2月28日、全難聴は映画やDVDの字幕付与について、甘利経済産業大臣に要望書を出した。
日本映画の字幕がないことで、多くの難聴者が映画を楽しめないでいることを指摘し、まず聞こえない人に対する字幕のガイドライン作成の要望を掲げ、字幕付与等の経済的助成措置を要望している。3番目に、市販されている映画ソフトへの字幕付与の義務化を要望している。
ラビット 記
--------------------------------------
日本映画への字幕付与に関する要望について
時下、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
日頃より、私ども中途失聴・難聴者の福祉向上にご理解ご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。
現在、国内各地で上映されている「洋画」の映画には殆ど日本語の字幕がついていますが、「邦画」には特別なものの他多くのものに日本語字幕は付きません。日本人が見るのだから当然と思われるでしょうが、私たち聴覚障害者には字幕の無い邦画は楽しむことが出来ません。また、この度、アメリカ映画「バベル」において、日本のろう者の物語部分がありますが、日本語部分には字幕が無いため、聴覚障害者のストーり一部分を聴覚障害者が理解できないという矛盾に聴覚障害者有志による署名運動が開始され、広がりを見せています。聴覚障害者の生活範囲拡大のために映画は大きな社会学習の情報源であり、健聴者同様、心の癒しでもあります。
私どもは聴覚障害者や関係者が仲間とともに映画を楽しむことができるよう、下記の通り要望致します。
記
1 日本映画の情報バリアフリーの実現のため、ガイドラインを作成して下さい。
聴覚障害者が日本映画を楽しむためには、音声言葉の文字視覚化が必要です。また、台詞の文字ばかりでなく、電話の音、ドアが開く音、鳥のさえずり、車などの警笛、機器類などの警報音等、画面に現れない「音」の様子を説明する字幕も必要です。さらに、文字の大きさ、色、背景とのバランス、要約の程度、表示時間等、読みやすさ等に配慮した字幕について、統一した規格・規定がありません。こうした聴覚障害者に配慮した映画字幕の規定或いはガイドラインを策定してください。
また作成に際しては、私ども社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会をはじめ、バリアフリーのニーズを抱えた当事者が策定に関われるようにしてください。
2 映画の情報バリアフリー化を援助する、財政支援措置を実施して下さい。
テレビの字幕は1997年、放送事業者に対して当時の郵政省(現・総務省)の作成した指針や予算的な補助があって普及し、今年2007年には字幕付与可能な番組100%に字幕をつけるという目標に向かって急速に字幕付与が進んでいます。聴覚障害を持つ国民や、一部の外国入等の情報バリアの解消に寄与をしています。映画でも、字幕付与等、バリアフリー化を進める財政支援措置を実施して下さい。
3 市販の映画ソフトコンテンツの字幕付与義務づけを実施して下さい。
現在までに日本で制作した映画等の映像ソフトは2006年12月の日本図書館協会調べで、VHSの全タイトルは20,956タイトルで、その内字幕付与は139タイトル(0.66%)、DVDの全タイトルは約14,000タイトルで、その内字幕付与は約1,000タイトル(7.1%)です。DVDで若干増えているものの、こと日本映画映像ソフトの分野では聴覚障害者はその視聴を殆ど無視されているといって過言ではありません。市販される映画ソフトについても、字幕付与の義務付けを実施して下さい。
以上