難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

難聴の説明に筆談ボードの活躍

2006年07月03日 21時42分33秒 | 生活
今日は、勤務先に新しい派遣社員が二人、配属された。オリエンテーションとして、会社、事業所の概要、業務の概要を上司が説明し、小職が業務に使うシステムや端末の説明することになっていた。
上司の説明の後、自分の説明に入る前に、ホワイトボード(筆談ボード)に、「私は難聴です。呼ぶ時は肩を叩いて下さい。話す時は近くで話して下さい。紙に書いて下さい。メールとか。会議の時は要約筆記」と書いて、見せながら説明をした。
すると、上司が、彼と話す時は正面を向いて話して下さい。横や後ろからでは分からないとか補足してくれるではないか。これは驚くと同時に嬉しかった。

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勤務先は、派遣社員の出入りが激しいので、何度も同じようなことを説明しているが今回は最初の最初に、「難聴です」と切り出してしまった。どういう時に聞こえないのか、どう聞こえるのかは説明せず、「子供の時の抗生物質の注射で」と原因を説明すると、なぜか納得してくれる。こちらも日頃の行いが悪いから失聴したとか、変な引け目を感じなくてすむ。聞こえなくなったのは自分のせいではないのだから、それをはっきり言った方が自分の気持ちが軽くなることに気づいた。
「肩は軽くたたいてください。強く叩いたり、つつかないで下さい」と冗談を言うと反応してくれる。これで、大分距離感が縮まった。
話す時は、用件のある業務連絡や出力結果などの紙を示してもらうと分かりますと説明すると、頷いている。
オリエンテーションの説明中にも電話で呼び出される。私は拡声電話を使っているので自分の席まで戻らないといけないとも説明したりしたので、難聴者にはいろいろな対応が必要なことを結構理解してもらえたのではないか。
電話の保留した内線番号などの数字を指で表す方法やアイコンタクトなどはまだ後のコミュニケーションのために取っておいた。

上司が、要約筆記の派遣は決裁書を取っておこう、自分が印を押すからと言ってくれた。

ラビット 記



難聴者協会がこれからの要約筆記事業に関わる意味

2006年07月03日 02時46分24秒 | 要約筆記事業
全難聴が難聴者対象要約筆記研修の受講者を難聴者以外の会員にも拡大して、再募集している。
http://www.zennancho.or.jp/info/event.html
電話03-3225-5600
ファックス3354-0046

6月末の厚生労働省の障害者自立支援法のコミュニケーション支援事業の実施要項の課題と要約筆記者事業のポイントにして、施策を形成する厚生労働省担当官、要約筆記調査研究事業をリードしてきた委員たちがその狙いを語る学習会はこれが初めてだろう。

要約筆記者事業がなぜ「権利擁護の事業」と言われるのか、難聴者協会のこれまでの要約筆記奉仕員養成講習会と要約筆記者養成講習会との関わり方は変わるのか、要約筆記者は要約筆記と難聴者とどう関わってきたのか、なぜ通訳としての要約筆記を目指すのか、いま市町村に何を働きかけるべきか、これらを理解しなければ、新しい要約筆記者事業に関われない。

通訳としての要約筆記を追及してきた要約筆記者、要約筆記運動を牽引してきた要約筆記者と要約筆記者制度の確立を目指す事業責任者、難聴者がその熱い思いをぶつける講義とパネルディスカッションに期待したい。
参加費や交通費の負担が軽くはないが、協会の仲間や要約筆記者と話し合い代表を送り込む形を考えてはどうだろうか。

