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日本と世界

世界の中の日本

日韓の齟齬は拡大する一方

2019-06-23 18:22:48 | 日記

朝日新聞や毎日新聞などが主張している内容のどこが間違いなのかについては、個別に主張したとおりですので、いまさら繰り返すつもりはありません。

新宿会計士

ただ、改めてこれらの主張を読むと、「日本は加害者、韓国は被害者」といった従来型の「③対韓追随論」ではなく、従来であれば日経新聞や外務省あたりが主張していた「②対韓配慮論」をベースとしているようにも思えるのです。

もちろん、彼らが「③対韓追随論」を捨て、「②対韓配慮論」に「宗旨替え」したとしても、「②対韓配慮論」のような考え方が、現時点で日本国民の間で広く支持されるというものでもないでしょう。

その理由は簡単で、「日韓関係を破壊しているのは一方的に韓国の側である」という点を無視して、「悪化した日韓関係を修復すべきだ」などと主張したところで、広く国民レベルでの理解は得られないからです。

しかし、むしろここで注目したいのは、これまでの「日韓友好論者」にありがちな「②対韓配慮論」、すなわち「日本の側が大人の対応を取り、韓国に対して手を差し出すべきだ」といった主張が、どうも日本社会全体から影をひそめてしまったのではないかという点です。

これこそが日本社会の明らかな変化だと言えるのではないでしょうか。

日韓の齟齬は拡大する一方

これに対し、韓国国内の対日関係論を見ると、ざっくりと「用日」「反日」という、2つの考え方があります。

「用日派」とは、韓国が日本との関係において、権利だけ最大限行使しつつ、義務を徹底的に回避するという、まことに都合の良い考え方です。あるいは「食い逃げ外交」とでも呼べば良いでしょうか(『韓国の「食い逃げ外交」、そろそろ年貢の納めどき』参照)。

 

これに対し「反日派」とは、「用日派」と異なり、下手に日本を利用しようとせず、純粋に反日を貫く勢力です。現在の文在寅(ぶん・ざいいん)政権の支持基盤は、韓国国内の「左派」「親北派」とされていますが、対日関係でいえば、彼らの多くは「用日派」ではなく、純粋な反日原理主義者のようなものです。

(※余談ですが、用日派と反日派の両者を比べると、私個人的には、いっそのこと「反日派」の方が清々しくて好きですし、「用日派」の方が「食い逃げ外交」という意味で、日本にとっては性質が悪いのではないかとすら思います。)

つまり、「用日派」と「反日派」の違いは、「日本を都合よく利用する」(用日派)のか、それとも「純粋に日本との対立を選ぶ」(反日派)のか、という点にあります。

そして、韓国国内の「用日派」が日本国内の「②対韓配慮論」と結託しやすく、また、韓国国内の「反日派」が日本国内の「③対韓追随論」と結託しやすい、という特徴があったのではないでしょうか。

しかし、韓国国内で「反日派」が勢いを増している一方で、日本国内で「③対韓追随論」がほぼ絶滅しかかっていることは、日韓が社会レベル、国民レベルでお互いに理解し得なくなる世の中がすぐそこまで来ている、という意味でもあります。

また、韓国国内の「用日派」と、日本国内の「②対韓配慮論」についても、それぞれ勢力を弱めているようですが、このことは「日韓関係の潤滑油(?)」のような機能が、日韓両国から消滅しつつあることを意味していることは間違いありません。

もちろん、「東中朝」(東亜日報、中央日報、朝鮮日報)を初めとする、おもに韓国国内の「保守派」と呼ばれるメディアは、いまだに「韓日関係悪化は韓日双方のためにならない」、「韓日関係改善のために韓日双方が知恵を出すべきだ」、といった、古典的な「用日思想」に基づく主張を山ほど掲載しています。

