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難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

中途失聴・難聴者の就労・雇用問題と合理的配慮

2008年04月08日 08時25分52秒 | 就労
080406_1450~001.jpg厚生労働省では、第一回「労働・雇用分野における障害者権利条約への在り方に関する研究会」を行った。
これには、聴覚障害者当事者団体は委員に入っていない。
日本の聴覚障害者運動の歴史の中で、知的障害者、精神障害者、視覚障害者団体などとの連携が薄かったか、労働・雇用問題がコミュニケーション支援、教育問題の相対的には後回しになったことが一因かも知れない。

それでも、障害者権利条約の合理的配慮の問題は、聴覚障害者にとっても避けて通れない問題だ。

アメリカでは、雇用・就労における聴覚障害者への合理的配慮について、マニュアルも出来ているが、これらを参照しつつ、日本における「合意」を得なければならない。

以下は、同研究会の資料の1ページ、2ページ、7ページをテキスト化したものだ。原本は以下の通り。

http://www.wam.go.jp/wamappl/bb15GS60.nsf/vAdmPBigcategory50/4623AE7880C0DE604925742100267526?OpenDocument


ラビット 記
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労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方に関する研究会(第1回)
議事次第
1 日時 平成20年4月2日(水)10:00~12:00
2 場所 厚生労働省(中央合同庁舎5号館)17階 専用第21会議室
3 議題
(1)労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方について
(2)その他
4 資料
資料1 労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方に関する研究会開催要綱
資料2 審議会等会合の公開に関する指針
資料3 障害者権利条約をめぐる状況等
資料4-1我が国における「合理的配慮」のあり方について(論点整理)
資料4-2 アメリカにおける「合理的配慮」について
資料4-3 フランスにおける「合理的配慮」について
資料4-4 ドイツにおける「合理的配慮」について
資料5 障害者の権利に関する条約(仮訳)


労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方に関する研究会開催委細(案)
1.趣 旨
平成18年1:三月に国連総会において採択された障害者権利条約については、我が国は昨年9月28日に署名したところであり、今後、早期の条約締結に向けた検討を進める必要がある。

労働・雇用分野に関しても、昨年12月19日付けの労働政策審議会意見書「今後の障害者雇用施策の充実強化について」において提言されているように、同条約には「職場における合理的配慮の提供」というこれまで我が国にない概念が盛り込まれていること等を踏まえた上で、障害者雇用促進法制においてどのような措置を講ずべきか
について、考え方の整理を早急に開始する必要がある。

このため、労使、障害者関係団体等の関係者から成る研究会を設け、障害者権利条約の締結に向けた環境整備を図るため、職場における合理的配慮その他の対応の在り方について検討を行うこととする。

2.研究会の運営
(1)研究会は、厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長が、学識経験者の参集を求め、開催する。
(2)研究会の座長は、参集者の互選により選出する。
(3)研究会の庶務は、厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部障害者雇用対策課において行う。


<今後の障害者雇用施策の充実強化について一障害者の雇用機会の拡大に向けて...
(平成19年12月19日労働政策審議会意見書)>
(6)障害者権利条約の締結に向けた検討
本年9月28日に、「障害者の権利に関する条約」について我が国は署名したところであり、今後、条約の締結に向けて、国内法制の整備等が求められている。

この条約は、障害者の権利及び尊厳を保護・促進するための包括的・総合的な国際条約であり、障害者の自立、非差別、社会への参加等の一般原則のほか、教育、労働等様々な分野において、障害者の権利を保護・促進する規定を設けている。
雇用・労働分野については、公共・民間部門での障害者雇用の促進等のほか、
1
あらゆる形態の雇用に係るすべての事項(募集、採用及び雇用の条件、雇用の継続、昇進並びに安全・健康的な作業条件を含む。)に関する差別の禁止、
2 職場において合理的配慮が提供されることの確保
等のための適当な措置をとることにより障害者の権利の実現を保障・促進することとされている。

これらについて、障害者雇用促進法制においてどのような措置を講ずべきかについては、特に、2の職場における合理的配慮の提供というこれまで我が国にはない概念が盛り込まれており、十分な議論が必要であることから、労使、障害者団体等を含めて、考え方の整理を早急に開始し、必要な環境整備等を図って行くことが適当で
ある。





