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(朝鮮日報日本語版) 【社説】GM群山工場閉鎖、韓国製造業に赤信号か

2018-02-14 15:56:42 | 日記

(朝鮮日報日本語版) 【社説】GM群山工場閉鎖、韓国製造業に赤信号か


2/14(水) 10:33配信

朝鮮日報日本語版



 4年にわたり総額3兆ウォン(現在のレートで約3000億円、以下同じ)に上る巨額の赤字を記録した韓国GMが13日、韓国国内にある4工場の一つである群山工場を今年5月末までに閉鎖すると発表した。

残り3工場の今後の計画についても韓国政府や労働組合と話し合った上で、数週間以内には結論を出すという。国民の税金による支援や組合の譲歩がない限り、残りの工場も閉鎖する考えがあるようだ。

GMが韓国から完全撤収した場合、国内の協力会社で働く従業員などおよそ30万人が仕事を失う。韓国GMは産業銀行による増資や税制面での優遇を要求しているようだが、どちらも結局は国民の税金を使った支援だ。

 韓国GMが経営難に追い込まれた最も根本的な理由は、製造する自動車に競争力がないからだ。

GMは韓国国民の税金を要求する以前に、自らが負うべき経営上の責任を認め、全世界の生産台数を調整し韓国国内での生産を拡大するなどの経営努力をまずは実行に移すべきだ。

経営が難しくなったとの理由で簡単に工場を閉鎖し、その苦痛を韓国国民に押し付けるような態度は許されない。その行動はいわば韓国国内の雇用を人質に、国民の税金を差し出せと要求するようなものだ。

 その一方で経営環境の悪化が今回のGM問題を引き起こす大きな原因となった事実も否定できない。

韓国の自動車産業は世界的に見て人件費が最高レベルにある一方、生産性は非常に低い。

韓国GMの従業員1人当たりの賃金は年間8700万ウォン(約860万円)で、2002年に比べると2.5倍にも膨れ上がっている。

しかもこれは現代自動車の米アラバマ工場の7700万ウォン(約760万円)よりも高く、現代自北京工場の1120万ウォン(約110万円)に比べるとなんと8倍だ。

ところがその生産性はこれら海外工場よりもはるかに低い。このような企業が生存を続けること自体がまさに奇跡だ。
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 世界最悪の高い費用と低効率の構造が形成された大きな原因は、韓国独特とも言える非常に保護された労働組合にある。

韓国GM労組は全国民主労働組合総連盟(民主労総)に加盟しており、会社が赤字を出す中でも毎年のように賃金引き上げを求めストを続けてきた。

韓国からの撤収がささやかれ始めた昨年も組合は17日間にわたる部分ストを強行し、1万台以上の生産に支障を来した。

しかも今回群山工場の閉鎖が決まった後でさえ組合は闘争を宣言している。このような状況が今後も続くようでは、残り3カ所の工場もどのような運命をたどるか予想もつかない。

 これは韓国GMだけの問題ではない。現代・起亜自動車をはじめとする韓国の自動車産業全体が同じ危機に直面している。

2016年における韓国の自動車メーカー5社の平均賃金は9213万ウォン(約914万円)で、これは世界トップの自動車メーカーであるフォルクスワーゲンの8040万ウォン(約794万円)、トヨタの9104万ウォン(約903万円)よりも高い世界最高レベルだ。

これに対して自動車1台の製造にかかる時間は韓国全体の平均で26.8時間だが、これもトヨタの24.1時間、フォードの21.3時間を上回っている。

韓国国内の自動車生産台数は16年に続き昨年も2.7%のマイナスを記録した。世界の10大自動車生産国の中で生産台数が2年連続で減少したのは韓国だけだ。しかも韓国は今年中にメキシコに逆転され、7位に落ち込む可能性が高い。

 GM群山工場は1997年に設立された韓国では最も新しい自動車工場だ。

それから21年にわたり国内に新たな自動車工場は建設されていないが、現代自動車は海外に11工場を建設した。

本来韓国の若者たちが手にするべき数十万人分の良質な雇用が海外に流出したのだ。

GM群山工場の閉鎖は「韓国製造業海外流出の序章」ともささやかれている。賃金が高く生産性が低い環境で、しかも政府は企業に友好的ではなく、この傾向は現政権発足によって一層深刻化している。

最近は大企業の法人税率まで米国に逆転され、製造業が一斉に韓国を去り米国などに向かう動きも始まった。1990年代の中国進出ラッシュに続き、製造業による第2次エクソダス(韓国脱出)を警告する声も出始めている。過激な労働組合はもちろん、優柔不断な企業や政府など全てにその責任があるのだ。


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