キネオラマの月が昇る~偏屈王日記~

キネオラマとはシネマのこと 映画・本・音楽・お笑いネタ コメント・TBは承認制 コメント入力時の数字は半角でプリーズ

それも一理ある

2005年10月30日 | 雑感
「健全な精神は健全な肉体に宿る」という言葉が大嫌いだった。
若い頃は、こういうスローガンを平気で掲げることが出来る人間の無神経さを軽蔑していた。

大体、身体障害者や病弱な人間は不健全だという論理になってしまうではないか。
そしてあまり知られていないが、もともとは
「健全な精神が健全な肉体に宿りますように
という祈りの言葉の尻尾がとれたものなんである、この言葉は。

最近はガラッと変わって、「健全な精神は健全な肉体に宿る」という言葉にも一理ある、と思うようになった。
うつ病は日照時間の少なくなる冬季に増える。
日光に当たらないとセロトニンという物質が体内で作れないかららしい。
不眠症も然り。
夜、眠れないとお嘆きの貴兄、昼間お日様にあたってますか?
昼休みに10分間でいいから強い日光に当たれば、夜ぐっすり眠れるはず。

人間の精神性も非常に物理的、身体的なことに左右されるのだ。
風邪で寝込んだとき、次から次へと暗い考えに取り付かれる人は多いはず。

ただ、健全な肉体に不健全な精神が宿っている場合も、往々にしてある。

*最近本で読んでへぇ~と思ったこと。
一日20分程度のジョギングによって満腹中枢を刺激するレプチンという脳内ホルモンが分泌されるそうだ。
適度な運動は過食も抑えてくれるらしい。

「黒蠅」(下巻) 読了

2005年10月30日 | 
「黒蠅」(下巻)読了

なんだか登場人物がどんどん不幸になっていく気がする。
(というか、実際なっている)
取りあえずマリーノには幸せになって欲しい。
スカーペッタやルーシーはともかく。
(↑冷たいな)

鼻持ちならない坊ちゃん(ベントン・ウェズリー)嬢ちゃん(ケイ・スカーペッタ、ルーシー・ファリオリ)ばかりの検視官シリーズでもっとも魅力的なのはピート・マリーノ刑事である。
はっきり言って彼がいなかったら、検視官シリーズも読み続けてないかも。
彼は学歴も高くないし、粗野で汚い言葉を使い、すぐブチ切れる。
が、実は非常に頭が切れ、正義感が強く、情が深い。

ところで「黒蠅」は「羊たちの沈黙」に似すぎているように思うが大丈夫か?
ル・ガル(狼男)とレクター博士がかぶってしょうがない。

ただ、いくらパトリシア・コーンウェルといえども、トマス・ハリスの描写力には遠く及ばないが・・・。

トマス・ハリスが描くレクターは確かにある種の狂人である。
しかし、知性という鋼鉄の背骨がビシーッとその人格の中心を貫いているので、不思議と後味は悪くない。
優美ささえ感じさせるのは大したものである。