まことに理解に苦しむ限りです。

しかし、韓国側のメディアが連日のように、「悪化した韓日関係を修復しなければならない」、「韓日関係改善は韓日双方に努力義務がある」、といった主張を掲載しているのに対し、わが国のメディアは右派、左派を問わず、日韓関係への関心を失いつつあるように思えてならないのです。

国家永続論

国家というものは永続するものではない

ところで、わが国では「日韓友好論」だの、「日本が韓国に配慮すべきだ」だのとする主張は徐々に社会から胡散霧消しつつあるのですが、それでもごくたまに、こうした考え方にこだわる人はいます。「日韓は友好を続けなければならない」という考え方に、1つの重要な特徴があるとすれば

大韓民国という国が未来永劫続く

という前提条件が、勝手に置かれているという点ではないでしょうか。

「大韓民国という国が未来永劫続く」という前提に立つならば、「この国は日本にとって不快ではあるけれど、隣同士離れられないわけだから、何とか折り合いをつけて付き合っていくしかない」という結論が出てくるのは当然のことです。

ただ、わが国ではいまだに、国際関係について、多くの人が「未来永劫変わらない」と考えているフシがありますが、「国際関係は未来永劫変わらない」というものではありません。

戦後に限ってみても、1991年にソ連が崩壊し、東アジアの中国や北朝鮮、ベトナムなどを除く共産圏の国々は軒並み「民主化」しました(※といっても、中央アジアや東欧にはいまだに事実上の独裁体制が続いている国もありますが…)。

また、ベネズエラのように豊かな石油資源を持ちながら実質的な経済崩壊状態に陥った国もありますし、中東ではイスラエルとパレスチナの対立、イエメンとサウジアラビアの対立など、そこかしこで国境紛争・内乱などが生じています。

このように考えるならば、「相手国が未来永劫、現状のままで存続する」という前提に立って、相手国との関係を議論するのは、むしろ非常に危険ですらあります。

鈴置氏の「北朝鮮分割論」と「韓国戦犯論」

そのことの重大性を感じさせる良記事が、『デイリー新潮』に掲載されていました。

中朝会談、習近平は金正恩を米国に売るのか “北朝鮮分割”という最終手段(2019年6月22日付 デイリー新潮より)

執筆者はいわずと知れた韓国観察者の鈴置高史氏です。私などはこの記事を発見次第、またしても一気に引き込まれ、読了してしまったクチです。

鈴置氏の今回の記事では、タイトルに「北朝鮮」という単語が出てくるとおり、北朝鮮に主な焦点が当てられています。それにしても「北朝鮮分割」とは、実に過激ですし、また、平和ボケの日本でこんなことを主張すれば、「北朝鮮分割?そんな荒唐無稽な!」という声が飛んでくることは間違いありません。

しかし、現代史では、独裁政権が武力で倒され、あとに周辺大国にとって都合の良い国ができるなど、いくらでも例があります。私は今回の「鈴置論考」について、「鈴置氏の論考で可能性として示された将来が、絶対に実現する」とは思いませんが、すくなくとも「荒唐無稽」とは、まったく思いません。

実際、独裁政権(この場合は金正恩(きん・しょうおん)王朝)が倒れてしまえば、治安を維持するために、大国や隣国など、他国が「国連平和維持活動(PKO)」などの名目を使い、軍を投入することは、一般に見られる現象です。2003年のイラク戦争後などがその典型例でしょう。

(※もっとも、鈴置氏の論考を読んでいただければわかるとおり、鈴置氏は「北朝鮮分割が絶対に実現する」とは主張されていません。某匿名掲示板あたりを覗くと、このあたりを短絡的に早とちりされている方もいるようですが、少し冷静になって頂きたいと思います。)

韓国の混乱は「歓迎すべき」とは限らない

さらに、今回の鈴置説では、「韓国が戦犯として(北朝鮮に)連座する」という可能性についても触れられていて、これについては、これまでに日米両国などをさんざん愚弄してきた韓国にお似合いの結末かもしれませんが、日本にとって最善なシナリオなのかは微妙です。

