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海上自衛隊,北朝鮮臨検支援!核開発の国連制裁履行へ日本海・東シナ海・黄海で監視追跡新任務

2018-01-13 20:09:09 | 国際・政治
■自衛隊,北朝鮮禁制品移転阻止
 海上自衛隊がアメリカ海軍をはじめ有志各国と協同で、北朝鮮行き船舶への禁輸品輸出阻止海上臨検支援を開始した、との報道がありました。

 政府は国連安全保障理事会による北朝鮮核実験及び長距離弾道ミサイル実験を受けての追加制裁決議を確実に履行するべく、新たに日本海や東シナ海及び朝鮮半島西側の黄海一部を対象に警戒監視を開始する命令を発しました。海上での北朝鮮船舶へ石油関連物資等禁輸品提供の監視が狙いです。この新任務は大量破壊兵器拡散防止イニシアチヴPSI参加各国と協同し行われる。

 国連安保理決議第2397号は、長距離弾道ミサイル実験を受け、実施された北朝鮮への追加制裁決議であり、当初はアメリカが北朝鮮への原油完全禁輸を求めましたが、中国ロシアの反対姿勢と拒否権行使示唆により妥協しました。しかし、石油関連資材輸出については広範に盛り込まれており、この制裁を確実に履行したならば、大きな効果が見込めるもの。

 北朝鮮への海上監視任務強化を行う背景には、公海上において北朝鮮船舶へ第三国船舶からの禁輸対象の石油関連物資移転が監視により判明しており、制裁逃れの密輸が極めて広範に行われている疑いがある為です。原油完全禁輸には至っていませんが、現在の制裁も確実に実施されたらば経済制裁効果は高い、しかし完全に履行されないという現状があり、抜け穴閉塞が狙い。

 監視任務は、海上自衛隊護衛艦や哨戒機による情報収集が主体となります。護衛艦からの臨検は今回の政府命令では含まれず、写真撮影や映像撮影により禁輸品輸出を監視し追跡、実際の臨検任務はアメリカ海軍が実施するとのこと。この任務は過去のソマリア沖海賊対処任務や同意多発テロアラビア海海上阻止行動給油支援と並ぶ海上自衛隊の実任務となる。

 PSI大量破壊兵器拡散防止措置,として我が国は、2001年の9.11同時多発テロ以降、核関連物質や長距離弾道ミサイル等の大量破壊兵器と大量破壊兵器運搬手段の世界規模の拡散を阻止する国際協調へ参画しています。これは当初、核の闇市場を通じテロリストによる核爆弾テロを阻止する狙いでしたが、現在は北朝鮮による核拡散の危機が顕在化しており、この枠組みを応用するかたちです。

 しかし、海上自衛隊実任務は、ソマリア沖海賊対処任務、日本海北朝鮮弾道ミサイル警戒任務、南西諸島中国艦艇警戒監視任務、三方面作戦を実施しています。海上自衛隊は世界でも多数の大型水上戦闘艦を保有する勢力を有していますが、実任務増大に艦艇増強が追いつかず、日本海や東シナ海及び朝鮮半島西側の黄海一部での警戒監視は大きな負担と云わざるを得ません。

 艦がたりない、護衛艦は、いずも型ヘリコプター搭載護衛艦2隻、ひゅうが型ヘリコプター搭載護衛艦2隻、あたご型ミサイル護衛艦2隻、こんごう型ミサイル護衛艦4隻、はたかぜ型ミサイル護衛艦2隻、あきづき型護衛艦4隻、たかなみ型護衛艦5隻、むらさめ型護衛艦9隻、あさぎり型護衛艦8隻、はつゆき型護衛艦1隻、あぶくま型護衛艦6隻のみ。

 イージス艦だけでも多忙を極める。イージス艦、海上自衛隊が6隻保有し、8200t型護衛艦として新イージス艦の建造が進められていますが、北朝鮮のグアム方面へのミサイル同時発射恫喝と繰り返される長距離弾道ミサイル実験を受け、日本海海上でのミサイル警戒任務を継続中です。また、昨日一昨日の中国潜水艦沖縄尖閣諸島接続水域侵入等行動への警戒監視も継続しなければなりません。

 経済制裁への北朝鮮反発も激化する事が考えられます。北朝鮮は経済制裁を克服するとの声明を繰り返していますが、密輸により制裁逃れを行っている実情がある。また、国連による制裁決議を戦争行為として激しく反発し、世界で唯一核拡散防止秩序を破壊し核武装する権利があると主張する北朝鮮が、経済制裁に軍事行動で反応し、我が国への挑発や限定攻撃を行う可能性もあるでしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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