北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

平成二十八年度十月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2016.10.22/23)

2016-10-21 23:56:23 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 本日、鳥取県中部にて震度六弱の地震が発生しました、緊急地震速報の警報が久々に驚かせましたが、古い町並みが傷つき多くの方を不安に落としいれている事に心が痛みます。こうしたなかですが、今週末の自衛隊関連行事について。

 自衛隊中央観閲式、陸上自衛隊を中心として実施する三年に一度の中央観閲式が日曜日、朝霞訓練場にて内閣総理大臣を観閲官として実施されます。入場には招待券が必要ですが、朝霞訓練場付近では50機の大編隊を見上げる事が出来るでしょう。部隊4000名、車両250両、航空機50機が参加するもので、陸上自衛隊の中央観閲式、海上自衛隊の観艦式、航空自衛隊の航空観閲式、と毎年順番に実施されています。

 日本原駐屯地創設51周年記念行事、第13戦車中隊と第14戦車中隊に第13特科隊等が駐屯する岡山県の駐屯地です。第14戦車中隊は第14旅団の機動旅団への改編により廃止されますので、最後の駐屯地祭への参加となります。ただ、本日発生した鳥取県中部地震により鳥取県知事より第13旅団へ災害派遣要請が出され、災害派遣へ対応中ですので、足を運ばれる方は最新の情報をご確認ください。

 三軒屋駐屯地創設61周年記念行事、岡山県の陸上自衛隊三軒屋弾薬支処にて行われます創設記念行事です。弾薬庫の行事ですが、第13旅団隷下部隊が参加する訓練展示模擬戦等も実施され、観覧席から比較的近い場所にて戦車の空包射撃などが行われる事で知られています。ただ、こちらも鳥取県中部地震災害派遣の影響が及ぶ可能性がありますので、ご留意ください。実施されるのは明日、今のところ変更の発表はありません。

 饗庭野分屯基地開庁記念行事、滋賀県湖北の航空自衛隊饗庭野分屯基地の開庁記念行事です。第4高射群隷下の第12高射隊がペトリオットミサイルを運用し、京阪地区及び若狭地区の防空に当たっています。ミサイル部隊の展開展示や基地警備部隊による戦闘訓練展示が行われ、五年に一度の一般公開となっています。近傍の今津駐屯地よりも駅から遠いのですがJR湖西線の新旭駅と近江今津駅よりシャトルバスが運行される、とのこと。

 さて、自衛隊行事へ遠出するという事は、普段足を運ばない場所に行くという貴重な機会です。デパートに行ってみよう、とは、遠出した際の稀にある愉しみ方で、自衛隊行事に足を運ぶ際に、お会いする方の関連でネクタイを、と思いカメラバックを空けた瞬間に入れ忘れており、夏の暑い盛りの日であったので当然ノーネクタイのまま来てしまった時など、地方都市の高島屋など、デパートに足を運びましてまあまあの値段の物を買ってみたことが。

 または、ベルトが壊れてしまった、万年筆のインク切れなど、買い物をするならば地方都市の少し小さめのデパートに足を運ぶ、という事があります。コンパクトですが、さすがは、という品揃えで、もちろん少々値が張る事もあるのですが、買ってみますと、後々の思い出の品になったりすることもあります。呉の、そごう、こちらは思い出になりました。

 勿論毎度毎度、大変だカメラバックに入れ忘れた、出先で買出しへ行かなくては、という非常事態だけでは逆に困ったものなのですけれども、そういうものをちょっと買いに行く道中に他のお店を覗いてみたり、デパートでお土産を注文し行事の帰路に引き取ったり、ちょっとだけ喫茶店で珈琲を楽しんだりしますと、また新しい発見があるものでした、僅かな時間でも知らない街を許す限りの時間、何気なく散歩してみる、いい思い出になります。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭
・10月23日:饗庭野分屯基地開庁記念行事…http://www.mod.go.jp/asdf/aibano/kouhou_event/index.html
・10月22日:三軒屋駐屯地創設61周年記念行事…http://www.mod.go.jp/gsdf/mae/13b/sangenya/
・10月22日:日本原駐屯地創設51周年記念行事…http://www.mod.go.jp/gsdf/mae/13b/nihonbara/toppage.htm

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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ミサイル防衛3000億円平成28年度第3次補正予算案へ 異常規模の北朝鮮弾道ミサイル実験受け

2016-10-20 22:15:44 | 防衛・安全保障
■ミサイル防衛を緊急強化
 北朝鮮が本日、今年に入り23発目となる弾道ミサイル実験を実施、政府は外務省を通じ国連安保理決議違反であるとして改めて、強く抗議しました。

 防衛省は北朝鮮による相次ぐ弾道ミサイル実験を受け、弾道ミサイル防衛体制を強化するべく、平成28年度第3次補正予算案へ防衛省より2000億円から最大3000億円規模のミサイル防衛装備調達を盛り込む方針、産経新聞が報じました。弾道ミサイル防衛には多くの予算を必要としますが、最大3000億円を補正予算で要求する、事態の深刻度を示します。平成28年度第3次補正予算案への弾道ミサイル防衛費用2000億円から3000億円の盛り込みは、15日に実施された今年22発目となる弾道ミサイル実験を受け、我が国へのミサイル攻撃能力向上に伴う脅威が急激に高まっているとの認識の下で示されたものですが、北朝鮮の次のミサイル実験はこの報道のわずか4日後に実施、懸念が的中してしまいました。

 北朝鮮は本日20日日本時間0700時頃、北西部の平安北道より新型中距離弾道ミサイルムスダンの発射実験を実施しました。ミサイルは上昇段階で爆発したものとみられ実験は失敗しています。しかし、ムスダン発射実験は今月15日にも実施され失敗しており、非常に短期間で弾道ミサイル実験が繰り返される現在の状況は、異常事態と云わざるを得ません。ペトリオットミサイルPAC-3の近代化費用を平成28年度第3次補正予算案へ盛り込むようです。現在自衛隊の弾道ミサイル防衛能力は、海上自衛隊イージス艦より投射される射程1000km超のスタンダードSM-3迎撃ミサイルと、航空自衛隊のペトリオットミサイルより運用され射程15kmから20kmのPAC-3ですが、PAC-3は改良型が開発されています。