なぜなら、韓国が北朝鮮核武装問題で「連座」し、経済的焦土化などの制裁を喰らった場合には、最短50キロメートルもない対馬海峡で韓国と向かい合う日本が、朝鮮半島混乱の余波を受ける危険性も高いからです。

(※余談ですが、なぜこの手の「朝鮮半島再分割論」が市井の韓国観察者から提示されているにも関わらず、日本の与党政治家などがこの議論を真剣に取り上げないのかが疑問でなりません。もっとも、この点については「まだ機が熟していないから」なのかもしれませんが…。)

では、こうした近い将来に懸念される朝鮮半島の混乱について、韓国人自身はいったいどう考えているのでしょうか?とくに、「北朝鮮分割」が実現するならば、その隣国である韓国も影響は皆無ではありません。

ただ、まことに残念ながら、「自分たちの国・民族が世界を混乱に陥れる可能性がある」という危険性を正確に認識している人はほとんどいないばかりか、現在の韓国人は、現実逃避のあまりに自分たちの置かれている環境について理解しようとすらしないように思えてなりません。

 

周回遅れの議論

それなのに、現在、韓国側で出てきている話題といえば、たとえば韓国政府がいまだに来週の「大阪G19」…、じゃなかった、「大阪G20」サミットでの日韓首脳会談を求めているという話題や、先週金曜日に三菱重工に対し自称元徴用工の原告側が「最終通告をした」という話題ばかりが目につきます。

日韓首脳会談、なお調整=文大統領、G20出席へ(2019年06月21日16時08分付 時事通信より)
文大統領 27~29日に訪日=安倍首相との会談は未定(2019.06.21 14:56付 聯合ニュース日本語版より)
来月15日期限、現金化警告=三菱重に協議要求-韓国原告側(2019年06月21日14時25分付 時事通信より)

これらの報道については、別途、いろいろとツッコミをいれておきたいポイントがあるのですが、これについては余裕があれば、本日か明日、別稿にて取り上げたいと思います。

それよりも、ここで重要なポイントは、やはり韓国のメディアが現在、自分たちが置かれている状況や、周辺国を大混乱に巻き込もうとしているという現状を正確に把握していない、という点でしょう。あるいは「無責任」と言い換えた方が良いのかもしれませんが


韓国が7年ぶりに経常赤字、輸出減少響く

2019-06-23 18:00:26 | 日記

韓国が7年ぶりに経常赤字、輸出減少響く

 

  4日の韓国株価を示すスクリーンの前を歩く、トレーダー(AP)
 

 【ソウル=桜井紀雄】

韓国銀行(中央銀行)が5日に発表した国際収支(暫定値)によると、海外とのモノやサービスなどの取引を表す4月の経常収支は6億6千万ドル(約713億円)の赤字だった。