難聴者一人の日曜受注当番

2008年04月06日 15時26分46秒 | 就労
080406_1451~001.jpg日曜は受注当番を一人で担当するが、4月から異動の配置により当番が増えた。

今は、本当は補聴器が使えないがイヤモールドを腫れて膨らんだ耳穴に押し込んだ。音が漏れてピーピー言うがしょうがない。

電話が鳴る。
「今日はデータの修正がありますのでよろしくお願いします」。
いつもはないのに困った。何件ありますかと聞くとたくさんあると言う。電話では聞き間違えるので、一応毎回ファックスで変更するデータを送ってもらっているが。
昨夜から受信したファックスを見ていると大変だ、今日は日曜なので普通の配送ルートがないのに引き取りに行かなくてはならない。急きょ携帯メールで物流会社に引き取りを打診し上司にも報告する。
すぐ物流会社からはいつの納品か、通常日曜はないはずだと怒られる。受注した支店も異動のため分かる人がいないらしい。
物流会社の担当がたまたま携帯メールをしてくれる人だから良いが、通常は特に急用は電話の世界だ。

先のデータの修正を急いで行う。確認に手間取って締め切り14時ぎりぎりだ。終わった。

また電話が。さっきのデータ修正の派遣会社の人かと思ったら受注元からだ。しめた。今日の引き取りは難しい、明日にして欲しいと必死で頼み込む。
了解をとって、物流会社にメールすると、もう引き取りを指示してあると間に合えば持ち込みますと返事がきた。「!」が文末にちりばめられている。怒っているのだろうか。お詫びをして製造工場に連絡する。
電話の主は知ってる人か誰か分からないが聞き返せない。聞いて分かれば良いが、聞き取れないと恥をかくだけだ。丁寧に話すしかない。
データは明日引き取りになっていると言っているらしい。もう修正されているのだ。
事情を説明して、とにかく出荷を依頼する。


やっと昼食にする。また急な追加受注のファックスだ。また物流会社にも連絡しないと。
請求書の入力の仕事も17時までに出来るところまで仕上げよう。

もう電話がないだろうと補聴器を外した。夕方になって、物流会社担当からのメールに気がついた。引き取り数量が異常に多いのは何かと。携帯を見ていると本人から電話だ。人工内耳ではよく聞き取れない。要領を得ないでいると切れて、拡声装置の付いた電話にかけ直して来た。あわてて、補聴器を付ける。
当社が運ぶのかと言う。データを確認することにしていったん切ったが、手間取っているうちにまた電話だ。


難聴者には拡声装置付きの電話は不可欠だが、重度難聴者にも聞こえる音量が出る電話機は今はない。難聴者向け機器の通販会社から増幅器を自費で購入して取り付けてある。

合理的配慮。電話リレーサービス。周囲への啓発。うーむ。


ラビット 記
勤務先に咲くチューリップ



聴覚障害者の医師国家試験合格 おめでとうございます。

2008年03月30日 15時42分38秒 | 就労

桜並木2.jpg
竹澤公美子さん、医師国家試験合格、おめでとうございます。
同じ聴覚障害者として、連帯の祝意を表したいと思います。

いろいろ、新聞やマスコミの取材を受けて、戸惑われているでしょう。マスコミには伝わらない分からない貴女の思いや悩みがあると思います。

やはり、良い医師になるには、様々な場面でコミュニケーションをどうするかが問題になります。
研修期間中もそうですし、医師になったら、診療と研修と両方に取り組まなくてはならないです。
同僚、先輩の医師はもちろん看護師や職員、様々なスタッフとのコミュニケーションが発生します。この時に、どうコミュニケーションを確保するかが課題で しょう。
補聴器でも人工内耳でも、「聞く」だけでは絶対に不足します。確実な情報伝達として、文字によるコミュニケーションが不可欠と思います。
字幕と要約筆記の違いを理解されて、文字情報の活用を広げて欲しいと思います。

