこんなダンスを振り付けたもんだ。
ものすごい独創性と迫力とエロティシズム。

そりゃオスカーも取るわな。
だって表現者に一番必要なのは独創性だもん。
こんなダンス確かに観た事ないや。

特に人殺し五人衆の踊りは凄かった。
それから弁護士が全員を操り人形のように躍らせているダンス。

映画の始まり方も見事。

5,6,7,8ってカウントでいきなり「オール・ザット・ジャズ」の演奏が始まる。
しかもピッチが滅茶苦茶早くてクール。

いやー、女ってホンットに怖いですね、ではサヨナラ、サヨナラ、サヨナラ・・・。
―――そんな感じの映画です(笑)。

「ギター弾きの恋」

2006年05月15日 | 映画
(ネタバレあり)

友人夫婦が絶賛だったので観てみた。

ああ、切ないね・・・。
私が観たウディ・アレンの映画で最も切ない終わり方だったかもしれない。

誰でもみんなエメット・レイ(ショーン・ペン)みたいな間違いを犯しがちなんだよね。
自分を愛してくれてる人をつい軽んじてしまうっていうか・・・。
本当は自分の話を聞いてくれる人、いつも自分の側にいてくれる人、自分の味方でいてくれる人は大事にしなきゃいけないのにね。


これは何も男女間のことだけに限らない。
同性の友人や、親子・兄弟姉妹についても言えるかも・・・。

「あなたが愛する人ではなく、あなたを愛してくれる人を大事にしてますか?」
ウディ・アレンはそう問いかけているのかも。
一番大事な人に気付くのがその人を失うときだなんて悲しすぎる・・・。

それにしても主演の二人の演技の上手いこと!

このエメットという、尊大で傲慢でエゴイストで、でも本当は気が小さくて弱い男を、ショーン・ペンが本当に見事に演じていた。

そして口の利けない娘、ハッティーを演じたサマンサ・モートン。
恐るべき演技力。
そういえばこの娘は「マイノリティー・リポート」のプリコグも演ってたよね。
あっちも相当難しい役だった。
可愛い顔して演技派なんだよな、実に。

「LOST」 第25話(最終回)

2006年05月12日 | ドラマ
*完全ネタバレ

ああ、ついに終わっちゃいましたね、ファースト・シーズン。

イカダ組があんな目にあうなんて!
でもみんな生きて帰ってくれるものと期待します。

あの男たちが「それじゃその子を貰おうか」と言った時は、全く予期していない展開だっただけにゾッとしました。
シーズン1で一番恐ろしかった。
視聴者は全員クレアの赤ん坊に気を取られていたんですが、それを言うならウォルトも「神の子」だったわけで・・・。
(そしてロックも)

あの汚い小型漁船に乗った男たちが「他のもの」なんでしょうか?
私はむしろダニエル・ルソーの元仲間かも・・・と思ったんですが。

そしてジャック、ケイト、ロック、ハーリーのハッチ組。
まさかハッチが開くとは!

正直、シーズン1では開かないんじゃないかと思ってました。
ほら、人気が出てきちゃったから話を引っ張らざるを得ないもんね(笑)。

ハーリーはまるで何かに邪魔されたかのようにギリギリで飛行機に滑り込みましたね。
機内用の車椅子がなかったロックも、父親の棺桶を飛行機に乗せることを拒否されたジャックも、考えてみればハーリーと同じパターン。

聖歌隊が全員遅刻した話を知ってますか?
なんかその話を思い出しました。

まるでみんなの守護天使がこの飛行機には乗っちゃいけない、って引き止めてくれたみたいだな、と・・・。

あの飛行機の中のシーンは、これから過酷な運命の共同体となるべき人たちが、まだそのことに気付かない不思議で静謐な雰囲気でしたね。

スローモーションにする演出がそれを実に上手く表現してたと思います。

「LIMIT OF LOVE 海猿」

2006年05月12日 | 映画
(ネタバレあり)

どんなに苦しくても辛くても怖くても、そして不可能に思えても、人間にはやらなきゃならない時があるし、逃げないで前に進むことでしか道は開けないんだ、と学びました。

素直にいい映画だと思います。

この映画はそのエンディング曲からも明らかなように「信頼」がテーマです。
上司を信じること、部下を信じること、仲間を信じること、恋人を信じること。

―――何よりも自分を信じること。

その「信頼」を映像で表したのがエンドロールの本当に最後の部分です。

エンドロールの最後のカットは、「海猿」の一作目で戸の隙間から差し出された源のバディーの手に捧げられた鎮魂歌です。

あの「絵」を観て泣かないやつは人間じゃないですね。

私が観た邦画のなかで最も印象に残るエンドロールだったかもしれません。
どうか席を立たないで最後まで観てください。

「海猿」の驚くべき効果

2006年05月12日 | 映画
なんと昨日腹筋運動をした。
背筋運動もした。
もちろん「海猿」効果である。

偏屈王に腹筋をやる気にさせる。
これだけでも「海猿」がいかにすごい作品かお分かりいただけると思う。

「上がって来い!上がって来い、偏屈!」
「下川さん!!」