欧州債務危機が拡大した2012年4月以来、7年ぶりの赤字転落となった。世界貿易の減速に伴う輸出の減少が影響した。

 海外への輸出に依存する韓国経済は、一定水準以上の経常収支の黒字を保つ必要があるといわれている。

 4月の輸出は483億ドルで、主力の半導体価格の下落などで前年同月に比べて6・2%減少した。

米中貿易紛争の影響もあり、昨年12月から5カ月連続の減少。

一方、輸入は426億3千万ドルで同1・8%増加した。原油など原材料価格が上昇したほか、家電など消費財の輸入が増えた。

 4月は外国人投資家への配当支払いが集中することもあり、配当所得収支は49億9千万ドルの赤字となった。

韓国銀行は「配当支払いのような季節要因が消えれば、5月は黒字になる可能性が高い」とみている。

 それでも、5月も輸出減少の傾向が続いており、韓国の1~3月期の経済成長率がマイナス(マイナス0・4%)に後退したことと合わせ、先行きを懸念する声が少なくない。

別記事

【ソウルからヨボセヨ】日米蜜月への鬱憤晴らし

 トランプ米大統領の訪日で日米の緊密ぶりが国際的に話題になっているとき、韓国では逆に対米外交に関する機密漏洩(ろうえい)が大きな政治問題になっていた。

米韓首脳の電話会談の内容が野党議員に漏れたからだが、

その中身が文在寅(ムン・ジェイン)大統領のトランプ氏に対する「日本訪問の際、韓国にもぜひ寄ってほしい」という“懇請”だったため、韓国世論は自尊心をいたく傷つけられた。

 文在寅政権は情報を漏らした在米大使館員を突き止め、野党議員ともども刑事責任まで追及するといって大騒ぎになっている。

東京発の華やかな“日米仲良し風景”が印象的だけに韓国にとってはやるせない。

 その鬱憤晴らしだろうか、韓国マスコミはトランプ氏が横須賀基地訪問の際のスピーチで日本海のことを「シー・オブ・ジャパン」と言ったと一斉に文句を付けていた。

韓国の呼称である「東海(イースト・シー)」と言ってくれなかったと不満なのだ。

 韓国は近年、官民挙げて「東海」と呼称してほしいと国際社会にアピールしているが、今そんなケチ(?)な話を持ち出す場合ではないだろう。

韓国にとって新たな課題は日米が強調している「インド太平洋戦略」にかかわる「インド洋」や「南シナ海」のことであって「日本海」の名称などではないはずなのに。

(黒田勝弘)


