キネオラマの月が昇る~偏屈王日記~

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セッション9

2003年08月30日 | 映画
 これ、シャイニングだね。 ホテルじゃなく病院を舞台にしたシャイニング。 たしかに、建物に執り憑く妄執の存在もあるかもしれないけど、人の精神の脆弱さが一番恐ろしいという、作品のテーマが一緒。 多分、脚本の人はシャイニング好きだと思う、絶対。
 精神病院を町役場に改装するのに雇われた、アスベスト除去の会社の男たちが、どんどん追い詰められていく話。
 オチはといえば、オバケや幽霊よりも、生きている人間が一番怖い・・・・・・ある意味、真理ですなあ。 だから、この映画はホラーというより心理劇なんだよね。
 舞台装置としての廃病院が怖い。 壁のペンキが瘡蓋のように剥がれかけているのとか、壁一面に張られた古い写真とか・・・。
 天井が低く長い廊下の壁一面に、ビニール製の手術着がずらっとかけてあるシーンでは、鳥肌が立った。
 血や大きな音で驚かしたりするのではなく、あくまでも淡々と静寂の中、物語が進行していくのが、怖さとともに哀しみを誘った。

 世の中で一番怖いこと、それは、働いて女房、子供を食わせていくこと・・・そんな、男だったら洒落になんない怖さを描いた、サイコ・サスペンスの佳作。