いつにもまして毅然とした林芳正外相(C)日刊ゲンダイ© 日刊ゲンダイDIGITAL いつにもまして毅然とした林芳正外相(C)日刊ゲンダイ

在日米軍がオミクロン株拡大の原因となった問題で、米軍側と外務省の言い分が食い違っている。

米軍は昨年9月以降、出入国時の検査を取りやめるなど感染対策を緩和していたが、NHKの取材に「日本政府に対して情報提供してきた」と回答。これに対し、林外相は3日の衆院予算委員会で「検査免除を日本政府が確認したのは昨年12月24日だ」とし、「米軍の認識は誤りである旨を申し入れた」と答弁した。

いつにもまして毅然とした対応だが、「これまでが後手だったので、自民党内でさえ、林さんの外相としての評価がガタ落ちしていたからだろう」(自民党ベテラン)。

沖縄で米軍基地クラスターが発生したのは昨年12月中旬だったのに、林外相が米国務長官に対策強化を要請したのは1月6日。これには、自民党の外交部会で佐藤正久部会長が「米軍との意思疎通が不十分だった。外務省の責任も重い」と批判、党内からも厳しい意見が相次いだ。「まん延防止等重点措置」の期間中にもかかわらず、1月31日をもって米軍が外出制限を解除したことでも、批判の矛先が向けられている。

「佐渡島の金山」世界文化遺産登録でも矢面に

この先も林外相が進むのは“イバラの道”だ。「佐渡島の金山」の世界文化遺産登録をめぐり、林氏は3日、韓国の外相と電話会談。韓国側は朝鮮半島出身者が強制労働させられたとし、日本側は韓国側の主張は受け入れられないと抗議、応酬となった。

「世界遺産登録に向け、林外相が交渉の矢面に立つわけで、手腕が問われます。一度は推薦見送りに傾いたものを一転、推薦となったのは、安倍元首相の強い意向があったから。安倍氏の岸田首相への嫌がらせといわれていますが、地元・山口でライバル関係にある林外相への牽制もあるでしょう。米軍問題も含め、林包囲網のバックに安倍氏の影が透けて見えます」(政界関係者)

佐藤外交部会長も安倍元首相に近い。アベ一派が林外相をロックオンか。