難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

難聴者支援事業を考える(再掲)

2006年01月04日 09時30分44秒 | 福祉サービス
障害者自立支援法では、奉仕員事業は障害者の社会参加の啓発・普及のための事業となり、名称も転換されるという。
これまでの奉仕員事業は、障害者社会参加促進事業の情報支援事業として、実施されてきた。点訳、朗読、手話、要約筆記の奉仕員がそれぞれ、養成されてきた。
このうち、手話奉仕員と要約筆記奉仕員が地域によっては、派遣事業になっていたが、これは今回、手話通訳者派遣事業、要約筆記者派遣事業になる。
これは、手話通訳、要約筆記が「通訳」という専門性がある活動を行う以上、当然のことだ。

そうすると、社会参加の啓発・普及を目的とする支援員は、手話の場合、日常会話程度の手話を習得し、聴覚障害者問題の理解を深める人々が市町村でも都道府県でも養成・研修される事業は残る。

要約筆記の場合は、筆談支援員になるというわけでなく、難聴者や中途失聴者が社会参加する上でいろいろな問題を抱えていることを理解し、幅広い支援を行う人々が地域の隅々まで必要だろう。
これは、難聴者が600万人とも1000万人とも言われるように広大なコミュニケーション不全者がいるのに、社会の対応が大変遅れていることからも、身体障害者実態調査でも聴覚障害者の7割が補聴器と人工内耳をコミュニケーション手段としていることからも、「聞こえの支援」に当たる人々が必要だからである。

多くの難聴者のブログやサイトを見ても、失聴した時に、どこに行けば相談に乗ってくれるのか、自分に必要な情報がどこにあるのかわからないという声が圧倒的だ。
新聞等に、難聴の治療や補聴器関係の記事が載ると紹介された問合せ先には電話、ファックスが殺到し、しばらくは仕事もできない状態になるという。
そのぐらい、困っている人が多いのに、情報提供も支援も十分でない実態がここにある。

聴覚障害者情報提供施設も、こうした難聴者等支援のノウハウや専門の相談員を置いているところはまだ少ない。国の設置した更正相談所も聴覚障害というとろう者への支援が中心で、突発性難聴で失聴した人々へのリハビリテーションプログラムも持っていない。
アメリカのアーカンソー大学には、難聴者のためのリハビリテーションプログラムがある。
http://www.uark.edu/depts/rehabres/

東京都心身障害者福祉センターの先生方で邦訳がされているが、本格的に実施されているわけではない。それは、こうした心身障害者福祉センターが市町村の相談所の支援の役割に変わって、直接難聴者の対応に当たっていないからだ。市町村には、難聴者の相談に対応できる専門家も育っていない。人が先か支援技術が先かの悪循環のようだ。

ラビット 記
hearingrabit@yahoo.co.jp