 防衛省はこのPAC-3改良型、PAC-3MSEを今回の補正予算により要求するものとみられます。元々平成29年度予算概算要求へ、PAC-3MSEの調達は1000億円規模の要求が為されているのですが、ミサイル脅威の増大を前に来年度予算を座印象と折衝し国会での決定まで待つ時間的余裕が無くなり平成28年度第3次補正予算案へ盛り込むこととなったもよう。PAC-3MSEと呼ばれる改良型はペトリオットミサイルPAC-3を大型化させ』射程を延伸したものです。元々ペトリオットミサイルは対航空機用のPAC-1,航空自衛隊では改良型のPAC-2を運用していまして、射程は100kmを超えます。対航空機用の場合は音速の二倍程度で飛行している為、目標付近にて爆破し破片で飛行不能とし撃墜が可能となっています。

 PAC-3MSEこのPAC-2やPAC-3と装置から運用可能な改良型として開発されたもので2011年に発射実験に成功しました。PAC-3MSEは、弾道ミサイルへの対処能力と共に対航空機用及び対巡航ミサイル用として運用可能です、PAC-3にもその能力はありますが射程が15kmから20kmと狭いものでした、しかしPAC-3MSEは30kmから40kmに達する。弾道ミサイル迎撃の難しさは、弾道ミサイルは宇宙空間を経由するため落下速度が航空機の飛行速度よりも遥かに早く、更に落下するものですので、破片を当てただけでは落下するものはそのまま落下し目標付近へ命中するため、ミサイル本体へ直撃させ弾頭部分を空中で粉々に破壊させなければなりません、弾道ミサイル防衛の難しさは此処にある訳です。

 航空自衛隊は首都防空に入間基地第1高射群を置き、習志野や入間と武山及び霞ヶ浦へ隷下後者部隊を展開させ、その上で首都防空へ市ヶ谷派遣班を展開させています。対航空機用のPAC-2では射程が100kmを超える為、鉄壁の布陣といえましたが、射程15kmのPAC-3ではこの離隔では首都圏防空が担えず、PAC-3MSEへの換装により首都防空が完成します。航空自衛隊にはペトリオットミサイル部隊は6個群あり首都防空に当たる第1高射群、九州北部防空に当たる第2高射群、北海道中部防空に当たる第3高射群、中部地方防空に当たる第4高射群、沖縄防空に当たる第5高射群、北海道南部および東北地方北部防空に当たる第6高射群が展開していまして、対航空機防空と弾道ミサイル防衛に当たっています。

 弾道ミサイル防衛は喫緊の課題ではありますが、2000億円から最大で3000億円という規模の予算を補正予算へ盛り込むことは東日本大震災補正予算への装備品要求以来の物となります。一方、我が国には南西諸島防衛や西日本地域へ広がる防空への問題など、防衛力が現状の均衡を破綻させぬよう、周辺国の圧力へ耐えるには必要な予算が確保出来ません。3000億円と云えば例えば周辺地域での警戒任務用に先頃一番艦が進水式を迎えた、あさひ型護衛艦の建造費4隻、F-35戦闘機縮小2個飛行隊、イージスシステム搭載8200t型ミサイル護衛艦2隻、AH-64D戦闘ヘリコプター42機、一括清算ならば10式戦車420両分に当たります。

北大路機関:はるな くらま
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アメリカのリスク 大統領選にみる変容と国際公序再構築【13】 アメリカ第一主義の不明確な方向性

2016-10-19 21:52:57 | 国際・政治
■アメリカ第一主義とポピュリズム
 アメリカのリスク、その最たるものはアメリカの今後展開する国際政治への関与の度合いが全く分からないことに起因するものがあります。アメリカ第一主義は孤高大国志すか引き籠りか。

 民主党共和党候補討論会では醜聞記事の応酬が続き政策討論が遅滞している状況なのですが、例えば一方の候補者の主張にたいし疑義をはさむ要素が多いにもかかわらず、一定の支持者がいるという実情こそ、問題といえるでしょう。北朝鮮の核兵器開発問題では、その核兵器が主たる標的としているのがアメリカ本土であるのに対し、その事実を容認せず日本と韓国の核武装を促し、北朝鮮との軍事的対立という命題を無視しようとしました。

 仮にアメリカ世論が韓国の核兵器による恫喝を受け軍事併合される状況を容認し、日本の核武装へも容認する、という新しい視点を示すならば整合性をとることができるのですが、そこまで考えていない、という実状が追認されつつ、この政策を提示した候補者への支持が減らない、という状況が現出しています、故に候補者の問題領域というよりは、まともな政策論争を行わない事を気にしない支持層の交代こそが問題といえるでしょう。

 同盟国としては防衛政策の方向性に振り回される危惧が高くなる。これは単純に朝鮮半島問題だけに関わらず、例えば中東地域において猛威を振るい、その触手を着々とアフリカや欧州へ延ばすISILにたいしても、強硬姿勢で臨むとしながら、その具体策として示されているのはISILの支配地域からのイスラム教徒入国を禁止するという、非常に不可解なものでした。

 第三国戦闘員のテロ要員としての拡散、母国を攻撃するホームグロウンドテロ、そしてアルカイダ時代から懸念されていました破綻国家を基点とした大量破壊兵器製造と第三国でのテロ用途での転出事案、こうした危険性を全く無視しています。ISIL対策では、二転三転といいますか、地上軍派遣を提示したりロシアとの協力関係を示唆したり、やはり国境警備を重視する消極路線を提示したり、一貫性がありません。