欠格条項をなくす運動をした時は、いずれ聴覚障害者の医師が誕生したら、新しい運動の課題になると話し合っていましたが、もう、その時期が来たのですね。

聴覚障害を持つ医師も、聴覚障害者として社会から差別を受けることは許されません。病院に雇用されれば、働く権利があります。
2001年の欠格条項を持つ法律の改正には、200万名を越える差別法令撤廃の署名と45の都県レベルの自治体の決議がありました。
貴女は、法改正後も聴覚障害を持つ医学生として、学業の合間に様々な場で問題を訴えておられました。

私たちは患者側に立って、病院のバリアフリー、安心して診察を受ける権利の運動はしていますが、病院の中の医師のコミュニケーションの問題はまだ取り組んだこと はありません。
私たちに今出来ることは、文字による通訳のあり方を理解した要約筆記者、字幕制作者を養成することです。

医師免許の申請をされて、厚生労働省が免許をどう判断するか、注目されます。障害者権利条約の批准を前に、聴覚障害者の就労問題も含めて、厚生労働省で情報・コミュニケーション支援のあり方に関わる施策を始めています。

医師も含めて就労環境の整備やコミュケーション支援のあり方も進んだ科学技術を 使うとか、時代に合わせて考えて行く必要があります。

聴覚障害者だから、耳鼻科の医師にならなくてはいけないということはないですね。もし、聞こえない人のことを考えて頂けるなら、産科でも小児科でも、外 科でも聞こえない人には必要な医師です。同じように妊娠も出産もしますし、病気にもなりますから。

これかも一緒に学んだ仲間、今学んでいる学生、社会の聴覚障害者たちと連帯して、頑張っていきましょう。心から応援します。


ラビット 記
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聴覚障害ハンディ乗り越え 医師国家試験に初の合格
朝日新聞
「自分が何で難聴になったのか知りたい」。中学3年の時、医者になり、研究していこうと決めた。手話は覚えず、相手の唇の動きで言葉を読み取る。 ...
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200803280142.html

聴覚障害者、医師に合格=滋賀
時事通信
耳が聞こえない聴覚障害を持ち滋賀医大(大津市)を卒業する竹澤公美子さん(25)が28日、医師国家試験に合格した。2001年に医師法が改正され、聴覚障害者らも ...
http://book.jiji.com/kyouin/cgi-bin/edu.cgi?20080328-8

聴覚ハンデ越え医師試験合格…滋賀医大の竹澤さん
読売新聞
28日に合格発表された医師国家試験で、今春、滋賀医科大を卒業した、聴覚に障害を持つ竹澤公美子さん(25)(大津市)が合格した。大学によると、
2001年の医師 ...
http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20080329p201.htm

聴覚障害をものともせず医師国家試験に合格 竹澤公美子さん
MSN産経ニュース - 2008年3月28日
インターネットの速報で合格を知ったときには「間違いないのかな」と少し考えたと笑う。親戚(しんせき)中が大喜びだというが、「合格はスタートではなく通過点。 ...
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/080328/trd0803282254013-n1.htm

お見事! 医師国家試験に合格 大津の女性、聴覚障害で全国初
京都新聞 - 2008年3月28日
今春、滋賀医大を卒業した聴覚障害がある竹澤公美子さん(25)=大津市=が28日、医師国家試験に合格した。同医大によると、2001年の医師法改正
で視聴覚障害などの ...
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2008032800237&genre=G1&area=S00





国際難聴者会議の報告者のお願い

2008年03月22日 17時36分36秒 | 就労
080321_2153~002.jpg080225_1410~001.jpgPさん。
今晩は。指導者養成講習会以後、ご無沙汰しています。お元気ですか。

先日、国際部の会議が開かれ、国際難聴者会議のワークショップの準備が議題になりました。
私の方から部長に、参加したいといっておられたPさんを発表者に推薦しました。
日本の中途失聴・難聴者の就労問題を報告するのは、年齢層別にしたいと思っています。一人は主に制度の説明を、もう一人は実際に必要なサポートなどを話す、Pさんにはご自分のあるいは若い人たちの就労の問題を報告してほしいと思っています。

