多くの人が誤解している。
私もかつてはてっきりタラソワの強い勧めなのだと思っていた。
だが違う。
「鐘」を選んだのは他ならぬ浅田真央自身だ。
NHKの特集番組で、「『鐘』を聴いたとき、これしかないと思いました」、と浅田自身が語っていた。
彼女の周りの人間が、曲を変えるように忠告しても、彼女は頑として譲らなかったのだという。
したり顔をしたコメンテーターが、「鐘」は重厚すぎて、浅田真央に合わない、という。
もっと“彼女のキャラクター”に合った明るく軽やかで愛らしい曲を選ぶべきであった、と。
果たしてそうか?
一体どれほどの人が、浅田真央の“真実の”キャラクターを理解しているだろう。
なるほど、パッと見ての印象 ― 無垢さ、純粋さ、愛らしさ ― も彼女の真実には違いない。
だが、浅田真央という人は、自虐史観というものを(図らずも)その両肩に背負わされ、不条理で理不尽な採点システムの下で戦うことを強いられても、そのことについて一切愚痴も泣き言も言わず、ただ己の血の滲む様な精進によってのみ、一歩一歩前進して悪意を跳ね返してきた、とてつもなく強靭な精神の持ち主だ。
これこそが、浅田真央の本質だ。
彼女の心の痛み、憂鬱、怒り、不安、そういったものを無意識に表現しようとした結果が「鐘」の選曲へと繋がったのではないだろうか。
彼女は生まれ付いての“挑戦者”であると同時に“表現者”なのだ。
人生で経験すること、その全てを自分のスケーティングの肥やしとする。
生きていく上での喜びや楽しみだけでなく、その悲しみも怒りさえも。
浅田真央ほど"artist"という言葉に相応しい人はいない。
優れた技巧を持つ匠にして芸術家。
作家ならペンで書き付けただろう。
画家なら絵筆で描いただろう。
だが彼女はスケーターだ。
スケート靴につけられたブレードで氷上に軌跡を描くことで、己を表現する人だ。
スケーターにとっての音楽は作家にとってのペン、画家にとっての絵筆くらい表現に不可欠なもの。
その彼女が「鐘」を選んだ。
私には至極真っ当で納得できる選曲に思える。
彼女ほど深い精神性を兼ね備えた人はいない。
普通の人間が70年なり80年掛かって辿り着く境地に、19歳にしてすでに到達している。
浅田真央ほど「鐘」に相応しい人はいないし、また「鐘」ほど現在の浅田真央に相応しい曲もないと思う。
彼女の魂の深い深いところから欲した曲、それが「鐘」なのだ。
現在の馬鹿げた採点システムのことなど、もはやどうでもいい。
トリノでは、彼女の思い描いたプログラム「鐘」を完成させて欲しい。
私もかつてはてっきりタラソワの強い勧めなのだと思っていた。
だが違う。
「鐘」を選んだのは他ならぬ浅田真央自身だ。
NHKの特集番組で、「『鐘』を聴いたとき、これしかないと思いました」、と浅田自身が語っていた。
彼女の周りの人間が、曲を変えるように忠告しても、彼女は頑として譲らなかったのだという。
したり顔をしたコメンテーターが、「鐘」は重厚すぎて、浅田真央に合わない、という。
もっと“彼女のキャラクター”に合った明るく軽やかで愛らしい曲を選ぶべきであった、と。
果たしてそうか?
一体どれほどの人が、浅田真央の“真実の”キャラクターを理解しているだろう。
なるほど、パッと見ての印象 ― 無垢さ、純粋さ、愛らしさ ― も彼女の真実には違いない。
だが、浅田真央という人は、自虐史観というものを(図らずも)その両肩に背負わされ、不条理で理不尽な採点システムの下で戦うことを強いられても、そのことについて一切愚痴も泣き言も言わず、ただ己の血の滲む様な精進によってのみ、一歩一歩前進して悪意を跳ね返してきた、とてつもなく強靭な精神の持ち主だ。
これこそが、浅田真央の本質だ。
彼女の心の痛み、憂鬱、怒り、不安、そういったものを無意識に表現しようとした結果が「鐘」の選曲へと繋がったのではないだろうか。
彼女は生まれ付いての“挑戦者”であると同時に“表現者”なのだ。
人生で経験すること、その全てを自分のスケーティングの肥やしとする。
生きていく上での喜びや楽しみだけでなく、その悲しみも怒りさえも。
浅田真央ほど"artist"という言葉に相応しい人はいない。
優れた技巧を持つ匠にして芸術家。
作家ならペンで書き付けただろう。
画家なら絵筆で描いただろう。
だが彼女はスケーターだ。
スケート靴につけられたブレードで氷上に軌跡を描くことで、己を表現する人だ。
スケーターにとっての音楽は作家にとってのペン、画家にとっての絵筆くらい表現に不可欠なもの。
その彼女が「鐘」を選んだ。
私には至極真っ当で納得できる選曲に思える。
彼女ほど深い精神性を兼ね備えた人はいない。
普通の人間が70年なり80年掛かって辿り着く境地に、19歳にしてすでに到達している。
浅田真央ほど「鐘」に相応しい人はいないし、また「鐘」ほど現在の浅田真央に相応しい曲もないと思う。
彼女の魂の深い深いところから欲した曲、それが「鐘」なのだ。
現在の馬鹿げた採点システムのことなど、もはやどうでもいい。
トリノでは、彼女の思い描いたプログラム「鐘」を完成させて欲しい。