 その上で新しい問題領域としまして、アメリカ第一主義を掲げる候補者を支持する世論は、果たしてパクスアメリカーナを放棄し、アメリカが世界唯一の超大国としての地位を捨て、その上で、北米地域に限定された地域大国へ甘んじる覚悟はあるのか、ということです。単にアメリカ第一主義という言葉だけを認識し、その内容が実態と離れるものであっても、検証する余力がないのか、それともそこまで社会の閉塞感が起きくなっているという事なのか。

 これは、アメリカが第二次世界大戦後において、国際公序の理念としての自由主義を提示し、その具現化手段として資本主義自由経済を提唱、これを実現するべく自由貿易実現を目指すWTO創設、ドルを中心としたIMF通過公序、などなどを実施してきましたが、この規範構築の役割を放棄し、当然の次にくる帰結としての、展開をどこまで認識しているのか、という部分に繋がります。

 基軸通貨の転換一つとってもスターリングブロックからドル基軸体制へ過去一回転換していますので再度の転換が無いとも言い切れません、アメリカ国内の貿易収支ドル赤字が指摘されますが、これは基軸通貨国が貿易収支赤字でなければドルが世界に流通しません、この実情を理解し、貿易収支赤字を問題視しているのか、という支持者の理解の問題がありますし、アメリカドル以外の世界通貨の可能性、アメリカを排除する保護貿易の可能性、なども受け入れる覚悟はあるのか、とも。

 自国の政府が行うことによる自分たちへの反動の大きさを、例えばイギリスのEUブレクジットを支持した有権者たちが見落としたような、こうした考えずのリスクへの備えが十分あるか、ということです。単純に、モンロードクトリンの時代へ回帰を示し、アメリカはアジア地域での中国の影響力拡大を容認するということ。我が国がシーレーンへの圧力を経て1968年に自由主義圏第二位の経済大国としての地位を得て以来継続しているドル通貨政策維持などパクスアメリカーナの理解者としての地位を軍事的圧力により離反することとなっても一国でアメリカは繁栄を維持できるのか。

 問題は更に大きくなり、中東地域でのロシアによる影響力拡大に伴う石油供給基盤の掌握を介した世界への影響力拡大を容認できるのか、NATOから距離を置くことでロシアの欧州地域への影響拡大を容認できるのか、この部分についても確たる施策や方向性が示されていない現状でも、その候補者を支持する、こうした世論が、大きなアメリカのリスク、さらには民主政治と衆愚政治の境界線という古典的、しかし新しい問題を突きつけているように、思えてなりません。

北大路機関:はるな くらま
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防衛省平成二九年度予算概算要求の検証【7】 航空優勢の獲得・維持と海上優勢の獲得・維持

2016-10-18 21:57:47 | 北大路機関特別企画
■航空優勢と海上優勢の維持
 防衛省平成二九年度予算概算要求の検証、第七回は、航空優勢の獲得・維持と海上優勢の獲得・維持について。

 F-35臨時飛行隊の新編は、“戦闘機部隊等の体制移行の実施”の一環として実施され、この防衛力整備事業が、南西地域防衛態勢強化と航空優勢の確実な維持に向けた態勢を整えるための戦闘機部隊の体制移行を実施、そして三沢基地に臨時F-35A飛行隊を新編というものが挙げられています。なお、三沢基地には米空軍F-35飛行隊も配備予定となっています。

 新空中給油輸送機KC-46Aの取得として1機318億円が計上、戦闘機部隊に関してはF-4戦闘機の代替という位置づけが大きいのですが、KC-46については現行のKC-767空中給油輸送機に加えての純粋な増勢となり、戦闘機部隊等が我が国周辺空域で各種作戦を持続的に遂行し得るよう、との施策です。元々KC-767は現行4機よりも増勢される計画でした。

 輸送機C-130Hへの空中給油機能付加、こちらも航空優勢の確保に関する間接的施策として実施されるもので、救難ヘリコプターの作戦行動能力向上への施策として実施されます。万一航空戦闘により航空機が撃墜され乗員が脱出した場合でも確実に救難ヘリコプターを展開させる体制を構築する目的で、KC-46Aとは別方式の空中給油装置を搭載しています。

 地対空ミサイルについても航空優勢確保の観点から実施されますが、航空自衛隊と陸上自衛隊がそれぞれこの防衛基盤構築へ参加します。航空自衛隊は、基地防空用地対空誘導弾の取得として0.5式30億円、を要求しています。基地防空用地対空誘導弾は現在の81式短距離地対空誘導弾の後継装備で対航空機に加えて巡航ミサイル迎撃能力を有しています。

 陸上自衛隊の地対空ミサイルは、03式中距離地対空誘導弾改の取得を1式177億円、11式短距離地対空誘導弾の取得1式45億円を計上しています。11式短距離地対空誘導弾は81式短距離地対空誘導弾後継装備で、03式中距離地対空誘導弾改は試作が完了した最新型、陸上自衛隊は部隊防空に加え新たに巡航ミサイル防衛へも参加する新方針を受けてのもの。

 海上優勢の獲得維持、について。新事業として新艦対空誘導弾の開発に90億円が盛り込まれました、護衛艦の防空能力を強化するため、敵航空機等に対処し得る長射程の艦対空誘導弾を開発する、との事ですがミサイル護衛艦以外、護衛艦全般からの運用を示すと共に長射程のミサイルに相当する中間誘導、更にミサイル爆撃機への対処を盛り込むとのこと。

 固定翼哨戒機P-3Cの能力向上と機齢延伸、哨戒ヘリコプターの機齢延伸、画像情報収集機OP-3Cの機齢延伸、多用途ヘリコプター艦載型の取得、護衛艦艦齢延伸として艦齢延伸工事5隻及び部品調達6隻分、潜水艦の建造、潜水艦艦齢延伸として艦齢延伸工事3隻及び部品調達6隻分、掃海艦の建造、音響測定艦の建造、等が盛り込まれますが再掲事業です。

