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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】もがみ型4番艦みくま進水式,はつゆき型護衛艦12隻最後の一隻練習艦せとゆき除籍

2021-12-28 20:05:36 | 先端軍事テクノロジー
■特報:世界の防衛,最新論点
 今回は海軍関連の最新情報を纏めてみました。長崎では護衛艦もがみ型が更に一隻進水式を迎え続々と建造されてゆきます。護衛艦もどんどん変わってゆくのですね。

 海上自衛隊の護衛艦もがみ型4番艦みくま、12月10日に三菱重工業長崎造船所にて命名式と進水式を迎えましたもがみ型護衛艦は旧式化した護衛艦あぶくま型と護衛艦あさぎり型及び退役が進む護衛艦はつゆき型護衛艦を置換えるべく建造されている護衛艦で、コンパクト艦という位置づけでしたが満載排水量は5500tと非常に大型となっています。

 みくま、この艦名は旧海軍の最上型重巡洋艦二番艦三隈の艦名を継承したものです。三隈は最新鋭大型軽巡洋艦として建造が計画されつつ、艦砲を155mm砲からワシントン海軍軍縮条約失効を受け建造に制限が無くなり203mm艦砲に切替え重巡洋艦として完成していますが、ミッドウェー海戦において損傷、その後米軍艦載機の猛攻により撃沈されました。

 もがみ型は一年間に2隻という比較的早い建造が進められており、一番艦もがみ進水式は2021年3月ですが、三菱重工業長崎造船所には一番艦もがみ、とともに2021年6月22日に進水式を迎えた護衛艦のしろ、3隻が並んでいます。先行して二番艦くまの、が三井E&S造船玉野艦船工場にて2020年11月19日に進水式を迎え、来春に竣工する予定です。
■せとゆき除籍
 舞鶴の護衛艦まつゆき除籍となり護衛艦はつゆき型は練習艦が残るのみでしたが。

 せとゆき。練習艦せとゆき退役行事が25日に呉基地にて挙行され、これで護衛艦はつゆき型として建造された護衛艦は練習艦転籍艦を含め12隻全てが除籍されました。せとゆき、は2012年に護衛艦から練習艦への改造工事をうけ練習艦に転籍、練習艦隊に所属していましたが、はたかぜ型ミサイル護衛艦の練習艦転籍に道を譲り長い任務を完了したわけです。

 はつゆき型護衛艦は対潜対空水上能力を備えたシステム艦、88艦隊、護衛隊群の護衛艦8隻哨戒ヘリコプター8機体制実現へ1982年より短期間で12隻が建造されました。当初は20隻が建造される計画でしたが、後期艦は構造物をアルミ合金から鋼製に変更し、拡大改良型の護衛艦あさぎり型8隻へと建造が変更され、あさぎり型を加え20隻を整備しました。

 システム艦であり、満載排水量4000tの船体に対艦ミサイル、大型対潜ヘリコプターとアスロックの弾庫まで備えた強力な水上戦闘艦となりましたが、むらさめ型など最新艦の竣工とともに活躍を護衛隊群から沿岸防備と練習艦に転換、重武装は2000年代からの中国海軍活性化をもよく抑止でき、近年は最新もがみ型の量産開始によりその役割を終えました。
■ミネアポリスセントポール
 フリーダム級沿海域戦闘艦の新しい一隻がかつての潜水艦の名を継いで竣工しました。

 アメリカ海軍は11月18日、新沿海域戦闘艦ミネアポリスセントポールを受領しました。これはロッキードマーティン社のフィンカンティエリマリエッタマリンズ造船所において建造されていました、フリーダム級沿海域戦闘艦の11番艦です。フリーダム級は変速装置などに重大な問題点が指摘されましたが、ミネアポリスセントポールから改良されました。

 ミネアポリスセントポールはアメリカ海軍ではロサンゼルス級攻撃型原潜の艦名として知られていますが、こちらの方は2007年に除籍されています。フリーダム級はクーパーズタウンが建造中で、こちらも2022年1月には納入される予定で、この他に同型艦の、マリネットとナンタケット及びベロイトが建造中、クリーブランドが建造準備中となっています。

