キネオラマの月が昇る~偏屈王日記~

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「リアル」井上雄彦

2004年10月06日 | 漫画
あの「スラムダンク」の井上が車椅子バスケを題材に描いた漫画。

「リアル」というタイトルは、車椅子に乗っている障害者である戸川清春や、バイク事故で女の子を半身不随にしてしまい、自らも高校中退者となってしまった野宮朋美の生きる、厳しい現実としての「リアル」と、何よりもバスケが好きな気持ちや、男同士の友情という意味での「リアル」のダブル・ミーニングになってると思うんだけど、もうひとつ。
井上雄彦の描く漫画の素晴らしい表現力も「リアル」なんだよなぁ。

もうね、1巻の28ページから泣き泣き読みましたよ、素晴らしくって。
3巻一気読みです。

障害者を扱った物語といっても「24時間テレビ」とか野島伸司の書くドラマみたいな嫌らしさは全然ないから、安心してください(笑)。

勝因はやっぱ、主役の野宮がすげぇいい奴だからだろうな。
直情径行のバカなんだけど、人間として一番大事な芯のとこは外してない男です。
戸川のことを評して
「戸川清春はマシン脚。これはこいつの才能だ」
なんていうとこは、グッときました。
野宮にとっては、戸川が車椅子に乗ってるなんてことはほんのささいなことなんですね。
それよりも、戸川の試合で勝つことへの執念とか、バスケが好きで好きでたまらない気持ちの方に、パッと眼が行く。
だからこそ、人と接するのに壁を作ってた戸川の心へもすんなりと入っていくことができた。

なんかね、この漫画を読むと「いろんな人間がいるから、この世の中は面白いんじゃん!」なんて、珍しく殊勝な気持ちになります。
それはこの漫画の登場人物で、いい加減に生きてる人間が一人もいないから。
野宮朋美、戸川清春、高橋久信の三人の主役はもちろん、女の子たちもめっちゃ魅力的です。
幼馴染の戸川を影から見守り支える安積、半身不随という現実から必死に立ち上がろうとリハビリに励む夏美、一見今時のバカ女子高生みたいだけど、好きな男にひたむきに尽くす古風でかわいい女、ふみか。
心身の傷ついた患者にピッタリと寄り添い、時には厳しく時には優しく接するナース小林。

私は基本的に「努力」とか「友情」とか軽々しく発言する人間は信用していません。
が、この漫画には完敗です。
「努力とか友情って素晴らしい!」って素直に思えてしまうもの(笑)。
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