難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

明日から。全難聴青森大会。

2011年10月07日 21時08分38秒 | 難聴一般
東日本大震災後初めての大会となり未だ被災者の生活再建も出来ていない中、改正障害者基本法が発効し、総合福祉法骨格提言が出され、政府にその実施を迫る制度改革のまっただ中で開催される。

記念講演は、全難聴が国連で障害者権利条約に難聴者の要求する条項の実現する活動のきっかけを作っていただいた長瀬修先生、世界最強のADAの元で難聴者のアクセス権のために政府や関係機関と交渉していた当時の全米難聴者協会の理事長のドナ・ソーキンさんのダブルスピーカー。

分科会は、第一分科会が障害者権利条約とコミュニケーション、第二分科会が東日本大震災と難聴者支援のあり方、第三分科会がプロから学ぶ自信が女性力アップになる化粧について、第四分科会が世界最先端の聴覚補償の実際となっている。

参加者は当初の200名をはるかに越える330名。
福島、宮城、岩手の難聴者は新幹線と貸し切りバスで要約筆記者ともども大挙して参加。最新観光バスには全国初のバス用磁気ループを搭載している。
山の奥の高齢難聴者をひとり、また一人と組織している難聴者の会や、九死に一生を得た沿岸部の被災難聴者も参加する。

感謝状の対象に在京放送局とアメリカから全世界の補聴器・人工内耳メーカーに東日本大震災への支援を訴えた難聴学生の西川愛理さんと多彩なメンバーが招かれている。

話題満載の青森大会だが、分科会の座長の頭は重い。

ラビット 記

なぜ難聴者はコミュニケーションを権利ととらえにくいか。

2011年10月07日 09時20分12秒 | 難聴一般
障害者権利条約の批准をめざして、障害者基本法が改正され、明年は障害者総合福祉法、2年後は障害者差別禁止法の成立をめざして協議が進められている。

社会のあらゆる分野、地域生活でも就労の場でも緊急災害時にすら情報アクセス、コミュニケーションでも大きな制限、困難を抱えている中途失聴者を含む難聴者等はどのように「権利」として自覚すべきか。

なぜ、権利として要求しにくいのか考えると、情報格差、コミュニケーション阻害を感じにくいことがあげられる。聴覚の障害なのでどのくらい聞こえていないのか分からず問題が起きていることを感じにくい。
もう一つは聞こえないのは加齢や疾病などによる聴力の低下で自分に問題があると考えてしまうからだ。聴能が低下すると周囲の騒音、早い話し方、複数の同時会話など聞き分けられなくなるがこれも自分の難聴のせいにする。
「歳を取ったから」とあきらめてしまう。
三つ目は、問題解決を医療や補聴器、補聴器具、あるいは家族の協力などに求め、権利としての社会環境、社会の理解の改善を求める力が弱いことだ。
四つ目は、情報、コミュニケーションそのものがとらえにくいという本質的なものだ。車いすに乗った障害者が階段にの前で途方に暮れていたら何に困っているか分かる。しかし車内放送で電
の遅延が告げられても聴覚障害者はきづかず周囲の人も気づかない。

こうした中で、情報アクセス・コミュニケーションを権利としてとらえるには、難聴という障害が難聴者に与える影響を明確にし、障害を持たない人と同じ権利を保障することが基本的人権の保障につながり、障害を持たない人との格差を埋めること(合理的配慮)をしないのは差別であることを指摘する必要がある。

ラビット 記