中国、陰る外貨パワー 10年で130兆円流出 迫る対外純資産減 IMFは22年に中国が経常赤字に転落すると予測する

2019-06-23 17:45:41 | 日記

中国、陰る外貨パワー 10年で130兆円流出 迫る対外純資産減

2019/6/23付
情報元
日本経済新聞 朝刊

輸出で稼いだ外貨を積み上げ、米国債購入や新興・途上国への融資により世界での自らの存在感を高める――。

そんな中国の外貨パワーが陰ってきた。

行方のわからない資金流出で中国の対外純資産は頭打ち傾向になっており、国際通貨基金(IMF)の予測通り経常収支が赤字になれば減少に転じる。

世界のパワーバランスも一変しかねない

IMFによると2018年の中国の対外純資産は約2兆1千億ドル。

日本(3兆1千億ドル)、ドイツ(2兆3千億ドル)に次ぐ世界3位だ。

経常収支(総合2面きょうのことば)は一般に対外純資産の増減と同じになる。

中国の09~18年までの経常黒字は合わせて約2兆ドルだった。

だが中国では同じ期間に対外純資産が7400億ドルしか増えなかった。

差し引き1兆2千億ドル(約130兆円)はどこへ消えたのか。

中国人民銀行(中央銀行)の元金融政策委員で経済学者の余永定氏は17年の論文でこう推測した。

中国企業が商品100万ドル分を米国に輸出し、米国向けに100万ドルの売上高を計上する。

ところが銀行口座に振り込まれるはずの代金100万ドルのうち50万ドルは何らかの手段で海外に残りどこかに消える。

銀行口座に入るのは50万ドルのみ。1兆2千億ドルの一部はこうして行方不明となったお金と見る。

統計上、こうした動きを示すのが、はっきりと分類できない資金の流れを示す「誤差脱漏」という項目だ。

誤差脱漏は同じ期間(09~18年)で約1兆1千億ドルのマイナス。消えた1兆2千億ドルと不思議なくらい符合する。

誤差脱漏には外貨準備による対外債権の損が含まれる可能性を指摘する声もある。

ただ元相場が「この先下落する」との見方が広がると誤差脱漏も膨らむため、相当部分が非公式のお金の持ち出しとみられる。

対外純資産の源となる経常収支の黒字も赤字転落が迫る。

IMFは22年に中国が経常赤字に転落すると予測する。

その要因は米中貿易戦争による貿易収支の悪化と、14年ごろから急増する旅行収支の赤字だ。

ただ旅行収支の赤字は「爆買い」だけではない。

「旅行や出張の度に少しずつ持ち込んだ日本円で買った」。

東京都内の中古ワンルームマンションを昨年約千万円で購入した北京市内の会社員、温さんは打ち明ける。

余氏は論文で「旅行支出の一部は資本逃避で金融商品や不動産の購入に充てられた」と指摘した。

旅行収支の赤字の6割が当局の目をかいくぐって国外に持ち出された資本逃避との研究もある。

日本のように人件費や通貨が上昇し、貿易で稼げなくなった国は海外からの利子や配当といった所得収支の黒字に頼るようになる。

一方、中国の所得収支は赤字のままだ。

当局が把握できないお金の持ち出しで対外純資産が十分に積み上がっていないためだ。

中前国際経済研究所の中前忠代表は「中国は経常赤字が定着する」とみる。

経常収支の動向や対外純資産の大きさは通貨、人民元の信認に直結する。

「人民元の下落圧力は将来さらに増す」(中国社会科学院の張明研究員)

中国は人民元の国際化や一帯一路構想に基づいた新興・途上国への融資、米国債投資を進めてきた。

マネーの力を通じて世界への発言権を強めた中国のこうした対外戦略は今後変わらざるを得ない。

 

 


問題山積の韓国外交、康京和外相は何をし、文在寅大統領はどこにいるのか

2019-06-23 16:39:02 | 日記

      

  

【コラム】康京和外相は「人形」にすぎない

世紀的米中の対立の始まり、通貨危機が風邪ならば今回は心臓まひも

問題山積の韓国外交、康京和外相は何をし、文在寅大統領はどこにいるのか

 

 1カ月前に米国ワシントンを訪問したある人物は、米国で北朝鮮の話がほとんど持ち上がらなくなったのを見て、非常に驚いたという。

最初から最後まで中国関連の話で持ち切りだったのだ。

「今こそ中国を抑制する最後のチャンス」という米政界のコンセンサスを強く感じたという。

習近平は、「今後100年は頭角を現すことなく待ちなさい(韜光養晦〈とうこうようかい〉)」と諭したトウ小平の遺言を破り、50年にもなる前から自己主張を始めたことで、深刻な逆風にさらされている。

だからといって退くこともできない。権威が失墜し、中国国内の反・習近平勢力が力を付ける恐れがあるからだ。

 

 米国とソ連が対立していた1980年、両国のGDP(国内総生産)を合計すると、世界の30%だった。

両国の人口の合計は世界の11%を占めていた。

今、米中両国のGDPの合計は世界の40%に上り、人口は23%に至っている。

ソ連と違い、中国の経済ネットワークは全地球的な規模にまで拡大している。

米国と中国の対立は、すなわち世界経済の半分近くが対立することになり、世界人口の4人に1人が争いに巻き込まれることになる。

 