 海上優勢の確保について更に、12式地対艦誘導弾の取得で1式が81億円で取得されます。元々内陸部から運用する沿岸防衛の器材ですが、新たに海上自衛隊と共に南西方面での統合機動防衛力の獲得へ、陸海統合運用の視点から盛り込まれました。このほか、迅速な展開・対処能力の向上、指揮統制・情報通信体制の整備についてはまた次回に掲載します。

北大路機関:はるな くらま
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イエメン沖ミサイル攻撃事案、アメリカ海軍トマホーク巡航ミサイル反撃とイラン海軍展開情報

2016-10-17 21:51:21 | 国際・政治
■緊張高まる紅海海上航路
イエメンの反政府武装勢力フーシ派による紅海へのミサイル攻撃、四度目が実施されました。

アラブ首長国連邦高速輸送船への攻撃、更にアメリカ海軍駆逐艦への攻撃に加え、二度目のアメリカ海軍ミサイル駆逐艦に向けてのミサイル攻撃に対しては、アメリカ海軍がトマホーク巡航ミサイルにより反撃を実施しましたが、これに続いて三度目の攻撃が実施されています。アメリカ海軍最初の反撃は二度目のミサイル攻撃がミサイル駆逐艦メイソンに対して実施された事を受け開始されました、フーシ派占領地域のレーダー施設三カ所に対し、ミサイル駆逐艦ニッツェよりトマホークミサイルによる攻撃を実施、これを無力化しています。しかし、15日土曜日に三度目の攻撃が行われた、とのこと。

アメリカ海軍駆逐艦メイソンは15日、複数のミサイルによる攻撃を搭載するSPY-1レーダーにより察知しました、メイソンはアーレイバーク級ミサイル駆逐艦dねイージスシステムを搭載し艦隊防空任務に当たる駆逐艦です。ミメイソンに対するイエメン側からのミサイル攻撃は三箇所から同時に実施され、陸上内陸部の二箇所、として海上の艦船から発射され、イージス艦を攻撃したとの事です。ただ、イージスシステムは21目標との同時交戦能力を有しており、亜音速のミサイルであれば更に多いミサイルへの対処能力を有しています、メイソンは艦対空ミサイルを発射し、これを撃墜しました、同時多数の目標へ対抗するイージスシステムの本領発揮といえるでしょう。

イエメン内陸部の目標に対し、アメリカ国防総省によれば別のミサイル駆逐艦からトマホーク巡航ミサイルによる報復攻撃が実施されています。フーシ派武装勢力はハディ暫定大統領派に対抗する反政府武装勢力で、一時期は政党政府を運営した時代がある為、正規軍の一部が合流、内戦を激化させています。このなかで、政府軍を離反したフーシ派武装勢力にはレーダー管制の下での地対艦ミサイル等の運用能力やミサイル艇の運用能力を有しているとみられ、今回の攻撃が実施されていますが、全体で四度目、アメリカ海軍に対して三度目のミサイル攻撃も、二度に渡りトマホークの反撃を受ける事となっています。

紅海はスエズ運河を経てアデン湾とアラビア海及びインド洋に繋がる国際重要航路が通り、仮にフーシ派による地対艦ミサイル攻撃やミサイル艇による船舶攻撃が商船に対して実施されるならば、欧州とアジア地域を結ぶ海上航路へ重大な影響となる事態です。海上攻撃への脅威としては現在自衛隊が実施していますソマリア沖合族対処任務海上自衛隊派遣が挙げられるものの、イエメンは紅海を挟んでソマリアの対岸にあり、状況によっては日本が実施する会場護衛任務へも影響が及ぶ可能性を危惧していましたが、アメリカ海軍のトマホークミサイル攻撃により鎮静化に向かっているともいえるでしょう。

しかし、イラン海軍がこの海域へ展開の兆候がある為、状況は新展開しつつあります。フーシ派武装勢力はイラン政府からの武器援助を受けているとされ、このためハディ大統領をサウジアラビアなど中東有志連合が支援、実質的な代理戦争となっている状況です。ここでイランの国内報道によれば、イラン海軍が艦艇の派遣を開始したと報じました。イラン海軍はもともとロシアから導入したキロ級潜水艦を例外として沿岸作戦を実施する能力しかなく、近年、高速フェリーの設計を元にミサイルを搭載した自称国産駆逐艦等を整備していますが能力は限られています、が、れっきとした海軍艦艇であり、国際法上の位置づけは大きくなります。

アメリカ海軍に対するイエメン側からの攻撃が今後も継続する場合には、当然現時点でソマリア沖海賊対処任務よりも国際航路への影響度は大きくなります、こういいますのも本年は海上自衛隊をはじめ各国海軍有志連合の活動により海賊事案は最盛期の五百分の一にちかい僅か1件しか発生していません、自衛隊も護衛艦派遣を1隻縮小するほどですが、海賊以上に対艦ミサイルによるシーレーンへの無差別脅威は危険度が高くなります。そして、アメリカ海軍とイラン海軍との対立、これは新たな紛争の可能性を意味します、この海域で仮にアメリカ海軍との間で緊張状態が発生すれば、この緊張はイランに隣接するペルシャ湾、世界最大のタンカー航路を通すホルムズ海峡へ飛び火しかねません。相次ぐミサイル攻撃、イラン海軍の出現、この海域の状況は当面予断を許さないでしょう。

北大路機関:はるな くらま
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将来艦隊戦闘と巡航ミサイル【10】 我が国に必要な艦隊ミサイル戦用と報復的抑止力の二類型

2016-10-16 22:11:28 | 先端軍事テクノロジー
■巡航ミサイル二つの任務
 艦隊ミサイル戦用と報復的抑止力の装備二類型、今回はこれまでの総集編的な内容、補足的な内容を示す事としましょう。