先進国である日本が、聴覚障害者の就労サポートではまったく後進国であることを報告すれば大きな反響を呼ぶでしょうし、
欧米といえどもまだまだ難聴者に対する施策は十分でないはずです。

国連の障害者の権利条約の批准もあり、日本政府もどのような施策を出すか検討しているところですから、我が国の難聴者等の就労の実態を報告することは大きな意義があります。

いま日本ではワーキングプアが大問題になり非正規雇用労働者が正社員になったり名ばかり管理職の残業代の支払いが国会でも取りあげられています。
私はこのワーキングプアの人たちの中に中途失聴・難聴者が相当いるのではないか、彼らは正社員になれるのだろうか、難聴を理由に採用拒否の差別を受けたり自ら諦めていないかと危惧しています。

また今は会社で雇用されていても、不十分な対応を理由に会議に要約筆記の派遣を認めない、会議そのものに出席させない、ちょっとした聞き違いにも声を荒げて叱責する、きちんとしたサポートなしに昇格させない、昇給を遅らせるといった差別、パワーハラスメントが日常的に行われているのではないかと思います。

今年になって、難聴の自治体の公務員が、幾ら説明しても電話を取らないのは努力する意思が足りないと電話を強要される、皆が行く選挙実務の応援から外される、後ろを歩く度に椅子を蹴とばす、手話通訳団体の役員もしていた上司が手話もろくにしない、筆談もしない、異動になっても引き継ぎもしないという驚くべき差別、人権侵害を受けている方に会いました。
国連障害者の十年から27年、障害者権利条約が批准の準備がされている現代に大都会のど真ん中で信じられないことが起きています。

「耳のことで悩まないで!」にも、たくさんの差別を受けている体験が載っていましたね。
ネットワークで若い難聴青年の声を集めて、告発することが必要です。

ぜひご報告を引き受けてくださるように、お願いします。

発表は日本語でかまいませんし、質問等は日本語字幕で出るようにします。また、経済的にも大変だと思いますが報告者には若干参加費の補助が出ることになっています。

まだ若いうちに海外の様子を見聞することは大きな財産になります。
私も20代で初めてストックホルムで開かれた第二回国際難聴者会議に参加して以来、視野が大きく広がりました。

報告内容については、報告者、国際部、その他の関係者と一緒にメールで報告内容をお互いに意見を出し合って内容を固めていきたいと思います。


ラビット 記



政府は中途失聴・難聴者雇用のための法改正を

2008年02月05日 22時52分26秒 | 就労

syugyousien.jpg2月3日の日本経済新聞1面トップに、障害者雇用促進法の改正を報じる記事が出ていた。

小見出しに「障害者雇用義務違反企業に罰金の対象拡大」とあるように、雇用者を読者に抱える新聞らしいが、大見出しは「障害者就業支援強化」だ。


このことは歓迎すべきだが幾つもの課題や問題がある。
この就業支援に、就職と就労に困っている中途失聴・難聴者がみな対象になるかが問題だ。
ハローワークに行っても現在の身体障害者福祉法の聴覚障害の基準に合致していない者は支援の対象にならず門前払いになることだ。

二つ目は、支援を受けられるとしても、きちんとコミュニケーション支援が受けられるかどうかだ。
ハローワークや障害者就労サポートセンターなどで就労相談を受ける際に、要約筆記が必要だ。
地域生活支援事業の要約筆記の派遣は各自治体に申し込むが、居住地以外に派遣は認められないという自治体がまだある。また、長期に継続して派遣は受けられるのかどうかだ。

これは市町村ではなく、都道府県の就労支援事業で予算化し、広域対応すべきだろう。自動車免許の申請も警察行政で予算化すべきだ。社会がバリアフリーになるということは各分野で対応するということだ。

三つ目は、中途失聴・難聴者の職場に要約筆記が派遣されないことだ。
これには二つの問題がある。企業の中に外部の人間が入ることへの警戒、長年の活動による社会的認知のある手話通訳ですら容易ではない。ましてや要約筆記は技術も役割も知られていない。
もう一つは企業などが要約筆記を認めても障害者就労支援制度の対象ではないため補助が出ない。