7月7日が締め切りだ。

ラビット 記
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この要約筆記研修会は、「難聴講師を養成」することが目的ではありません。
なぜ、難聴指導者養成講座ではなく要約筆記研修会にしたのか、改めてご説明をいたします。
障害者自立支援法で要約筆記事業がどのように位置づけられたか、要約筆記「者」事業の意味は何なのか、要約筆記者事業をどのように各都道府県、市町村で実施していくかなどについて、当事者として事業に関わり、予算要望するためにはこれらについてよく理解をしなければなりません。
政令指定都市における要約筆記事業をどう進めるかについても、県協会と政令指定都市協会と十分な協議がないままのところがほとんどです。自立支援法対策県本部の中でもろう団体に要約筆記事業と手話通訳事業との違いを説明しきれていない県もあるかと思います。
6月26日、厚生労働省関係会議が行われ、地域生活支援事業の基本的指針が厚生労働省告示第三百九十五号で示され、実施要綱も公開されています。この資料でコミュニケーション支援事業の実施要項が発表されましたが、要約筆記者の養成は都道府県の事業であることが実施要項に載っておらず、要約筆記奉仕員養成事業が載っていることから起きている混乱も多々あります。このため、市町村に対して、私たちから要約筆記事業の意味を説明し、実施要綱の案を提起することが必要になるということです。
こうしたことを今回の研修できちんと理解して頂こうとプログラムしております。施策形成の責任者の厚生労働省地域生活支援室長補佐、全難聴要約筆記事業の責任者の高岡理事長、要約筆記者養成カリキュラムを作成した養成指導委員など、事業の根幹を知る人が総出演します。この研修会は、要約筆記部が総力で準備したものです。

8月5日、6日というのは、19年度の県の予算編成は最終段階となり、市町村の予算編成がスタートしているという時期です。待ったなしの状況です。
この状況をよく理解して頂くことと、研修会の目的を明確にして、再度全県から参加を募らせていただきます。会員の皆様に再度の呼びかけをお願い致します。


1. 開催日時 平成18年8月5日(土)13時開始、
8月6日(日)15時30分終了
2.会  場 戸山サンライズ(研修について直接の問い合わせはしないでください)  
〒162-0052 新宿区戸山1-22-1
3.主  催 (社)全日本難聴者・中途失聴者団体連合会
4.参加資格 中途失聴・難聴者に限らず全難聴加盟協会員(議決権を有する者)で全日程参加が可能な方
5.募集人数  100名
6.プログラム(予定)2日間とも質疑応答の時間を多く取る予定です。
 ●8月5日 土曜日(13時~20時)
講義1 「障害者自立支援法の概要」(厚生労働省、他)
講義2 「要約筆記通訳者養成等に関する調査研究事業について」
      (全難聴事業責任者 高岡 正)
講義3 「通訳課程カリキュラムが目指すもの」
      (養成指導研究委員 三宅初穂氏)
講義4 「聴覚障害者の人権・要約筆記者の人権」
      (養成指導研究委員 谷口真由美氏)
講義5 「カリキュラム(前期・後期)について」
      (養成指導研究委員 三宅初穂氏)
●8月6日 日曜日(9時30分~15時30分) 
  講義6 「要約筆記観の変遷と通訳としての要約筆記」
     (養成指導研究委員 下出隆史氏)
パネルディスカッション「今後の要約筆記者養成の課題」
   (コーディネーター:三宅氏)



民放の字幕放送の普及

2006年07月02日 20時34分13秒 | 生活
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2005.12.21 YAMADA電気-1.JPG7月2日の東京新聞によると、総務省は在京の民放キー五局の総放送時間に占める2005年度の字幕放送の割合が25%を越え27.5%に達したという。2004年度の22.3%より5.2%増加した。

テレビ朝日が30.8%と一番高く、日本テレビ28.9%が続いている。在阪の朝日放送25.6%、読売テレビ放送25.3%も健闘している。

字幕放送の普及に取り組んできたものとしては大変嬉しいことだ。
総務省の字幕放送普及の指針では2007年までに字幕付与率100%を目標にしているが、これは字幕放送可能な番組に対する割合だ。
字幕放送可能なというのは、音楽番組やスポーツ等の生放送番組を除くという意味だったが、今はどの局も生放送のニュースに字幕放送が付くし、大相撲、夏季・冬季五輪、ワールドカップのサッカーにも字幕放送が実施されている。
字幕放送可能なという意味がなくなってしまったということだ。

