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世界的ドル高の流れ 「逆通貨戦争」に韓国も参戦

2022-07-05 17:48:06 | 日記
2022年07月05日 11:43
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統一日報
世界的ドル高の流れ 「逆通貨戦争」に韓国も参戦
 自国の通貨価値の下落を阻止するため、いわゆる「逆通貨戦争」が世界各国で巻き起こっている。

韓国も、その戦いに加わっている。米国中央銀行(連邦準備制度理事会、FRB)がインフレを抑制するため自国の政策金利を早々に引き上げたことがさまざまな影響を与えてるいる。




 
3カ月で55カ国が金利引き上げ

最近は世界的に原油や材料費が著しく高騰し、各国はインフレの波に襲われている。ドル高によって輸入品の価格が上昇し、資本が経済大国に流出する懸念が高まっている。
現在の状況は、従来と真逆の様相を呈している。輸出競争力の底上げに向けて通貨価値を下げてきたこれまでの経済政策とは相反する流れが起きているのだ。これに対し、グローバル投資銀行「ゴールドマンサックス」は、ドル高現象が外貨市場の逆通貨戦争(=準備通貨戦争、Reverse Currency War)を引き起こしたとの見解を示している。
「逆」という頭文字がついたのは、従来の為替戦争とは反対の動きを示しているからだ。一般的に、他国よりも自国の通貨価値が下がれば国家経済にはプラスに働く。それによって自国生産財の価格競争力が向上し、輸出も増加する。
公にこそしないものの、韓国も李明博政権(2008年2月~13年2月)当時、ウォンの価値を下落させる為替政策を展開した。当時は韓国ウォンの価値が高いという危機感に加え、米国と日本がドルと円の価値を意図的に下げていると見なし、これに対応した形だ。
しかし、今回は完全に様相が異なる。急激なインフレが従来の公式を覆した。通貨が安い=輸出が増加する、という公式はもはや通用しなくなった。韓国だけではなく、多くの国々においてもドルに比べて自国の貨幣価値が下がったことで同じ状態に陥っているからだ。
米国によるドル高の流れに対応すべく、自国の通貨価値を高める最も簡単な方法は政策金利を引き上げることだ。米国は6月、ジャイアントステップ(0・75%の政策金利引き上げ)を発表した。これによりドル高の流れがさらに続くことはほぼ確実になった。
世界の国々は米国の動きに足並みをそろえ、次々と政策金利の引き上げに着手している。今年5月29日に行われたフィナンシャルタイムズの調査によると、過去3カ月間で金利を引き上げた国は55カ国に達した。

韓国の外貨準備高減少

とめどなく上昇を続ける物価を抑制するため、欧州中央銀行(ECB)は今月、11年ぶりに政策金利を引き上げる方針を固めた。つまり、ユーロ圏の「ゼロ金利時代」が幕を下ろすことを意味する。ノルウェー中央銀行は既に、政策金利を年0・75%から1・25%へと0・5%引き上げた。0・5%の引き上げは20年ぶりだ。メキシコは0・75%の金利引き上げ(年7・0%↓7・75%)を断行した。
一方、韓国(中央)銀行は昨年8月から10カ月間、政策金利を5回にわたってトータル1・25%引き上げた。現在、韓国の政策金利は年1・75%で米国と同水準だ。
問題は、ドルを市場に放出する国が増えているという点だ。ベトナムはここ数カ月の間に外貨準備高を100億ドルも減却した。タイも同様の動きを見せている。6月17日ベースでタイの外貨準備高は2214億ドルとなり、2年ぶりに最低値を記録した。これは20年末の2581億ドルに比べて14%以上を減却した形となっている。
このように各国が外貨準備高を減却している原因は、自国通貨価値の下落を阻止するための苦肉の策だ。韓国も非常事態である。外貨準備高の世界ランクが8位から9位へと低下した。韓国の外貨準備高は5月末ベースで4477億1000万ドルとなり、前月比で約15億9000万ドルを減却した。3カ月連続の減却だ。これは、韓国銀行がドルを市場に放出したことを意味している。

米国とのスワップ復活を

一方、米国を追撃しようと各国がこぞって金利引き上げに着手しているが、インフレ抑制効果については懐疑的な見方もある。米国財務部の元職員で、現シティグループのエコノミスト、ナダン・シーツ(Nathan Sheets)氏はブルームバーグ通信とのインタビューで「為替が消費者物価指数に影響を与えるのはわずかであることが立証された。逆通貨戦争は危険なゲームで、このまま続けば輸出に依存する製造業界は危機に瀕するだろう」と分析した。
何より、生存競争の激しい国際舞台では弱肉強食の法則が適用されるとみるべきだ。すなわち、経済大国が新興国や開発途上国に勝つ可能性が極めて高い。少数の大国を除き、地球上のほとんどの国がドルによる負債を抱えている。コロナ禍における国家財政支出が大きく、負債に対するキャパシティーは低下した。
米国クリントン政権当時の経済諮問委員で現ハーバード大教授のジェフリー・フランクル氏は「ドルの価値が高まるにつれて、世界各国の負債返済費用を自国の通貨に換算する場合、負債額は増加することになる。逆通貨戦争が負債の危機を触発しかねない」と指摘している。
こうした悲観的な見方が相次ぐ中、韓国銀行は政策金利引き上げにアクセルを踏む見通しだ。消費者物価の上昇率が6%台突入を目前とし、ウォン・ドルのレートも13年ぶりに1300ウォンを超えたからだ。韓銀は今月13日の金融通貨委員会で、政策金利を0・5%引き上げるものと見られる。
韓国は90年代末、外貨問題で国家破産の直前まで追い詰められた経験がある。その後は外貨準備高を増やすことに注力し、今や世界9位の外貨準備高保有国となった。多額のドルを備えているため、経済危機が発生しても持ちこたえられると自負する声もある。
しかし、韓国ウォンは基軸通貨ではない。現在の逆通貨戦争が日に日に激しさを増していけば、韓国の金融と外貨市場がさらに混迷することは自明の理だ。速やかに米国との通貨スワップ(韓米通貨の相互交換)を復活させるべきではないだろうか。今こそ、ステップを踏むべき時だ。
(ソウル=李民晧)

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