四つ目は、中途失聴・難聴者の問題を良く理解したコーディネータやジョブ・コーチがいるかどうかだ。

五つ目は、補聴支援システムは以外と使い勝手が悪く周囲の人の理解が大切だ。マイクを一人ずつ持って話さなくては聞こえない。


中途失聴・難聴者の就労問題は大きな問題だが行政も企業も気付かない。


ラビット 記



職場の情報保障を要望する難聴者

2008年01月31日 09時11分13秒 | 就労
080127_1437~001.jpg仲間と飲んだ後、職場の情報保障の話になって、会社で要約筆記を使った話をしたら、一人は会議の時は磁気ループを手話サークルに頼んで取り寄せてマイクをみんなに使ってもらっているという。送料は勤務先負担。

筆談の彼は、磁気ループをやはり難聴者協会から借りたり、要約筆記の派遣を依頼しているという。派遣は会社負担だ。
やはり、皆職場の情報保障にはいろいろ悩みながらも要望したり努力しているのだ。

今年のカナダの国際難聴者会議で全難聴は職場のコミュニケーションをテーマにパネルディスカッションを提起する。

アメリカのように障害者差別禁止法がある国でも要求を言えない難聴者が多い。世界の難聴者も同じ悩みを持っているはずだ。


ラビット 記 



07年の障害者雇用率発表と中途失聴・難聴者のニーズ

2007年11月21日 23時17分04秒 | 就労
koyosinbunnkiji.jpg
千葉差別事例.jpg新聞等で報道されているように、障害者雇用が大きな問題になっているが、厚生労働省はその見直しを検討している。
2007年10月24日の第26回労働労働政策審議会障害者雇用分科会の資料によると、「近年の障害者の働き方の多様化等を踏まえ、」と障害者の労働の形態が紹介派遣が増えているとして、対象事業主と対象障害者の支援の在り方を検討しているようだ。
しかし、これは「働き方の多様化等」という言い方は、今社会問題になっているワーキングプア、ネットカフェ難民を生み出した派遣労働の偽装請負や低賃金労働を合理化するのと同じだ。障害者も企業がきちんと雇用しないので派遣型にならざるを得ないのではないかという懸念がある。
同資料の派遣企業側への支援として、助成金の派遣元企業への支給とか、紹介予定派遣先企業と派遣元への支援が検討されているが、肝心の対象障害者の視点というのが、「重度以外の身体障害者、知的障害者」を助成金対象とすべきとしているのは当然だが、この審議会に障害者当事者がどの位参加しているのか、疑問が生じる。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/10/s1024-12.html

軽度の障害者の雇用に、助成金を活用してコストを下げようとする考えもあるようだが、中途失聴・難聴者も一人の人間であり、きちんとしたコミュケーション保障、対応をすれば能力を発揮できることを考えて欲しい。
http://q.hatena.ne.jp/1181187415


中途失聴・難聴者への支援も、具体的に要望すべき段階にある。
聴覚障害者の対象を身体障害者手帳を有するものにすること、企業の管理者に中途失聴・難聴者を含む聴覚障害者の問題の研修を行うこと、手話通訳及び要約筆記者の派遣も対象とすること、企業の助成金申請条件の緩和、申請手続きの簡素化を要望すべきだ。

ラビット 記
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厚生労働省は、11月20日、従業員数が56人以上の民間企業の2007年度の障害者雇用率が1.55%であることを発表した。前年より0.03%アッ
プ。76年に障害者雇用が義務つけられて以来、最高となった。しかし、法定雇用率の1.8%は下回ったまま。
(朝日新聞2007年11月21日朝刊)


高岡@都難聴、全難聴





人工内耳説明と相談会

2007年06月26日 08時33分44秒 | 就労
070624_1319~001.jpg070624_1324~001.jpg6月24日、日本青年館で人工内耳の説明と相談会があった。

午後から、慶応大学病院の小川郁教授が、難聴の種類と治療方法の現状について、講演された。

慶応大学の歴史から始め、十世紀の古文書にはめまいの記述があること、21世紀(の医学)は感覚器の時代と言われていることなど、難聴の治療を縦横無人に語っていた。

住落を丸ごと調査するコホート調査で難聴の高齢男性はうつの傾向が高く、難聴と視覚の障害をもつ高齢者は男女ともかなり高い割合でうつになりやすいとか、両側性難聴者は片側性難聴者より生活のQOLが低いデータ、疫学的な考察も紹介されて、興味深かった。

