完全ネタバレです。ご注意ください。
ちゃらちゃらした恋愛物を思わせる邦題に油断していると痛い目にあうぞ!
高尾山登山かと思って、スニーカーにウィンドブレイカーで家を出たら、そのままエベレストに連れて行かれたくらいの大ショック。
大火傷を負った患者ジョセフの背負っている過去も重かったけれど、看護師ハンナの過去は重いなんて単語で語りつくせるもんじゃない。
この映画、最初から幼い子供のモノローグで始まるんだが、ラストまで観て、実は兵士に命令されてわが子を撃ち殺した母親というのはハンナ自身と知った時のショックは筆舌に尽くしがたい。
トマス・H・クックの記憶シリーズを読んだ時のような、何ともいえないやりきれなさが残る。
ここから先は神や宗教の領域、というか。
ハンナの深い傷ごと彼女を愛そうとしたジョセフには確かに心打たれる、打たれはするんだが、ハンナの過去は男の愛情くらいで癒されるような傷じゃないし、心に傷を抱えた者同士が一緒になったからといって上手く行くとも思えない。
いやジョセフは本当に彼女を愛してるのか?
自分のエゴ―親友の妻と不倫の関係になり、しかもそのことを親友に告げた―のために親友は炎に飛び込み自殺した、そのことの贖罪の為に、誰かを救いたかっただけじゃないのか?
全く、なんて話だ。