※本文が消えてしまったので、再投稿。原因不明。
朝日新聞社が、BSデジタル放送に関する記事で、字幕が不要と受け取られかねない記事を掲載したことに対して、全難聴は記事の「訂正と取材の要望」を出した。
テロップと字幕を意図的にか知らずしてか取り違えて書いているため、字幕放送の字幕を必要とする人々が不快を表明した。
折しも天皇がテレビの視聴に字幕放送の字幕が必要なことを述べたばかりだ。
<記事>
BSデジタル10年、狙いは中高年 地上波ともすみ分け
http://www.asahi.com/showbiz/tv_radio/TKY201012270089.html
宮内庁HP/天皇誕生日の記者会見の談話。
http://www.kunaicho.go.jp/okotoba/01/kaiken/kaiken-h22e.html
ラビット 記
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2010年12月31日
朝日新聞社 御中
社団法人 全日本難聴者・中途失聴者団体連合会
理事長 高岡 正
記者記事の訂正及び取材の要望
平成22年12月27日付朝日新聞朝刊の記事で、見出し「BSデジタル10年、狙いは中高年」中見出し「巨人戦中継・字幕控えめ・刑事ドラマ」という記事があり、その中の3段落目に以下の記載があります。
「・・・BS―TBSが毎週日曜夜に放送している報道番組「サンデースコープ」は極力、テロップを出さないようにしている。1時間に700回も字幕が流れるといわれる近頃の地上波のニュース番組とは対照的だ。 「人の表情を伝え、じっくり感じてもらうのもテレビの大きな役割。我々はそれを放棄して視聴者を字幕にくぎ付けにし、思考を止めてしまっていたのではないか」。TBS報道局出身の平本和生社長は、自戒を込めて語る。・・・」
この記事において、はじめはテロップと言っておきながら、次の段落では「字幕」と言って、「字幕」の弊害を読者に印象付け、字幕の減少が必要と示唆する内容になっています。
私たちは難聴者に対する情報アクセスの保障のために、今、懸命にテレビ放送及びその他の映像メディアへ字幕の増強を国へ強く要望しており、上記のように字幕が弊害となっている表現には気持ちが穏やかではありません。
現在民放地デジの字幕付与率は40%台で、欧米の80~90%台に大きく遅れを取っています。貴社の記事の不都合点を以下に記します。
1 平成19年度策定の総務省の視聴覚障害者向け放送普及行政の指針の本文おいて、「放送衛星による放送の字幕付与の目標は2017年度までに対象のすべての番組に字幕付与」とされています。貴社記事内容と私達の要望があたかも相反すると、読者は思うでしょう。
2 平成22年6月29日の障がい者制度改革推進会議における閣議決定「障がい者制度改革推進のための基本的方向において、その一項目として、『・・・政見放送への字幕・手話の付与等については、関係機関と早急に検討を進め、平成22 年度内にその結論を得る。』」というように聴覚障害者にとって字幕の付与は可及的速やかな実施が求められる問題でもあります。
貴社の記事は多くの障害者の参画が委員の半数を占めて実施している政府の障害者制度改革にブレーキを掛けるものでもあります。
3 先週の天皇誕生日の宮内庁のホームページには陛下のご発言内容が掲載され、そのご発言記事の中に「・・・加齢で耳が遠くなり、・・・ テレビのニュースなどで,アナウンサーの話していることは分かるのですが,他の人の会話はかなり字幕に頼ります。・・・」とあります。
貴社の記事は陛下のお気持ちに掉さすものでもあります。
4 民放放送衛星による放送の字幕付与は韓国テレビドラマ以外、ほとんど字幕が付いていない現状であり、民放放送衛星による放送に字幕を付ける必要があることをぜひ記事にして欲しいと思います。
5 記事の中のテロップと字幕について、言葉の意味把握が不十分による混同・誤用と推察しますが、福祉に熱心な大新聞の記載であり、誤用された字幕の弊害ということへの影響をおおいに懸念するものであります。訂正の記事を分かり易く掲載いただくようお願いします。
ここでいう「字幕」というのはテレビの場合、字幕放送(クローズドキャプション方式)の「字幕」であり、話が聞え難い人から聞えない人までテレビの話の内容を伝えるものであります。クローズドキャプション方式の字幕は必要ない人には画面から消すことが出来る字幕です。高齢社会において、難聴高齢者の急増の中、陛下のようにテレビの視聴に支障をきたす方も増えております。
一方、テロップは単に見出しのように言葉を強調するためのものと考えられ、話全体を伝えるものではなく、不要だからと消すことも出来ません。聴覚障害者は字幕が必要なのです。
一般的にも誤解されることの多い件ですから、訂正や反省という対処的なことだけではなくて、記者の方には、しっかりと理解して良い記事を書いていただきたいですね。