ラビット 記




難聴者の職場就労の実情(後編) さあ,聞こえないどうする?自分一人だ

2007年01月10日 03時29分01秒 | 就労

ウィルコムのPHS(続き)
職場の電話の電話機には難聴者用拡声装置(アンプ)が付いているが、相手の声が割れたりして良く聞こえない。相手が携帯電話だと完全にアウト。
しかし、長年使っている個人のPHSで電話すると良く聞こえる。補聴器がTコイル対応でないデジタル補聴器なので、PHSの受話部を補聴器のマイクに直接あてて聞くと、補聴器で目の前の人と補聴器で話を聞くよりもはっきり聞こえる。
ウィルコムWX310K
http://www.willcom-inc.com/ja/lineup/wx/310k/index.html

何で、電話回線を通じた電話よりPHSの方が良く聞こえるのかわからないが、とにかく言葉はハキハキと明瞭に聞こえる。
PHSの電話代が心配だが、今はそんなことにかまっていられない。

そうこうしているうちに、前から予定していた課の会議の時間になる。派遣を依頼した要約筆記者も待機している。混乱を極めた1日の仕事の流れを急いでまとめた資料を配布し、説明する。普段は何も意見も質問もなく終わるが、今日は私からこれで良いかと聞くと皆から質問が二の矢,三の矢と飛んでくる。
要約筆記者も急いでペンを走らせる。ノートに書いている手の動きに皆が注目しているのが分かる。目をノートに走らせて、対応を説明する。
皆はたまっている仕事の最中なので早く終わって仕事に戻りたがっているし、終わった人は帰り時間を気にしている。こういう時にテキパキと対応しなくてはならない。
あれもこれも私の対応が後手後手に回っていて,失笑も漏れる。しかし,聞こえなくてトンチンカンな返事に対する失笑ではない。返事が遅れても的確に対応できるの要約筆記は私にとって心強い存在だ。

皆が帰った後、明日の仕事がうまく運ぶように,オペレーションを再度組み直し,各部門,支店に連絡書を書いてメールし,時計を見ると午前零時だ。早く帰宅しよう。
嵐のような1日が過ぎた。明日は,早朝から自動車の免許の更新だ。要約筆記者との待ち合わせの時間も早い。

ラビット 記


難聴者の職場就労の実情(前編) 職場で電話が聞こえない!自分一人だ、どうする!?

2007年01月10日 03時14分46秒 | 就労

拡声アンプ付き電話/a>職場の受注部門と配送業者を結びつけていた物流部門が8日から離れたところに転居してしまった。そのために、仕事の流れを再度整理しなくてはならなくなり、その準備で連休がほとんどつぶれてしまった。
いざ、その初日になってみると、あれはどうする、これはどうしたら良いかと問い合わせが殺到した。その度に前もって相手先別に送っておいた業務報告書の内容を参照し、オペレーションの確認をしたり、急きょ方法を変更したありするには、メールやファックスでは間に合わない。どうしても時間に追われているので、電話せざるを得ない。
おまけに、いつも電話を代わってもらっている職場の上司が休日中に足首をねんざしたとかで急きょ休まれ、2チームの片方のリーダーも出勤途上で怪我をしたので午後から退社しまうという状況でてんてこ舞いだった。

電話通訳のように他の人を使えればいいのだが、そういうやり方を説明していない。第一、何本も電話がかかっているのに説明してやらせる余裕がない。
かかって来た電話はこちらからかけ直すことにして、一旦切る。切ったとたんにこれはどうする、これで良いかと聞かれ、説明している内に10分、20分、30分と過ぎる。切った相手から催促の電話がかかってくる。