 将来艦隊戦闘と巡航ミサイル、これまで9回に分けて掲載してまいりましたが、総合的な視点から。将来艦隊戦闘と巡航ミサイルの視点は、第一に対艦ミサイル射程の延伸と艦対艦ミサイルの多用途ミサイル化に対応する、艦隊戦闘の長射程化に対応する、というもの。第二に、日本本土への巡航ミサイル攻撃への抑止力としての潜水艦搭載という二つでした。

 護衛艦に搭載する巡航ミサイルは長距離からの艦隊戦闘においてのミサイル戦闘が長射程化しているため、対艦ミサイルの射程も延伸しなければならない、というもの。潜水艦に搭載する巡航ミサイルは主として対地攻撃用で、隣国が保有する大量の巡航ミサイルが日本本土無差別攻撃へ転用された場合にのみ相手本土策源地攻撃を行う抑止力、というもの。

 対艦ミサイルの射程は年々延伸しており、哨戒機と併せた情報共有により長射程のミサイルが有する対艦戦闘は現実的に蓋然性が高まっています。巡航ミサイルは攻撃用、という憲法上の制約から大きな議論が忌避されてきましたが、かつて大艦巨砲主義時代に艦砲射程が徐々に延伸したように、従来の艦隊ミサイル戦闘の延長に巡航ミサイルがある訳です。

 潜水艦に搭載する巡航ミサイルは余程の状況が無い場合、つまり南西諸島有事という状況では安易に使用するものではなく、限定戦争を超えた市街地への巡航ミサイル爆撃機等による無駄別攻撃、弾道ミサイルによる都市攻撃が実施された場合に初めて使用する、いわば報復的抑止力、という想定です。つまりこれは、基本的に使用するものではありません。

 巡航ミサイルによる無差別攻撃の蓋然性は年々高まっています、限定戦争を超えた無差別攻撃に備える抑止力としての巡航ミサイルで、専守防衛を掲げつつ相手国が我が国の専守防衛を悪用し自国本土へ影響が及ばない状態での無差別攻撃が行われる可能性を放置する事は出来ず、隣国の巡航ミサイル配備数が異常な増大を見せる今日には、必要な措置です。

 哨戒機搭載の巡航ミサイルは用途としては、双方に用いる事が出来るものですが主として都市攻撃や策源地攻撃に用いるものではなく艦隊航空の一環として、艦対艦ミサイルの延長線上、護衛艦に搭載する巡航ミサイルと同様の運用を行う事を想定します。射程の延伸が必要な背景には艦対空ミサイルの射程延伸について、その射程外から無力化する為です。

 陸上発射巡航ミサイルについて。その必要性を示さなかった背景には、確かに陸上発射巡航ミサイルとして射程の大きなものを装備する事は、隣接方面隊支援という規模での火力投射が可能となるのですが、艦隊戦闘を実施するには陸上配置は機動性に欠け、報復的抑止力としての運用は、逆に相手に本土無差別攻撃の口実とされかねず避けるべきでしょう。

 将来艦隊戦闘と巡航ミサイル、ここまで9回の特集を振り返りましたが、本文では、将来艦隊戦闘と巡航ミサイルについての二類型、艦隊ミサイル戦闘に用いる巡航ミサイル、本土無差別攻撃への報復的抑止力としての潜水艦発射巡航ミサイル、という区分が充分説明できていなかったようですので、今回項目を改めてその必要性と運用区分を明示しました。

北大路機関:はるな くらま
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フィリピン麻薬戦争人権問題の国際問題化、米比関係急速冷却と南シナ海防衛協力の停滞

2016-10-15 21:57:36 | 国際・政治
■南シナ海不安定化間接要素
 フィリピン麻薬戦争が大きな国際問題となっています、公約に麻薬関係者全員の殺害か逮捕を掲げたフィリピンのドゥテルテ大統領が行う行き過ぎが、地域不安定に間接的に影響を及ぼしているのです。

 ドゥテルテ大統領の行き過ぎた麻薬組織検挙任務が行き過ぎとして、アメリカ政府をはじめ多くの国々が批判し、フィリピンのドゥテルテ大統領はこれを内政干渉として一蹴し、口汚い言葉を積み重ねアメリカ政府を批判しているほか、レイテ作戦における市街地砲撃やモロ反乱事件などへの鎮圧の歴史を示しアメリカ政府を攻撃さえしています、フィリピンの麻薬戦争は文字通り戦争であるため、外国政府は干渉するべきではない、という視点、これを支持する、支持せざるを得ないフィリピン世論が存在する、というものでした。しかし、戦争というには、行き過ぎの部分がある事も事実のようです。これが外交問題へ発展しているのですが、フィリピンは国内治安問題の延長である麻薬戦争と同時に南シナ海を巡る自国領域不法占拠に直面しており、この地域の不安定は我が国シーレーンとも無関係ではない、という実情は理解すべきでしょう。

 フィリピン政府が批判されているのは、果たして殺害されている人物が麻薬犯罪に加担したのかが不明、という部分にあります。二人組がのったオートバイが夜間に酩酊者や歩行者を突如銃で乱射し射殺している、おとり捜査に引っかかった麻薬常習者の疑いのある人物がその場で射殺される、殺人者が制裁した旨の書置きをありつけられた身元不明の射殺死体が首都の街頭に放置される様子は、残念ながら麻薬戦争とはいっても、戦争でも国際人道法に当たる限度がある、と考えられるのは当然でしょう。しかし、この強権に反対する事は、麻薬組織に加担しているという疑いをもたれ、死の制裁、街頭で強権反対者が射殺される事例もある事から、反対すらできないという実情もあるようです、これでは中世の魔女狩りに他なりません。

