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「韓日関係困難でも正義を実現する友情は変わらない」韓国新大統領が日本の“ヒラ検事”を就任式に招待したワケ

2022-07-02 16:42:30 | 日記
《“アマチュア政治家”が異例の就任》

「韓日関係困難でも正義を実現する友情は変わらない」韓国新大統領が日本の“ヒラ検事”を就任式に招待したワケ


「文春オンライン」特集班

「非核化に転換するなら、北朝鮮の経済と生活を画期的に改善する大胆な計画を準備する」

 5月10日に行われた韓国新大統領就任式。

4万人を前に演説した尹錫悦氏は、日本やアメリカとの関係には言及せずに、具体的な国名は北朝鮮だけをあげ、重視する姿勢を見せた。

 冷え切った日韓関係に言及しなかったのは、北朝鮮を刺激しないためか、日韓外交への自信ゆえか……。

 実はこの就任式には日本から青森地検の“ヒラ検事”が国賓級の待遇で招待され、出席していた。

隣国国家元首による異例の招待に、霞が関界隈では嫉妬などが渦巻いたという。

“国賓級”で招待された“ヒラ検事”とは

「招待されたのは青森地検ナンバー3の小池忠太検事です。小池検事は韓国駐在経験があり、その時の縁です。

尹氏は当時、韓国の検事総長でした。

日本の中堅どころの一検事が、大統領就任式に呼ばれるのは異例です。

しかも、日韓議連会長で重鎮政治家の額賀福志郎元財務相と“同格”で招待されています。

 一検事として彼が隣国の大統領にそれほどまで気に入られていることは素晴らしいですが、日本の外務省や官邸はよく思わないでしょう。

『韓国大統領は辞めたら逮捕される』なんて揶揄される韓国では『検察』ネタは火種だらけ。

いまは新大統領就任で特に注目を集めている。

ノコノコ行ったら何に巻き込まれるか分かりません」(法務省関係者)
 しかしながら、日本の法務省は小池検事をソウルへ派遣することを決定した。


「基本的におめでたい話ですからね。大統領と一検事で立場は違えど、過去に芽生えた友情を大事にさせたのでしょう。

また、日本の検察としても、韓国は犯罪人引渡条約を締結しているたった2カ国のうちの1カ国。

招かれたらむげにもできません。

むしろ日韓関係が困難な状況にある中、立場のある幹部では無く個人的な関係のあるヒラ検事だからこそ、法務省は送り出したとも考えられます」(法務検察担当記者)

 新大統領就任式は日本ではなじみのない文化だ。

文在寅氏は開催しなかったが、それまでの韓国歴代大統領の就任式は、権力を見せつけるため、専門の準備委員会が設置され世界各国から要人を招待してきた。

今回は数百人規模の招待客が出席しているが、もちろんビッグネーム揃いだ。

「日本からは岸田文雄首相の特使として林芳正外相のほか、額賀会長ら日韓議連の幹部、鳩山由紀夫元首相も参加しました。

中国は王岐山(ワン・チーシャン)国家副主席、アメリカはハリス副大統領の夫を団長とする代表団。

シンガポールのように大統領自ら参加した国もありましたね。

 著名芸能人が花を添え、朴槿恵氏のときは『江南スタイル』を世界的に大ヒットさせたPSYが登場しました。

今の韓国には韓国エンタメ史上最高レベルの知名度を誇るBTSがいますが、政治利用するなというファンの声が強く、呼べなかったようです。

 今回の就任式は国会前広場で一般の参加者も見込み、4万席規模で行われました。

確かに、韓国の駐在経験があり新大統領と知人だとはいえ、日本の一検事が参加するのは少し変だなという気もしますね」(大手紙国際部記者)

 両国でのハレーションが予測される場面であっても、日本の一検事との友情を尊重する韓国大統領――。

文在寅大統領が慰安婦や徴用工問題で対日姿勢を強め、日韓関係が「戦後最悪」とも言われる中で就任したわけだが、尹錫悦大統領はどんな人物なのだろうか。

「今の韓国で検察ネタは火種のもと」

 前出の法務省関係者がそう話すように、政権交代直前の韓国の報道は検察庁法改正で持ちきりだった。


 文在寅大統領は5月3日、検察の捜査権を大幅に縮小する改正法を公布。

検察が捜査を担当した「6大犯罪」のうち、公職者(公務員や政治家など)、選挙、防衛事業、大型惨事(重大事故)の4分野の捜査権を強引に警察に移した。

残る汚職や経済犯罪の捜査権も、文在寅大統領政権下で与党だった「共に民主党」は剥奪する方向性でまとまっていると報じられている。

日本の検事と昵懇の“検察側の大統領”