電話が良く聞こえないで多分こういうことだと考えて返事をして切ることが何回かあった。するといつもくるファックスが来ていないと言われる。それで,さっきの電話はそのファックスを送らなくても良いのかという意味だったのかと分かる。別の支店からの電話はファクスを送るから届いたら電話をくれと言う。届いたファックスは経費処理のものだったのでその処理の仕方を聞いているのかと思って,届いたファックスにその方法を書いて返信したら,すぐ電話がかかって来て違うと言う。こちらからかけ直して聞くと,相手は支店長で処理の方法を変えてもらいたい相談だと分かって恐縮した。もう一人は何のことか分からず声で誰か分からないまま、折り返し電話すると電話を切った。かかって来た電話番号に電話すると誰か分からないでいると、電話がかかって来て東京本社の部長だったことが分かって,平謝りした。
(続く)

ラビット 記
写真は会社の拡声アンプ付き電話


全難聴青年部の就労マニュアル作成のプロジェクト

2007年01月04日 15時07分38秒 | 就労

就労マニュアル表紙全難聴青年部は、「中途失聴・難聴者就労マニュアル」を作成し、平成15年度全国労働者共済生活協同組合連合会(全労済)助成事業として、2004年5月に全難聴から発行された。現在は全難聴webからダウンロードできる。
http://www.zennancho.or.jp/info/archive.html

全難聴青年部が企画から実態調査や各地の事例収集、取組の提案まで行ったものだ。
実際に働いている難聴者、中途失聴者自身が作成したということ、中途失聴・難聴者の就労問題に的を絞ったこと、プロジェクトとして各ブロックが分担して、メーリングリストも活用し、短期間に完成させたこと等大きな意義がある。

構成は「最初に、聴覚障害者の職場でのおかれた問題点を抽出し、その解決策を図式入り等で提示する。その後の章では、解決策の参考となる事項や聴覚障害者の理解のための知識を盛り込」(国際難聴者会議への報告論文より)まれている。
http://www.zennancho.or.jp/international/7th_congress/j_article_kiyonari.html

第1章 聴覚障害者の職場実態
第2章 聴覚障害者に適した職場環境とは?
第3章 聴覚障害とは?
第4章 聴覚障害者とのコミュニケーションについて
第5章 情報保障について
第6章 職場用補聴援助機器について
第7章 雇用・定着支援のための制度・助成金について
第8章 困ったときはこちらへ
第9章 差別する法律から、差別をなくす法律へ

「マニュアル」作成に向けて全国に職場実態に関するアンケート調査を行い約160名からの回答を得た。マニュアルに結果が掲載されているが、職場での情報保障は皆無に等しく個人での取り組みが多い結果となっている。聞こえない事で差別を受けている実態も浮き彫りになった。

中途失聴・難聴者のいる職場での対応不足は、その人生の大半を占めることや生活基盤であることから、明らかに基本的人権侵害であり、差別である。

ラビット 記


中途失聴・難聴者への就労支援施策の改善

2006年12月22日 05時12分02秒 | 就労

ミニー障害者雇用促進法が改正されているが(平成17年.法律第81号)、中途失聴・難聴者への支援に必要な要約筆記者の派遣に対応していない。
また、対象者が、身体障害者手帳を有する3級以上の聴覚障害者になっているので、ほとんどの難聴者は対象外になってしまう。

障害者自立支援法で、手話通訳と同様に要約筆記者派遣事業が開始され手いるので、早急な改正が必要だ。衆参両院で議会の傍聴に手話通訳同様に要約筆記者の配置が認められたように、支援法対象外の分野にも要約筆記者が派遣叉は配置されるように要望していく必要がある。
この雇用促進法については、次の通常国会で成立するように厚生労働省への要望書と両院議長へ陳情書を出すようにしたい。

ラビット 記
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障害者雇用納付金制度に基づく各種助成金の内容
3 障害者介助等助成金
Ⅳ 手話通訳担当者の委嘱助成金
1 支給対象事業主
  支給対象となる障害者を雇い入れるか継続して雇用する事業所の事業主で、次のいずれにも該当する事業主です。
(1)支給対象障害者の雇用管理のために必要な手話通訳を担当する者(以下「手話通訳担当者」)を委嘱する事業所の事業主
(2)手話通訳担当者の委嘱を行わなければ、支給対象障害者の雇用の継続を図ることが困難な事業所の事業主