 一方、この麻薬戦争は降伏した場合でも過酷な運命が待っているようです、麻薬に少しでもかかわったものは街頭で射殺されるか、徹底抗戦するか、を除くならば自首しかありませんが、既にフィリピン国内の刑務所は麻薬以外の犯罪者を釈放してもなお満員で、その様子は狭い刑務所に折り重なって収容されている状況、奴隷時代のガレー船もここまでひどくは無かったでしょう、ナチスのユダヤ人絶滅収容所に近い非人道的な状況ですが、ドゥテルテ大統領は、自分がヒトラーと同じように避難されたとしても麻薬戦争を戦い抜く、と現状をゲットーのような絶滅収容所と近い状態である事への友好国や同盟国からの避難さえも一蹴しました。これにより、米比関係などが悪化する徴候がありますが、米比関係が悪化し中比戦争が勃発した場合よりも、現状を放置し、麻薬戦争での戦死者や巻き込まれる民生被害は大きくなるのかもしれません。

 街頭での射殺事件は、フィリピンの海外からの心証を非常に悪くしている事も否定できません。かつてフィリピンは新興産業国家の一員であり、我が国からも人口9000万という大きな労働力を目指し、海外工場などを建設しました。しかし、現在では首都を含む一部地域へ夜間外出禁止命令が出されるほど、実質的に戒厳令下の国となっています。また、射殺体がそのまま放置される国に対して更に投資を集める事も限度があり、麻薬が蔓延している国よりは麻薬関係者を含めた死体を溢れる状況を選らばざるを得ない世論もあるのでしょうが、海外からの投資は先細りが予想され、経済へも大きな影響を及ぼすでしょう。また、米比関係の悪化により、中国の海洋進出をフィリピン政府が止められない状況が常態化し、他のフィリピンの島々へも中国の聖域を醸成させることを阻止できない場合、非常に大きな地域不安定化への要素となりかねず、これが米比首脳間の関係悪化により顕在化しました

 ただし留意すべき一点として、懸念要素は米比関係が悪化しているのに対し、比中関係は云われるほど好転しておらず、米比関係の悪化に対してドゥテルテ大統領が中国との武器援助関係を養成する、と述べているのみ、中国政府とは関係良好化の兆しもありません。元々、フィリピンが在比米軍を撤退させたのちに軍事力を再構築しなかったことで、自国のミスチーフ環礁が中国へ不法占拠されている事を自国が察知する事も、又排除する事も出来なかった訳ですが、ミスチーフ環礁は中国に如何にフィリピン政府が関係良好化を求めようともフィリピンへ返還される可能性は無く、その航空基地化が進められています。フィリピン政府としては麻薬戦争に反対しない、しかしミスチーフ環礁の基地化を進める中国へ対応できる友好国を求めており、最近では日本との関係強化も改めて掲げています。この地域のシーレーンなど、また海外投資先としても重要な日比関係は、今後どのように進むのかを慎重に視てゆく必要があるでしょう。

北大路機関:はるな くらま
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平成二十八年度十月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2016.10.15/16)

2016-10-14 21:34:19 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 秋らしい涼しさと共に長く続いた台風の季節が、ようやく終わりました、今週末の自衛隊関連行事について。

 今週末最大の行事は、自衛隊中央観閲式予行、浜松基地航空祭、国際航空宇宙展一般公開日、第9師団創設記念祭や八尾駐屯地祭に今津駐屯地祭と小月スウェルフェスタ、等いろいろ。自衛隊中央観閲式予行日については一般公開されていませんし、国際航空宇宙展一般公開は自衛隊行事では厳密にはありませんが、中々行事は盛りだくさんというもの。

 浜松基地航空祭、航空自衛隊創設行事が行われたことから航空自衛隊発祥の地として知られ、航空教育集団司令部とT-4練習機を運用する第1航空団、第1術科学校や高射教導隊等の部隊が置かれる事から航空自衛隊航空教育訓練体系の一大拠点となっており、更に防空の虎の子E-767空中警戒管制機の警戒管制飛行隊が展開する防空要衝ともなっています。

 第9師団創設65周年青森駐屯地祭、東北北部を防衛警備管区とする東北方面隊隷下、第9師団の創設記念行事です。第9師団は冷戦時代において青函地区南部という戦略要衝を受け持つ関係上、北部方面隊隷下の師団に準じた重装備を維持し、FH-70榴弾砲を最初に受領した部隊でもあります、現在は装備を改め、即応近代化師団への改編を受けました。

 中部方面航空隊創設54周年八尾駐屯地祭、大阪府八尾駐屯地は旧大阪第一空港として知られた飛行場で、陸軍航空隊の大阪防空拠点ともなっていました。この中部方面航空隊は中部砲煙隊直轄のヘリコプター部隊で、方面ヘリコプター隊と対戦車ヘリコプター隊等が隷下に置かれ、間もなく増強改編も予定です。祝賀飛行大編隊と立体模擬戦の迫力は物凄い。

 今津駐屯地創設64周年記念行事、滋賀県湖北に位置する駐屯地で、中部方面隊最大の饗庭野演習場に隣接、第3戦車大隊、第10戦車大隊、中部方面移動監視隊、中部方面無人偵察機隊、等が駐屯しています。駐屯地は決して広くはありませんが、戦車が続々と進む観閲行進の迫力は凄く、訓練展示でも中隊規模の74式戦車部隊が空包射撃の轟音を響かせる。

 小月スウェルフェスタ、山口県の海上自衛隊小月航空基地の航空祭です。小月航空教育群が置かれ、航空教育の第一歩をここから進みます。T-5練習機を運用する第201教育航空隊を隷下に持ち、小月スウェルフェスタでは教官ブランエールによるT-5練習機四機編隊をもってのアクロバット飛行も実施されます。迫力満点ですが岩国航空基地祭程混雑しません。

 さて、せっかく遠出するのですから。いい酒いい旅、を目指して行事前夜などに散策しますと、如何にも和風で趣ある門構えの焼き鳥屋に入り、木目が格調高い重厚なカウンターに陣取り、とりあえずビールという日本の共通語で挨拶しつつ、メニューを見ますと焼き鳥60円、という、おおういつの時代だ、と驚かされる事があります、思えばその街、九州有数の大砲の街、昔でいう軍都でした。