これからの字幕放送の拡大には、二つの課題が考えられる。
一つは、字幕は番組制作の一部なので、国の助成金に頼ることなく付けることだ。放送事業者みずから字幕放送を国民から電波を預かった事業者の責務と考えて欲しい。
補助金は今後削減される。放送界で地方局やケーブルテレビなど経営基盤の弱い局を支援する基金を設けたりする必要があるだろう。
二つ目はわが国のテレビ放送は生放送が多いので、生放送の字幕をさらに拡大するには新しい考え方の字幕放送が必要だ。
全て文字にすることが正しい情報の伝達にならないこと、生だからそのまま文字にしなくはならないというわけではないことの理解やバラエティの声の重なりはタイムラグ放送(映像と音声を数秒遅らせる)を採用するとかなど新しい発想と技術を使う必要がある

ラビット 記




名古屋登要会の発足

2006年07月01日 23時31分51秒 | 要約筆記事業
5月20日、名古屋市登録要約筆記者の会」(登要会なごや)が発足した。

要約筆記者がコミュニケーション支援を担うことから、「聴覚障害者の権利擁護のために、要約筆記者の集団として、名古屋市におけるコミュニケーション支援に参画」しようとするものだ。
http://www.normanet.ne.jp/%7emeina/008/

通訳の意識を持った要約筆記者集団の発足が各地で相次ぐことを期待したい。

ラビット 記




要約筆記事業の広域ネットワーク事業は?

2006年07月01日 13時31分13秒 | 要約筆記事業
全国要約筆記問題研究集会札幌集会の第2分科会要約筆記の広域派遣の分科会で、全難聴側から以下の問題提起が出された。

障害者自立支援法では、都道府県事業としてサービス提供者情報提供等事業で、広域派遣ネットワーク事業が要約筆記も手話通訳も実施される法的根拠が出来た。実際の運用の仕組みを提案していかなくてはならない。
1.公的制度により広域派遣が実現する意味
 聴覚障害者の権利保障は地域により限定されない
 市町村ではできない事業は都道府県が実施義務を負う 都道府県の事業
2.公的派遣制度の実現に向けて、必要なこと
1) これまでの要約筆記広域派遣を問題点の整理すること
・ 要約筆記者のレベル、モラル
・ 派遣コーディネート体制
・ 事業体や施設間の共通認識
・ 受け入れ側の理解
・ 利用者の理解など問題
2) 各都道府県へ要望すること
   いつまでに? 早急に 10月から施行
   何を?  
3) 要約筆記の派遣ネットワークの設置への働きかけ
   どこに? 全日本ろうあ連盟、聴覚障害者情報提供施設協議会など
   誰が?  全難聴と全要研

050705_1342~001-1.jpg4) 進め方
  各団体の委員、担当者による協議を始める。
  共通ルールの作成 
  両組織案の決定
その他の課題
○ 制度が未確立の現時点で誰が担うのか
○ 教育や企業などの制度外の派遣
○ 同一都道府県内の市町村間の「広域」派遣は?
○ 費用負担は?


(別記10)
その他の事業
 1実施事業
 (9)社会参加促進事業
  (カ)サービス提供者情報提供等事業
a.事業内容 障害者が、都道府県間を移動する場合に、その目的地において適切なサービスの提供が受けられるよう、必要な情報の提供等を行う。
b.留意事項 実施主体は(指定居宅介護事業者、手話通訳等)や関連事業との連携を図るとともに、適切かつ公正な情報提供に努めること。

ラビット 記
写真は昨年7月5日、障害者自立支援法に反対する集会で活躍した要約筆記者の皆さん