2 支給対象障害者
・3級以上の聴覚障害者
・2級の聴覚障害者である短時間労働者
補足説明をご覧ください。

3 支給対象手話通訳担当者
  支給対象となる手話通訳担当者は、支給対象障害者に対する次の手話通訳業務を主たる業務とする者です。
(1)支給対象障害者の業務上の必要に際して直接的に行われる手話通訳
(2)支給対象障害者の能力の向上等を目的とした研修等に係る手話通訳
(3)支給対象障害者の所属する事業所の労働者に対して、支給対象障害者の業務の円滑化、職場環境改善を目的として行う手話研修等
http://www.jeed.or.jp/disability/employer/subsidy/sub01_care.html#sec04




会社のコミュニケーション(3)

2006年12月10日 11時28分31秒 | 就労
061208_1537~001.jpg埼玉県に業務打ち合わせのために出張した。今もって、要約筆記を依頼しなかったのは大失敗だった。狭い会議室で、離れて座って話をするので、声は反響するし、相手が話している時に、同行した方がしきりとそうですね、なるほどとかあいづちをうつので、声がだぶってしまうし、何を話しているのか全くチンプンカンプンだった。
こちらが聞きたいことを説明して、後は作業している現場で見ながら聞くことにしますと言って、そうそうにギブアップした。

通常の勤務先の会議には、前もって要約筆記の派遣を依頼しているが、今回は県外で、派遣依頼先が分からず依頼しなかった。
しかし、通常の派遣元に依頼すれば派遣元がどこで派遣しているのか埼玉県に電話したりして調べて派遣をつないくれる。
多分、会社と派遣元で銀行口座を作っているので派遣料金の支払いも受けてくれるかもしれない。一回限りの派遣のために口座を設置してとなると時間がかかってしまうからだ。

新しい制度化の要約筆記「者」の広域派遣の仕組みがまだ出来ていないが、早急にネットワーク化を図る必要がある。

ラビット 記






会社の中のコミュニケーション(2)

2006年12月08日 03時05分35秒 | 就労
言おうかどうしようか迷っている時に相手が一度言っただけでは聞こえない場合は、普通は話そうとしないだろう。
しかし、職場では皆が私の席やあるいは横に立って、大きい声であれこれ何度も繰り返し言ってくれる。私は頼まれた仕事なら自分のやりかけの仕事があってもすぐやってあげ、報告だったら業務報告書にまとめてすぐ回付する、苦情だったら確認の電話やメールをするようにしている。
中々話が通じないが分かればすぐアクションを起こしてくれると分かってくれるとちょっと苦労しても話をしてくれるようになって来た。

ラビット 記


会社の中のコミュニケーション(1)

2006年12月08日 03時03分25秒 | 就労
061122_1547~001.jpg会社の中のコミュニケーションはいろいろ大変だ。

この1週間くらい、電話にでても何を言っているのか聞き取れずに、側にいる人に変わってもらったりしていた。相手の声が割れてしまって、ガーガー聞こえるだけで何を言っているのか分からなかったのだ。
業務上のことで、こちらと相手がやり合っている際に、相手が何回も言ったのに分からなくて電話を代わってもらったことがこちらの「敗北」になってしまったようなのは悔しい。
上司が代わってくれたのだが、問題の対応が先方の立場になって、そうだそうだなという返事を聞いて、がっかりしてしまった。聞こえていれば筋を通すことが出来たのに。

何で、急に聞こえなくなったのか、補聴器が詰まっているのかと思って叩いてみたりした。すると、何か詰まっているのが取れたのか、少し聞こえるようになるのでそう思っていた。
今日も、電話が相手の電話が音質の悪い携帯電話のように聞こえなかった。近くの女性に代わってもらったが聞こえないと言う。自席の電話だと聞こえるというので、電話の拡声器のバッテリーの寿命だと気がついた。近くのコンビニで買って来た乾電池を入れ替えると聞こえるようになった。
みんなに、聞こえなかった事情を説明するメールを送った。聞こえていたものが聞こえなくなると単に業務が出来ないだけではなく、人間関係で不信感を持たれるようになってしまうのが怖い。

ラビット 記