◆少なくとも2016年には初度作戦能力獲得
新世代戦闘機F-35Bが2016年には岩国に配備されるという報道がありました。遂にF-35が日本へ、と驚くとともに2016年までに初度作戦能力付与が現実的になった、という点に注目です。
F35、16年岩国配備計画=対中、北抑止、在日米軍初-海兵隊・・・ 【ワシントン時事】米海兵隊が次世代戦闘機F35を2016年10月から米軍岩国基地(山口県岩国市)に配備する計画が4日、海兵隊の「11会計年度海兵航空計画」で明らかになった。 米国防総省は空・海軍、海兵隊が要求する性能に応じて3タイプのF35を開発中で、海兵隊仕様が最も開発が進んでいる。在日米軍基地では岩国基地に最初に配備される見通しだ。F35の日本配備は、軍拡著しい中国や、北朝鮮の挑発行為への抑止力の役目も担う。
配備されるのは、海兵隊向けに強襲揚陸艦や小さな飛行場でも運用できるよう設計された垂直着陸型のF35。米国の基地周辺では、強力なエンジンによる騒音を懸念する声も出ている。AV8ハリアー戦闘攻撃機やFA18ホーネットの後継機となる。 計画では、岩国基地の第12海兵航空群に展開している第224戦闘攻撃中隊が14年1月からビューフォート基地(サウスカロライナ州)に戻り、機種変更訓練を実施。16年10月に岩国基地にF35を16機配備する。 海兵隊は「海兵隊仕様のF35の開発は13会計年度(12年10月~13年9月)に初期戦闘能力を取得することに向けて順調に進んでいる。F35は地上部隊の近接支援や攻撃、偵察、電子戦に威力を発揮する」としている。 F35は航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)の候補にもなっている。(2010/10/04-16:42)http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&rel=j7&k=2010100400540◆
F-35はアメリカ主導の国際共同開発のJSF計画として主にステルス性をもったF-16戦闘機の後継として開発が始まり、対地攻撃機A-10や海軍、海兵隊のF/A-18C,そして海兵隊のAV-8B攻撃機の後継を一機種で行うことでコスト低減を目指そうとした航空機です。F-16と同程度の取得費用で調達できる、という話でしたから、協同開発にはイギリスをはじめ多くの国が参加しています。F-35は空軍が航空基地から運用するF-35A、海兵隊が強襲揚陸艦から運用するF-35B,そして海軍が航空母艦からカタパルトで運用するF-35Cが開発されているのですが、しかし、ステルス性と低空に降りての近接航空支援から対地攻撃機、対艦攻撃も可能でありながら航空戦にも対応するという野心的な設計から開発は難航し、今に至ります。
ここで注目したいのは海兵隊の第一海兵航空団に所属する実戦部隊としての第12海兵航空群にF-35が2016年までに配備する見通しが立っている、という事でしょうか。第一線部隊に配備するということは実任務に対応するための初度作戦能力を付与した上での配備、ということになります。有事の際には日本に配備されているステルス機として対処できる訳ですから、ね。上記の点を踏まえますと、F-4EJの後継機に悩む航空自衛隊としては、2016年まで繋ぎの機体を導入さえすれば、F-35の取得は現実的に考えられる訳です。
平成23年度予算にF-2の継続調達は盛り込まれなかった訳ですので、事実上難しいのですが繋ぎにF-2を生産継続し、平成28年度まで生産を続けたうえでF-35の調達に移行、防衛航空産業はT-4練習機等の後継機取得や、他機種とのハイローミックスとして二機種を並行調達、F-35以外の機体をライセンス生産、という選択肢もとれるのではないかな、と少し考えたりもします。とはいえ、タイフーンは別として、F/A-18EやF-15E、総合的に見て性能とコストでF-2を圧倒しているとは言い難いのですが。