 1945年から半世紀にわたって繰り広げられた米ソの冷戦は、韓国経済の奇跡と期間が重なっている。

米国を筆頭にした西側陣営は自由民主主義の最前線である韓国に温情を注ぎ、特別待遇した。

韓国はこの状況を国家戦略として最大限に活用し、奇跡的な繁栄を呼び起こした。

米ソの冷戦には、韓国が選択によってジレンマを引き起こす理由がなかった。

むしろソ連の崩壊で冷戦体制が消滅したことで、いきなり韓国に通貨危機が到来した。

決して偶然ではないだろう。通貨危機は、韓国が殺伐とした世界市場に突然裸一貫で立ち向かったことで、風邪をひいたようなものだった。

しかし、建国から70年で米中関係が初めてジレンマに陥った現在は、ややもすると、がんや心臓まひを患ってしまうかもしれない状況だ。

日本の安倍晋三首相は、対日強硬一辺倒の朴槿恵(パク・クンヘ)大統領と韓国に向かって「愚かだとしか言いようがない」と言ったという。

当時日本は「インド・太平洋戦略」を推し進めながら、米国を説得していた。

米国、日本、オーストラリア、インドがインド・太平洋で中国を包囲し抑制しなければならないという同戦略は、現在そのまま実行されている。

米国は歴史と伝統が備わった「太平洋司令部」という名称を「インド・太平洋司令部」へと変更した。

韓国が含まれていないにもかかわらず、在韓米軍と韓米連合司令部の指揮機関名が変更された意味合いについては、韓国国内ではほとんど論議されなかった。

日本は中国に次いで空母2隻を導入するようになる。これは米国も承認済みだ。

もともと親日国家であるインドは、日本とマラッカ海峡近くで1年に5回も合同軍事演習を行った。

中国がインド洋に確保したスリランカ海軍基地の近くに、日本とインドが海軍基地を建設する。

韓国油槽船はこの基地の前を通ってマラッカ海峡に進入しなければならない。

「愚かだとしか言いようがない」という言葉が「韓国の国家戦略は何なのか」を問う質問ならば、一体何と答えるのだろうか。

北朝鮮に対する太陽政策がその回答なのか。太陽政策は国家戦略なのか、それとも政権戦略なのか。

 

 現政権が発足して以来、韓半島(朝鮮半島)の平和プロセス、板門店宣言、平壌共同宣言、朝鮮半島の運転手論、促進者論、グッド・イナフ・ディール(十分いい取引)、新南方政策、新北方政策、新ベルリン宣言、朝鮮半島新経済地図、対日2トラック外交など、宣言された国家戦略は数知れない。

今回新たにオスロ宣言までが飛び出した。

国家戦略が多いということは、その国がその戦略を実践するだけの力を備えているという意味でなければならない。

韓国の力は現在われわれ自らが実感している。米中間に挟まって呼吸すらできないような状況だ。

日本は最も早く米国の側に付いた。

しかし、中国は韓国には脅しを掛けながらも、日本には何も要求していない。

日本のGDPにおける対中輸出は3%にすぎない。

貿易関係が崩れれば、苦しむのは中国の側だ。

韓国のGDPにおける対中輸出は10%を占めている。貿易関係が消滅すれば、中国よりも韓国の方が痛手を負う。これが韓国の国力なのだ。

韓国の周りには、強大国だけがひしめいている。われわれは強大国に影響を及ぼすことができる国ではなく、強大国の影響を受ける国なのだ。

強大国の動向を真っ先に把握して、これに対応し、国家戦略の方向性を決定しなければならない。

この基本的考えから脱するならば、どんなに輝かしいネーミングを施したとしても、妄想や見え、あるいは国内向けのショーにすぎないのだ。

 

 数日前、深夜遅くに1本の電話があった。

大統領府で首席を経験した人物からだった。「康京和(カン・ギョンファ)外交長官がハンガリーに行って何になるのか。

これでは大使館、そして大使の存在理由がなくなってしまうではないか。

そもそも救助や捜索を外交長官が引き受けるべきなのか。今韓国の外交長官が国家のためにするべきことは本当にこれなのか」。

彼の声は震えていた。

あるいは外交長官が遊覧船事故の捜査に乗り出すこともあり得るだろう。

しかし、外交長官がするべきことをやっているといった話は聞いたためしがないようだ。

国家戦略家ではなく、もっぱら「人形」と呼ばれているという。

海外訪問が多い大統領夫妻は「観光地はもれなく訪問している」とのうわさを耳にする。

大統領は、ナイトクラブ事件の捜査についても指示を出しているという。

外交や安保に対する案件は滞っているというのにだ。

どこに引っ掛かって止まるのか、そこで韓国はどんな目に遭うのか、予想できる人間などこの世に存在しないのだ。