「文在寅大統領が“イタチの最後っ屁”として、検察の弱体化をあからさまに目指しているわけです。近年の歴代大統領は辞任すると、逮捕されるのが通例のようになっています。

 前任の朴槿恵元大統領は、任期中にサムスンやロッテといった財閥グループから現金を受け取っていたとして、大統領を罷免され逮捕されました。

その前の李明博氏も巨額の収賄などで逮捕され、有罪が確定。

さらにその前の文在寅大統領の師匠にあたる盧武鉉大統領は、辞任後に親族に対する収賄関係の捜査が本人にも及んだところで投身自殺。

文在寅氏もやましいことがあるのか、検察の弱体化に必死でした」(前出の国際部記者)

 さらに、尹錫悦新大統領は文在寅氏によって検事総長に抜擢をされながらも、曺国元法相のスキャンダルを捜査。

その後、文在寅氏によって実質的に追放された、「検察側」の人物だ。


「尹氏は検察トップを務めたとはいえ、政治経験のなかった“アマチュア”。しかし文在寅氏に批判的な世論に一気に担がれ、野党候補である尹氏が政権交代を成し遂げたのが今の韓国情勢です。
 尹新大統領は時の政権に反対する学生運動をして逮捕経験もあります。学生時代に、民主化運動を弾圧して死者をだした光州事件について模擬裁判を行ったのですが、当時の大統領だった全斗煥氏に死刑を求刑した。気骨がある人物ですよ」(同前)

 元検察官といっても決して“ピカピカのエリート”というわけではない。長く司法浪人をしていた苦労人でもあるのだ。

「しかし、33歳で新任検事になると朴槿恵元大統領の事件など政界捜査で頭角を現し、文在寅大統領に検事総長に抜擢されました。

エリートや2世政治家が多い韓国において、権力とは正反対のひととして無党派層にも支持されています。

 尹大統領は国家元首となったことで『検察と距離を置く』とも発言していますが、根本は政治家じゃなくて検事なんだと思いますよ。

巨悪を許さないという共通の問題意識が小池検事との友情につながったのでしょう。

検事総長という立場で、他国から駐在している一検事と親交を持つというのはなかなかできないことですから」(同前)
 
4月15日、朝鮮日報は尹錫悦大統領の就任式に小池検事が招待されたことについて、こんな記事を掲載している。

「日韓関係が困難でも検事の友情は変わらない」

 2019年8月、大検察庁(日本の最高検)の食堂で、検事総長だった尹錫悦大統領と小池検事らが会食。

当時、韓国に駐在していた小池検事の送別会を兼ねていたようだ。

記事では《「韓日関係が困難な状況になっても正義を実現する検事の友情は変わらない」と尹大統領が発言した》という知人談が紹介されている。

ヒラ検事を国賓級で招待「裏があるのではないか」

「小池検事の招待については、大統領自らというよりも、朝鮮日報の記者がリストに入れたという情報が入っています。日本以上に報道機関が国と近いのが韓国で、記者にもこのような権限があるようです。

読売や産経が自民党を擁護する論調を張るのとレベルが違い、国の行事にマスコミが口を挟める。

しかも朝鮮日報は社風として、文在寅氏に批判的で、尹錫悦新大統領支持のスタンスです。

しかしなぜ、わざわざ場違いなヒラ検事を国賓級の扱いで招待したのか。

何か裏がある気がしてなりません」
 慰安婦に徴用工……。文在寅政権と安倍晋三政権がこじらせた、両国間の問題は山積している。

「いずれも今年が節目と言われています。特に徴用工問題は韓国の裁判所で三菱重工業など日本企業の資産売却手続きが進行中で、年内に資産が現金化される可能性があります。

万が一そうなれば日本の反発は必至。未来永劫、両国関係は冷え切ったままでしょう。

そんななか、新大統領は外相に日本での留学経験がある朴振氏を指名しており、対日関係改善を重視する姿勢を見せています」(国際部記者)
 政権交代により、韓国国会は野党が第1党のねじれ国会となる。

外に目を向ければ、冷え切った日韓関係に過激化する北朝鮮とまさに内憂外患の新大統領。弱体化された出身母体である検察との距離も難しい。
 “検察側の大統領”は日本との外交をどのように舵取りしてくのだろうか。











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