他方で、日中関係という事案は相当アメリカの関心事となったようですね。尖閣諸島事案における日本対中外交の失態は、日中の政治的軍事的均衡に悪影響を及ぼし、日本に中国に対するカウンターバランスとしての期待が薄まった事で、今後東南アジア諸国の外交政策に変化が生じる可能性が高いですし、再度東南アジア諸国が大規模な軍事力増強に向かう可能性もあります。この事案を防ぐ観点からも日米が一体となり対応する必要があり、F-35の岩国配備は、その一環となる訳ですね。F-35,確かに米市民団体の調査でも騒音の大きい航空機として知られますが、新滑走路完成で離着陸に関しては低減されそうです。低空飛行訓練の騒音問題は残るのですが。
F-35,遅れていて、なかなか超音速飛行が実現せず、ステルス技術の供与を目ブル米英対立から戦闘機動能力の不足が問題視され、F-22の調達中止からF-15のゴールデンイーグル改修計画が稼働するなど、少々不安な部分は残りますものの今回の一報は朗報です。他方、将来的には三沢基地のF-16もF-35に置き換わる可能性が高い訳でして、日本の次期戦闘機計画も米空軍との相互互換性を重視するのか、能力本位で考えるのか、この問題も考える必要はあるかもしれません。B型で、A型の、しかも優先顧客でもない日本がF-35の導入を希望した場合実現には時間が掛かるかもしれませんが、2020年代までかかりそうな危惧は杞憂に終わりそうで、候補として現実味を持つようになってくるかもしれませんね。
HARUNA
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
F-35の岩国配備は喜ばしいことですね。周辺の脅威対象国への抑止力となることを多いに期待したいです。
嘉手納や三沢にも配備してもらいたいものです。
空自様は相当にステルス機に拘っておられるようですから、どうしてもF-35というならば、一部を比較的開発が進んでいそうなF-35Bにして、少しでも早く取得した方が良いのではと愚考してしまいます。こうすれば22DDHに将来的に搭載出来る可能性も多少はあるかなぁと思ったりもいたします。
ただ、生産基盤の維持は重要かと思いますので、はるなさんがご提示されておられる案が最も合理的だと当方も感じる次第です。
長々と失礼いたしました。
問題の自衛隊ですが、空自が導入できるのは10年後でしょうから、つなぎの機体が必要だと思います。しかし防衛省にはF-35以外を採用する動きが見えないので、よくわからなくなってきます。
この類の話になると機種に目が行きがちですが、「空母を持つか」「トマホーク導入」「陸自の海兵隊化」といったことを含めた陸海空を超えた戦略を立てることがより重要だと思います。
所詮は戦闘機も、実戦では「駒」の一つに過ぎないのですから。どんなに性能が高い機種を持ってても、バックのシステムが貧弱だったりと、戦略に合致したものでなければ意味がありませんからね
ハワイやアラスカの飛行隊はかなり削減されていると聞きます。
経済的な要因から、海外基地削減の声がアメリカでは高まっているようですし。
三沢って飛行隊はいつもいるんでしょうか?
ほとんど日本にいないと聞くんでが。
尖閣の件をきっかけに、日本の兵器類が攻撃と防御という正常な状況にならないかなと思ってるんですが、菅の温へのへつらい方をみると、尖閣で譲歩してしまうのではないかとイライラしいます。
日本もSEADの様な対地攻撃能力を身につけるべきだと思うのですが。
B型が開発が最も進んでいて、気候的には一番無理していると思うのですが、そして真っ当なA型、ステルス性最重要視のC型が遅れている、というようですね。
日本への導入ですが、航空自衛隊が導入があるとすればA型でしょう。B型を導入しても、海上自衛隊の護衛艦から運用、ということはちょっと無理があるのではないでしょうか。洋上の護衛艦へ着艦、もちろん相手が停止していて快晴で波浪無し、という状況ならば操縦技術として可能なのでしょうが、実任務における艦載機運用を可能とするのは難しいでしょう。DDHでの航空機発着は簡単ではありません。
この点、取得費用さえ低ければ、つまりこれ以上高騰しないのであれば、航空集団を再編して、P-1、SH-60K,F-35Bを各60機前後、というのはあってもいいとは思うのですが・・・。
航空自衛隊F-X,どうなるのでしょうね・・・。南西諸島はその特性から那覇基地のようは本島以外に戦闘機基地を建設するのは、弾道ミサイル攻撃に曝される危険性があり、滑走路が破壊されても運用可能なF-35Bか、AV-8くらいしか基地運用は出来ないように思うのですが、冷戦が最も激しかった時代でさえ、北海道にSTOL性の高いジュギュアのような機体を野戦運用、という構想は無かった訳でして、F-35Bは無いな、と。