 沿海域戦闘艦は冷戦後の対テロ戦争時代を想定し設計された、高出力と監視能力を重視した水上戦闘艦であり、2010年代からの従来型脅威の再活性化に対しては、その武相の低さと、打撃力の面での拡張性の低さが問題視されています。この為、暫定的な打撃力強化の試み等は為されていますが、初期建造艦については比較的新しくとも退役が始っています。
■フランクE.ピーターセン
 世界で最も量産されているイージス艦というアーレイバーク級ミサイル駆逐艦も新しく一隻が竣工しています。

 アメリカ海軍は11月30日、アーレイバーク級ミサイル駆逐艦フランクE.ピーターセンジュニアを竣工させました。これはハンティントンインガルスインダストリーズにて建造されていたもので、COVID-19新型コロナウィルスのアメリカ本土における感染拡大により建造は遅延が強いられましたが、予定通り2021年に竣工させることができています。

 フランクE.ピーターセンジュニアはアフリカ系初の海兵隊将官の名を冠した駆逐艦です。海兵隊将官であるとともにヴェトナム戦争を始め300以上の戦闘を中心とした実任務に参加しています。アメリカ海軍ではアフリカ系従軍功労者の艦名も近年増え、ジェラルドフォード級空母にも真珠湾攻撃に際し勇気ある行動をとったドリスミラーが冠せられました。

 アーレイバーク級ミサイル駆逐艦は現在もっとも建造されているイージス艦で、ハンティントンインガルスインダストリーズでは現在、レナサトクリフヒグビーとジャックH.ルーカス及びテッドスティーブンスとジェレミアデントンが建造中となっています。計画当時は東西冷戦時代でしたが、卓越した防空力と拡張性は今後とも海軍の主力となるでしょう。
■イージス艦ダニエルイノウエ
 アメリカから母港へ向かったダニエルイノウエが真珠湾記念日翌日のパールハーバー基地へ到着です。

 アメリカ海軍の新造イージス艦ダニエルイノウエが12月8日、パールハーバー基地において任務に着任しました。ダニエルイノウエはアーレイバーク級ミサイル駆逐艦で2021年3月8日に竣工、海軍は初度作戦能力獲得前訓練を行った上で、艦名の由来となったダニエルイノウエ上院議員の出身地であるハワイ州のパールハーバー基地へ配備を決定しました。

 ダニエルイノウエがパールハーバー基地へ到着した12月8日は、日米開戦となった歴史的な真珠湾攻撃から80年を経た翌日であり、日系二世であったダニエルイノウエ氏は志願し有名な442連隊戦闘団に配属され活躍しています。不幸な歴史から80年と1日を経たハワイですが、現在日米は同盟国となり、太平洋での日米防衛協力の一翼を担う事となります。

 イージス艦はアメリカ海軍と共に海上自衛隊、続いてスペイン海軍及びノルウェー海軍が採用し、韓国海軍とオーストラリア海軍が導入しています。基本型のSPY-1レーダーに続いてアメリカ海軍ではSPY-6レーダー、スペインと日本の防空専用艦ではSPY-7レーダーの搭載へと進化を続けており、21世紀においても海上打撃力と防空力の中枢を担います。
■FREMM-DAアルザス
 フランス海軍アキテーヌ級フリゲイト初の防空型が竣工しました。未来型を印象付けるステルス設計が印象的な新しいフリゲイトです。

 フランス海軍は11月22日、多機能防空フリゲイトFREMM-DAアルザスを受領しました。FREMM-DAアルザスはアキテーヌ級フリゲイトの7番艦です。もともとはFREMM多目的フリゲイトとしてフランスとイタリアが共同開発した新世代の水上戦闘艦で、2005年の計画当初はフランス海軍が17隻を、イタリアは10隻を建造する計画がありました。

 FREMM多目的フリゲイトのなかで、フランス海軍は2015年にアキテーヌ級フリゲイトアキテーヌを竣工させていますが、6番艦までは対潜フリゲイトとして設計されていまして、今回竣工したアルザスは防空フリゲイト、防空型は2022年竣工を目指す最終艦ロレーヌの建造も薦められています。共に満載排水量は6100tでありステルス性を重視した設計です。

 アキテーヌ級フリゲイトはフランス海軍向けに8隻が建造されていますが、当初計画の10隻は実現せず、フランス海軍はエジプトへタヒヤミスル、モロッコにムハンマド6世を輸出します。また、イタリア海軍仕様はカルロベルガミーニ級フリゲイトを汎用型と対潜型で8隻建造し、アメリカ海軍は改良型をフォレスタル級フリゲイトとして採用しました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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