平地治美の漢方ブログ 

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第三回伝統鍼灸臨床セミナー:漢方処方の読み方&書き下し文

2018年03月05日 | 学会 勉強会 お知らせ
昨日の第三回伝統鍼灸臨床セミナーは、90名近い参加者で大盛況でした。
参加いただいた皆様、お疲れ様でした。

抄録に載せた処方の読み方と書き下し文を以下にテキストの順番に記載します。


芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)
小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう) 
乾姜人参半夏丸(かんきょうにんじんはんげがん) 
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
五積散(ごしゃくさん(酢服:酢で服用)
マクリ(甘連大黄紅花湯:かんれんだいおうこうかとう)
托裏消毒飲(たくりしょうどくいん)
千金内托散(せんきんないたくさん)
紫雲膏(しうんこう)
蒲公英湯(ほこうえいとう)
牛蒡子(ごぼうし)
芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)
桃核承気湯(とうかくじょうきとう)



(婦人妊娠病脈證并治第二十 より)
師 曰 : 婦 人 得 平 脈 , 陰 脈 小 弱 , 其 人 渴 , 不 能 食 ,無 寒 熱 , 名 妊 娠 , 桂 枝 湯 主 之 。 方 見 下 利 中 。 於 法 六 十日 當 有 此 證 ; 設 有 醫 治 逆 者 , 卻 一 月 加 吐 下 者 , 則 絕 之。

師曰く: 婦人平脈を得て、陰脈小し弱く、其の人渴し、食す能わず、寒熱無きは妊娠と名づく、桂枝湯之を主る。方は下利中に見ゆ 。法に於いては六十日、当に此の證有るべし。もし醫 逆を治す有りて却って一月吐下を加うる者は , 則ち之を絶す。

妊娠可能な年齢の女性の脈が平常通りであるが尺脈が少し弱く、発熱や悪寒は無く、食欲不振や口渇がある場合は妊娠である。桂枝湯で主治する。悪阻は妊娠六十日で現れるが、気付かずに誤治をすると嘔吐や下痢がひどくなるので、間違った医薬を絶つべきである。




師 曰 : 婦 人 有 漏 下 者 , 有 半 產 後 因 續 下 血 都 不 絕 者, 有 妊 娠 下 血 者 , 假 令 妊 娠 腹 中 痛 , 為 胞 阻 , 膠 艾 湯主 之 。
芎 帰 膠 艾 湯 方
芎藭 阿膠 甘草各二兩 艾葉 当帰各三兩 芍藥四 兩 乾地黃


師曰はく: 婦人漏下する者あり、半產の後因りて続きて下血し都べて絕えざる 者有り,妊娠して下血する者有り,もし妊娠して腹中痛むは 、胞阻為り,膠艾 湯之を主る

漏下(水漏れのように出血が止まらない)のは流産のあと出血が止まらないもの、妊娠中に出血が止まらないものがある。妊娠中に出血が止まらず腹痛を伴うものは胞阻という病である。芎帰膠艾湯が主る。




婦人懷妊,腹中㽲痛,当帰芍薬散主之。
当帰芍薬散方:
当帰三兩 芍藥一斤(一作六兩) 茯苓四兩 白朮四 兩 澤瀉半斤 芎藭半斤(作三兩)
上六味,杵為散,取方寸匕,酒和,日三服。


婦人懷妊して,腹中㽲痛するは,当帰芍薬散これを主る。
当帰芍薬散の方:
当帰三兩 芍藥一斤(一には六兩に作る) 茯苓四兩 白朮四兩 澤瀉半斤 芎藭半斤(一には三兩に作る)
上六味を,杵きて散と為し、方寸匕を取り,酒に和し,日に三服す。

婦人が妊娠して腹が絞るように痛む場合は、当帰芍薬散が主治する。



妊娠嘔吐不止,乾薑人參半夏丸主之。 乾薑人參半夏丸方:
乾薑 人參各一兩 半夏二兩


妊娠して嘔吐止まざるは,乾薑人參半夏丸之を主る。
乾薑人參半夏丸方: 乾薑 人參各一兩 半夏二兩
上の三味、之を末とし、生姜汁以って糊とし梧子大のごとき丸と為し、十丸を
飲服す、日に二三す。

(痰飮欬嗽病脉證并治第十二より)
卒嘔吐.心下痞.膈間有水.眩悸者.半夏加茯苓湯主之.
小半夏加茯苓湯方.
半夏一升.生薑半斤.茯苓三兩.一法四兩.
右三味.以水七升.煮取一升五合.分温再服.


卒に嘔吐し.心下痞し.膈間に水有りて.眩悸する者は.半夏加茯苓湯之を主る.
小半夏加茯苓湯方.
半夏一升.生薑半斤.茯苓三兩.一法四兩.
右三味.水七升を以って煮て一升五合を取り.分かち温め再服す

突然嘔吐し心下痞があり、胃内停水があり眩暈や動悸がするのは.半夏加茯苓湯が主治する。



(婦人產後病脈證治第二十一 より)
問 曰 : 新 產 婦 人 有 三 病 , 一 者 病 痙 , 二 者 病 鬱 冒 ,三 者 大 便 難 , 何 謂 也 。 師 曰 : 新 產 血 虛 , 多 汗 出 ,喜 中風 , 故 令 病 痙 ; 亡 血 復 汗 , 寒 多 , 故 令 鬱 冒 ; 亡 津 液 ,胃 燥 , 故 大 便 難。

問うて曰はく : 新產の婦人に三病有り , 一は痙を病む, 二は鬱 冒を病む ,三は大 便 難、
何の謂ぞや 。

師曰く : 新產は血虛し、多く汗出で ,しばしば風に中るが故に、痙を病ましむ。
亡 血して復た汗し、寒 多きが故に鬱冒せしむ。 津液を亡し、胃燥くが故に大便難し。
コメント
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