 いい店を見極めるには、という永遠の課題ですが、海上自衛隊の方に聞きますと、立ち入り臨検隊の訓練で即座に状況を把握する厳しい訓練を積めば、その応用としていい店の定義を暖簾をくぐった最初の五秒間でみきわめ、適合しない店からは即座に撤退する事が出来る、という参考になるお話がありましたが、難点はその訓練を一般は受けられないこと。

 習志野の寿司は美味かった、今津の串揚げ屋もバクダン漬がまた食べたい、御殿場の天麩羅が楽しみだ、というところですが、普通の観光地に行きますと、値段と料理の質が悪い意味で合っていない場所に何度か出遭いましたので、駐屯地の街で部隊という固定客に支えられたお店が並ぶ街は、夜歩いていても楽しいものです、こんな行事の愉しみ方もある。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭
・10月16日:第9師団創設65周年青森駐屯地祭…http://www.mod.go.jp/gsdf/neae/9d/
・10月16日:浜松基地航空祭エアフェスタ2016…http://www.mod.go.jp/asdf/hamamatsu/
・10月16日:今津駐屯地創設64周年記念行事…http://www.mod.go.jp/gsdf/mae/3d/imadu/
・10月16日:中部方面航空隊創設54周年八尾駐屯地祭…http://www.mod.go.jp/gsdf/mae/3d/yao/
・10月16日:小月航空基地スウェルフェスタ2016…http://www.mod.go.jp/msdf/oz-atg/

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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アメリカのリスク 大統領選にみる変容と国際公序再構築【12】 不明確な対ロシア政策の指針

2016-10-13 21:41:00 | 国際・政治
■米ロ関係将来展望と北方防衛
 アメリカのリスク、大統領選にみる変容と国際公序再構築、第12回はロシアとの関係です。大統領選まで一ヶ月を切り、二度のテレビ討論を経てアメリカ大統領選はポピュリズムの限界を露呈しているところではありますが、問題の深層はもう少し深い。

 アメリカは将来、対ロシア外交と防衛政策をどのように展開させる可能性があるのか、クリントン候補はクリミア半島武力併合とウクライナ内戦介入を契機とした経済制裁継続の方針を示していますが、トランプ候補はロシア制裁について具体的な施策を示しておらず親ロシア路線を過去に示しただけが唯一の方向性となっています、同盟国がどうロシアとの関係を展開させるのか、北海道に冷戦時代日本は非常に大きな圧力を受けました。

 今後の大統領選の結果次第では多くの米ロ関係への不確定要素が顕在化します。ウクライナ内戦介入をアメリカは容認するのか、この背景となった東欧への弾道ミサイル防衛システム配備を撤回する可能性はあるのか、バルト三国とポーランドへ隣接したロシア飛び地カリーニングラードへのロシア軍増強が周辺地域への軍事行動へ展開した場合にはどのような施策を執るのか、アメリカがロシアに対してどこまで譲歩する事がアメリカ第一主義と両立するのか、この点が明確ではありません。

 この欧州におけるロシアとアメリカの関係ですが、関係が複雑化した場合、忘れてはならないのがアメリカとロシアの接点は欧州とはユーラシア大陸の反対側、日本との国境でも摩擦が生じるということです。この対立は決定的ン刃物となっており、ロシアは全欧安全保障協力会議枠組からの信頼醸成措置一方的注視、オープンスカイ条約の停止等激化しているところです。ここで、急にアメリカ新大統領がロシアへの宥和政策とも受け取れる政策を呈示すれば、地域不安定が依拠に進みますし、その上で在日米軍などのプレゼンスへ影響が及べば、我が国防衛政策へも影響は非常に大きなものとなる。

 東欧へのミサイル防衛システムは、元々、イランの弾道ミサイル脅威から欧州の同盟国、その領内にある在欧米軍基地を防護すると共に北朝鮮から技術提供を受けているイランの弾道ミサイル技術、将来的にアメリカ本土を狙うミサイル脅威への対処が主眼でした。イランとアメリカの関係はオバマ大統領が経済制裁の解除を明示しましたが、依然として平和利用という形での兵器用プルトニウム抽出の疑いが残り、更に弾道ミサイル技術開発が進んでいるイラン、を想定したもの。

 アメリカ第一主義はアメリカ本土を狙う弾道ミサイル脅威もアメリカ本土へ直接攻撃が実行されない限り無視できるという、核ミサイルを突き付けられた場合でも動じない胆力をもつとの考えなのか、不明確と云わざるを得ません。ただ、東欧ミサイル防衛システムは、ロシアとの摩擦が本格化した2007年以来の懸案事項です、ロシアはこの点で、ロシアの弾道ミサイルが東欧のミサイル防衛システムにより無力化されかねないとの摩擦が払拭できる可能性は無いのですから、妥協の余地はありません、どう対応するのか。

 2014年以前であれば、非常に非現実的なのですが米ロが共通弾道ミサイル迎撃能力基盤を構築し、例えばイランを俯瞰するボルゴグラードなどロシア領内に米ロ共同のミサイル防衛拠点を建設するという施策は有り得たかもしれません、が、費用負担やミサイル脅威への認識の相違から、又さすがに共通化出来ない防衛情報分野があり実行の模索は為されませんでした。ロシアとアメリカは冷戦後に一時的な蜜月期、価値観の共有の可能性が現実的に考えられただけに、この後の展開は急展開そのもの。

 そして2014年以降は、ロシアのクリミア併合とウクライナ内戦介入により米ロ間の対立は決定的なものとなりました、かつて1979年にソ連軍がアフガニスタンへ進攻し緊張が再燃した転換点を彷彿させる展開、さすがにこの対立を無かった事にできないか、との合意には難しいものがありますし、カリーニングラードへの兵力増強も妥協し感化すれば次の段階へ進む準備を容認した事となり、兵力増強は認めるがその兵力が増強されて実施される次の段階は容認しない、という事は成り立ちません。