繋ぎならばF-2しかないとおもうのですが・・・、F/A-18EかF-15Eを導入するにしてもライセンス生産を行う場合、生産基盤と運用基盤を構築して、となると一個や二個飛行隊所要では費用対効果が悪すぎますし・・・。
航空自衛隊ですが、図上演習等の記録を見ますと、やはり必要なのは後方支援体制の迅速な立ち上げと部隊の集中なのですよね、仰る通り総合的に構想して計画を立ててゆく必要があります。
長期的には、そうなるのでしょうね。もっともF-15Cのゴールデンイーグル改修はかなり高度なものと聞きますし、相当長期間嘉手納に残る可能性もありますが・・・。
三沢基地の戦闘航空団ですが、撤退、というのは第一線に聞くとそういう話は初耳、という反応がある訳で、F-2欠陥報道が基地周辺であまり聞こえないのと同種の話なのかな、と。
米空軍の飛行隊ですが、航空自衛隊の場合は要撃任務が第一ですので拠点となる基地から飛行隊ごとどっかに長期展開、ということは考えにくいのですが、米軍の場合は飛行隊規模で支援、というのが前提ですからね。理想はこっちなのかもしれません、必要な時に必要な部隊を。
・・・、しかし、北方からロシア空軍、日本海を超えて中々来ないけれども北朝鮮、南方から中国空軍。動くに動けないのですよね。予備の航空隊があれば・・・。海兵隊も必要な時に必要な部隊がいつような場所に展開が原則ですから、いないときもある。これは地域防衛を前提としている陸自の師団や旅団を見ると不思議に見える訳なのですが、こっちもこれが理想なのですよね。
F-35Bが2016年に国内に配備ですか・・・。
なんだか俄かには信じられませんね。
B型の推力機構をみると、本当に実用になるのか常々疑問に思ってます。
STOL機としてはまだ可能かもしれませんが、VTOL機には無理があるとみています。
エンジンからシャフトを伸ばしてリフトファンを高速回転し垂直高推力を得る方式のようですが。
超高速の回転するシャフトの僅かな歪みで異常発振を起こしエンジン迄壊れそうに思います。
もしこの機体を何とか力技で実用まで持ち込めればそれはそれで凄いですけど・・・。
手間をたっぷりと掛けられるテスト機と違って現場に配備されれば、なめる様なチェツクは不可能でしょうに(稼働率が・・)。
それから例え実用になろうが、総重量30トンの高速機体を搭載するには2万トン前後の艦船は確かに無理で、実戦的に使用するには英国が建造中の6万トンクラスの空母が要求されると見てます。
さっさとB型の開発を諦めA,C型に絞ればいいのに、JSF計画に縛られそれも不可能なのでしょう。
当方はB型はまだまだ難航するとみてます。
それから他のF-35機にかんしてはオランダ、ノルウエイ辺りが最近腰が引けはじめ、米海軍もF-18の追加発注してたりと、流動的です。
【エドワーズ空軍基地(米カリフォルニア州)=小川聡】米空軍とノースロップ・グラマン社は5日、エドワーズ空軍基地と同社パームデール工場で、最新鋭の高高度無人偵察機「グローバルホーク」の機体や関連地上施設を日本メディアに公開した。
同社幹部は本紙のインタビューで、米海軍が2015年までにグローバルホークの在日米軍への配備を検討していることを明らかにした。
ノースロップ・グラマン・エアロスペース・システムズのジョージ・ゲラ副社長はインタビューで、「米空軍も海軍も日本に配備したいと思っている」と明言。
海軍は15年までに海上監視能力を強化した次世代グローバルホーク「BAMS」68機を導入し、空軍と協力して世界5か所に展開拠点を設ける計画で、「日本の基地にもかなりの可能性がある」と述べた。
同社関係者によると、沖縄県の嘉手納基地や青森県の三沢基地が検討対象となっている。北朝鮮の監視に加え、中国が日本周辺での軍事活動を強化させていることを見据えた動きという。
(2010年10月6日22時20分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20101006-OYT1T01078.htm
日本に配備する計画ってはじめて聞きましたね。