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山里の廃村・八草

2010年09月02日 | 歴史&文化
藁科川の最上流の人が住まなくなった山村・八草(やくさ)を訪ねてみました。

温泉のある湯ノ島を通り過ぎ、欄干に「縁側お茶カフェ」の横断幕がかかる湯島大橋の手前を左に入る。
直にカーブミラーと長い立ち話をしているような立派な庚申塔をパスし、続いてY字路の真ん中に「楢尾青少年の家」の看板がにょっきりと立つ分岐点を再度左の「崩野」方面に曲がり、しばらく一本道の山道を走ると、崩野の集落に渡る橋の手前を「登り尾」という地区に向かう道が左に鋭角に曲がっていて、一段と狭くなった道をギアを落として登っていきます。
左手には、折り重なった山々の中腹に楢尾の集落が見え隠れし、路肩がくずれたダートを慎重に通り過ぎると、やがて道が途切れ行き止まりとなりました。

「八草」です。

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「八草」
藁科川上流の崩野川右岸の智者山の中腹の山間に位置する。智者山神社と深く関わった集落。八草の大家の高橋家(本川根に移住)の祖先は、智者山神社別当職を世襲した。当地は戦国期、井川金山へ通じる重要な拠点として歴史がある。また慶長6年(1601)の高橋家文章によると、井川金山の出入りを監視する番所が智者山に置かれ高橋氏がその役を勤めた。
「藁科物語第3号~藁科の地名特集~」
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車をとめた道の終点からのわき道を5メートルほど登ると、すぐに畑とセットになった家屋に出くわす。その辺り一帯は切り開かれて、「こんにちは」といえば、中から人が出てきそうな比較的新しい感じの家で、家主の方が茶畑や畑の手入れに通いで使っている様子でした。
森の奥から「あおーうぁおー」とのアオバトの大きな声が誘っているようで、山腹をトラバースするような山道を入っていきました。
すぐに2件目のお家に出くわし、こちらは古くなった家屋の横にハチ箱が備え付けられてあって、ブンブンと羽音を立てたミツバチがびっしりと密集していました。目の前には背丈以上にのびきったお茶畑。そのまま道なりに更に奥へと入っていくと、途中小さな沢を渡たり、放棄された茶畑に囲まれた三軒の家が並ぶ最後の廃屋に辿りつきました。
眺めがよく、夏の雲がもくもくと立ち上がり、裏手には雨乞い信仰の山として知られる智者山の山腹が広がっていました。
炭焼き小屋のようなものも残り、この景色を見ながらほぼ自らの手で自給して暮らした山里のかつての生活に、思いを馳せる。
帰り道では、斜面を駆け上がる2~3頭の山ザルと出会い、威嚇するような奇声に、人の気配が消えつつある廃村に、急速に自然の支配が手を伸ばしてきている実情を思い知らされたよう。
踏み分け道を見つけ、少し山の方へも足を伸ばしてみましたが、社殿の跡を見つけることはできませんでした。

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「八草神明社」
いにしえのこと、神社の裏山に杉の大木があって女神がいた。また、その向こう側の峰の中腹には池があって、ここに男体の竜神がいた。ある時、農家の女がこの池でタヤの汚物を洗った。竜神はこれに怒って女神と共に立ち去った。それからは池が涸れて山地となってしまった。今もここを池の段といっているが、ここの地形はやや窪んでいて大雨になると水が一杯になる。また大杉は山頂より二、三町(約220~330メートル)下ったところにあって、夕日に照らされたその影は三十余町(約3.3キロ)も隔たった楢尾に達したという。老杉の所在地は、今の崩野地内に属していて通称を女杉という。老杉は女神の去った後、おのずと倒れてしまったが、神木であるので人々は恐れて伐採する者もなく、その一部を氏神の社殿の用材に使ったのみである。(後略)
「藁科物語第4号~藁科の史話と伝説~」
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2 コメント

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福養の滝 (あべっち)
2010-09-06 15:33:59

暑い日が続いていますね。
この、ブログで探し当てた奥藁科地区に行ってきましたよ。
すごい滝ですね。滝の横の斜面で、カモシカが何か食していました。
人の生活と、自然が接近していてとても貴重な地域ですね。
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いらっしゃーい (葉茶)
2010-09-07 09:16:44
★あべっち様

この度はわざわざ奥藁科のそれも最北端の福養の滝までお越しいただいたとのこと、ありがとうございます
マイナスイオンをたくさん浴びて暑気払いできましたでしょうか
伝説の名馬摺墨にあやかり別名馬洗い滝とも言われているそうですが、馬ではなくカモシカにも出会われたとのこと。こちらでは猿の出没情報が続き、この夏同様人と獣の関係もヒートアップしております
また是非お出かけください
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