難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

障害者自立支援法に代わる法律の厚生労働省案は骨格提言からほど遠い。

2012年02月08日 00時56分38秒 | 障がい者制度改革
昨日、障害者自立支援法に変わる法律の厚生労働省案が発表されたが、障害者制度改革推進本部障害者総合福祉法部会で議論を積み重ねてまとめた「骨格提言」にも「情報・コミュニケーション法」骨格提言ともほど遠い内容だ。
第一、冒頭の理念のところで、「可能な限り」と出ているにおいてや何をか言わんやという始末だ。
第二に、難聴者は、現行障害者福祉制度では「制度の谷間」にあり、多くの難聴者が支援を受けられないでいるが、「制度の谷間」が特定の疾病を持つものに限定されてしまっている。
第三に、聴覚障害者、難聴者にとって、地域生活で自立するためにコミュニケーション支援事業の地域格差是正と無償化、広域派遣制度などが切望されているが、全く触れられずに、「障害者の理解のための普及啓発」や「ボランティア活動への支援」事業が記されているだけだ。
普及啓発は、障害者権利条約では第8条「意識の向上」に規定されているように、障害者福祉行政にとどまらず国や行政の各器官、教育のすべての段階、メディア全体で取り組む課題になっている。
「基幹相談支援センター」とは専門的支援を行うとあるが、難聴者の求める相談支援事業の充実が履かれるのか分からない。

障害者組織は、2月13日の国会内集会や議員への働きかけを強めようとしている。

ラビット 記
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厚生労働省案

1.理念・目的・名称
⑴ 理念・目的
障害者基本法の改正を踏まえ、法に基づく日常生活、社会生活の支援が、可能な限り身近な場所において受けられること、共生社会を実現すること、社会的障壁を除去することに資するものとなるように、法律の理念を新たに掲げる。また、これに伴い目的規定を改める。

⑵ 法律の名称
障害者自立支援法の名称そのものを見直す。

2.障害者の範囲
「制度の谷間」を埋めるべく、障害者基本法の改正を踏まえ、法の対象となる障害者の範囲に治療方法が未確立な疾病その他の特殊な疾病(難病など)であって政令で定めるものによる一定の障害がある者を加える。(児童福祉法においても同様の改正を行う。)

3.障害程度区分の見直し
法の施行後5年を目途に、障害程度区分の在り方について検討を行い、必要な措置を講ずることとする規定を設ける。

4.障害者に対する支援(サービス)の充実
⑴ 共同生活介護(ケアホーム)と共同生活援助(グループホーム)の一元化
地域移行に向けた地域生活の基盤となる住まいの場について、共同生活を行う住居でのケアが柔軟にできるよう、共同生活介護(ケアホーム)を共同生活援助(グループホーム)に統合する。

⑵ 就労支援の在り方の見直し
法の施行後5年を目途に、就労支援の在り方について検討を行い、必要な措置を講ずることとする規定を設ける。

⑶ 地域生活支援事業の充実
地域生活支援事業として、地域社会における障害者に対する理解を深めるための普及啓発や、ボランティア活動を支援する事業を追加する。

⑷ 総合的な相談支援体系の整備
サービス等利用計画案の作成や地域移行支援、地域定着支援を行う相談支援事業者への専門的な支援などを担い、地域における相談の中核となる基幹相談支援センターは、その事業を効果的に実施するため、地域の事業者、民生委員などの関係者との連携に努めることとする。

5.地域生活の基盤の計画的整備
⑴ 障害福祉計画の見直し
市町村は、障害者の数などの客観的な指標に限らず、地域の潜在的なニーズを把握した上で障害福祉計画を定めるよう努めることとする。

⑵ 自立支援協議会の設置促進
地域の課題を共有し、効果的な基盤整備などについての協議を行う自立支援協議会について、その設置がさらに促進されるよう努めることとする。

6.その他
⑴ 介護人材を確保するための措置
介護人材が安心して、事業所において支援に従事できるよう、最低賃金法などの労働法規に違反して罰金刑を受けた者については事業者の指定を受けられないこととする。

⑵ 関係規定及び関係法律の規定の整備
その他関係規定及び関係法律について所要の改正を行う。

7.施行期日
施行期日は、平成25年4月1日とする。
ただし、4.⑴ (共同生活介護(ケアホーム)と共同生活援助(グループホーム)の一元化)については、平成26年4月1日とする。

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