 アメリカはロシアとの関係、アメリカが本土へ引くという現在の、米軍再編を受けての施策がロシアの行動をアメリカの撤収した空隙を縫う形で顕在化し、このことが返って対立を表面化する事となっていますが、既に深刻な対立となっている米ロ関係、ウクライナ介入とクリミア併合、カリーニングラード兵力増強、信頼醸成措置停止など深刻化している現状に大きく妥協しロシアとの関係を修復するのか、ロシアに妥協を迫るのか、この行方はユーラシア大陸を越えて日ロ関係の防衛問題にも直結します。

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南スーダンPKO情勢悪化、89式装甲戦闘車とAH-64D戦闘ヘリコプター緊急調達の英断が必要

2016-10-12 22:07:24 | 国際・政治
■政府は拍手ではなく装備を送れ
 時事、南スーダン首都での緊張高まる。自衛隊PKO部隊が派遣されている南スーダンにおいて政府軍部隊とPKO部隊の緊張が高まる事態となりました。

 南スーダンにおいて状況がひっ迫しています。大統領派と副大統領派の対立を起因とした事実上の内戦状態に陥っている南スーダンですが、2011年に独立を果たした同国の国家創造を支援するべく国際連合南スーダン派遣団UNMISSのPKO部隊8000名が派遣中で、UNMISSには我が国自衛隊も施設部隊及び警備部隊等を派遣中、当事国となっています。政府は先頃国会において自衛隊員の貢献全般に拍手を送りましたが、今送るべきは装備です。

 自衛隊は国際平和維持活動へ対応するべく、89式装甲戦闘車とAH-64D戦闘ヘリコプターの調達再開を真剣に検討し、当初の装甲戦闘車350両体制と戦闘ヘリコプター60機の整備計画を早急に固めるべきではないのか、89式装甲戦闘車とAH-64D戦闘ヘリコプターは共に用途を広く運用でき、その緊急性から補正予算を組んででも取得すべきではないか。

 現在送るべきは戦車等で、新装備は今後の課題への対応という範疇ですが、安全保障関連法制整備に際して、自衛隊の国際平和維持活動における文民及び国際平和維持部隊等への駆けつけ警護が法的に可能となりました。駆けつけ警護に当たる英訳が無いのですが、これは軍事行動へ一体として参加する中に在って、構成部隊の一部が攻撃を受けた際に一体行動しない選択肢そのものが無い為の、日本独自の法的表現である為です。

 しかし、安全保障関連法制における駆けつけ警護の法的な可否ばかりが、国会や識者の間での論争となりましたが、我が国の装備体系、専守防衛故の地形防御重視に依拠した対戦車戦闘を基本とした装備、対戦車ミサイルは多いものの軽装甲車を除く装甲車が殆ど無い装備体系では、部隊による任務遂行能力の有無についてはほとんど議論されませんでした。

 T-72主力戦車等、南スーダンでは強力な装備が第一線で運用されています。駆けつけ警護、といいましても、相手が重装備過ぎます、陸上自衛隊は軽装甲機動車を若干数派遣していますが、125mm戦車砲の前には防御力がありませんし、軽装甲機動車に搭載するMINIMI分隊機銃では撃破能力は論外、戦車に擦過傷しかつけられず、文字通り歯が立ちません。現時点では本当に隊員の安全を考えるならば、中距離多目的誘導弾か10式戦車を小隊規模で緊急派遣するしかないでしょう。

 89式装甲戦闘車であれば、大口径の35mm機関砲により威嚇射撃が可能ですし、重装甲車の撃破可能、搭載する79式対舟艇対戦車誘導弾はT-72戦車の火器管制装置による125mm戦車砲の射程外に当たる4000mの遠距離から撃破可能です。防御力は戦車砲には耐えられませんが、重機関銃弾程度には耐え、不整地突破能力が高い為、回避能力も非常に高い。

 調達できるのかという視点について。確かに生産終了した装備ですが、再生産は可能です。例えばイタリア陸軍のダルド装甲戦闘車などは1989年に完成したものの、財政難や装備計画二転三転により部隊配備開始が2000年から、と大きく遅れた事例があります。89式装甲戦闘車の最終調達は2004年度ですが、年産45両程度1中期防以上の機関の調達ならば、生産ライン再構築は可能でしょう。

 AH-64D戦闘ヘリコプターですが、イタリア陸軍などはA-129マングスタ対戦車ヘリコプターをボスニアPKO任務へ派遣させた事例がありまして、突発事態に対し即座に航空支援を行う体制を立てる事は派遣部隊の安全上重要な選択肢です。今年に入りイギリス陸軍がAH-64Dの後継としてAH-64Eの50機調達契約を行い、この種の装備の有用性は大きい。

 89式装甲戦闘車は運用と整備共に戦車と同等の厳しい運用の負担がありますが、陸上自衛隊には74式戦車の縮小を以て機甲部隊を離れた潤沢な経験を持つ要員が多数在籍していまして、74式戦車の経験を有する要員ならば89式装甲戦闘車の運用にも対応し得る、AH-1S対戦車ヘリコプターの要員が多数在籍する現在ならばAH-64Dへの移行も可能でしょう。

 現在、南スーダンでは非常に懸念すべき状況が展開しています。勿論、即座に部隊を緊急展開する以外、新たな装備品調達は間に合いませんが、現在の国連PKOは国連憲章七章措置であり、危険な地域へも派遣されます。政府は自衛隊を派遣する責任から、拍手を送るだけではなく、責任を持った任務遂行へ必要な重装備の調達を行う、これこそが自衛官の任務に応える政治の責任だ、と考えます。

北大路機関:はるな くらま
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