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ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『ランボー/怒りの脱出』1985

2024-09-15 20:55:14 | 外国映画

1980年代、ハリソン・フォード氏と並んで飛ぶ鳥を落とす勢いだったハリウッドスターが、『ロッキー』(’76) でアメリカンドリームそのものを体現したシルヴェスター・スタローン氏。

そう言えばフォード氏がブレイクを果たした『スター・ウォーズ』 第1作 (新たなる希望) が公開されたのは『ロッキー』第1作の翌年だし、『ランボー』第1作が公開された’82年は『レイダース/失われたアーク』(インディアナ・ジョーンズ第1作) 公開の翌年。

ほぼ同時期に2大スターがそれぞれハン・ソロとインディ、ロッキーとランボーという2大ヒーロー役を射止め、必然的にシリーズ第2弾がほぼ同時期に公開されることにもなりました。

『ランボー/怒りの脱出』が公開されたのは『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』そして『ターミネーター』も公開された1984年の翌年であり、同じ年に『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『グーニーズ』、更に翌年には『エイリアン2』『ハスラー2』『トップガン』等も公開され、新しいスターが続々と生まれてハリウッド映画界は絶好調!

中でもスタローン氏にとって最大のライバルとなったのは言うまでもなくアーノルド・シュワルツェネッガー氏だけど、私ならではのアンテナによると「本当はハリソン・フォードが演ってるような役が欲しいんだ」ってな発言もスタローン氏は残してます。

そのインタビュー記事が世に出たのは’90年代半ばだから、おそらく『逃亡者』(’93) の外科医=リチャード・キンブルや『今そこにある危機』(’94) のCIAアナリスト=ジャック・ライアンあたり(つまり知的なヒーロー像)を指してたと思うんだけど、さすがにそれは無理。逆にフォード氏がロッキーやランボーを演じたくても無理なのと同じことで。

ついでの余談ですが、このブログで私が「ハリソン君」を名乗ってるのは、『逃亡者』が大ヒットした人気絶頂期のフォード氏が携帯電話“ツーカーホン関西”のCМで日本のビジネスマンに扮し、上司から「ハリソン君」呼ばわりされて地下鉄“御堂筋線”の淀屋橋駅で「ハイ、ワカリマシタ。」とか言いながら何度もお辞儀する姿が話題になったから。

シュワルツェネッガー氏を「シュワちゃん」呼ばわりした栄養ドリンクのCМも確かその頃で、我らがニッポンも絶頂期でほんと調子に乗ってました。(本国じゃ例えジョークでも有り得ないそうです)



さて、『ターミネーター』で名を上げたのはシュワルツェネッガー氏だけじゃなく、のちに『タイタニック』や『アバター』で天下を取るジェームズ・キャメロン監督もそう。その氏が本作『ランボー/怒りの脱出』の脚本をスタローン氏と共同執筆された事実もアクション映画ファンの間じゃ有名な話。

いや、正確にはキャメロン氏が書いた脚本にスタローン氏が後から手を入れる形だったようで、キャメロン氏には「自分の作品」っていう意識は無いみたいだけど、今あらためて観ると随所に“キャメロン色”みたいなものが感じられます。

お陰で監督のジョージ・P・コスマトス氏はすっかり影が薄くなっちゃいましたw

前置きが長くなりましたが、ストーリーはサクッと行きます。なにせ派手さが売りの’80年代ドンパチ映画を代表する作品です。

ただし、オリジナルである第1作が「ベトナム戦争が終わって帰郷した途端、自国民たちから酷い差別と虐待を受ける“帰還兵の悲劇”」だったことを忘れちゃいけません。

つまり主人公=ジョン・ランボーを「殺人マシーン」たらしめたのはアメリカという国そのものであり、大量殺戮は因果応報とも言えるんだぞ?っていうテーマが根っこにある。

それを象徴する存在が、かつてグリーンベレー(特殊工作員)だったランボーの元上官である、サミュエル・トラウトマン大佐(リチャード・クレンナ)。

ランボーが信頼を置く唯一の人物として善人扱いされてるけど、ランボーの殺人マシーンぶりを「私の最高傑作だ」なんてドヤ顔で自慢する姿には(いま観ると)強烈な嫌悪感を覚えます。

この『怒りの脱出』が創り手の目論見どおり大ヒットしながら「ゴールデン・ラズベリー(最低映画賞)」にも輝いた事実に、アメリカ国民の良心と分断ぶりが伺えますよね。

単純に「燃える要素満載のアクション映画」として楽しんだ’85年当時の日本人(少なくとも私)は完全に平和ボケしてました。その反省も踏まえてのレビューです。

トラウトマン大佐により刑務所から連れ出され、タイのアメリカ軍キャンプにやってきたランボーは、ベトナムにある捕虜収容所への潜入と、未だ囚われたままらしいアメリカ兵捕虜たちの「証拠写真を撮る」という奇妙なミッションを依頼されます。

それを指揮するのがCIA所属のマードック司令官(チャールズ・ネイビア)で、今回一番の悪役。

露骨に不信感を示し、ろくに返事もしないランボーを見て「大丈夫なのか、彼は?」と訝しむマードックに、今回もトラウトマン大佐がドヤ顔で言います。

「ジャングルで彼と戦って勝てる男はいません。敵に勝つことしか頭に無い、純粋な戦闘マシーンです」

いや、あんたに比べりゃよっぽどマトモな“人間”だよ!って言いたくなるし、そんなガイキチに飼い慣らされたランボーもアホに思えて来ちゃう。1作目はそれを悲劇として描いたから評価もされたけど、今回みたいに無敵のヒーロー化しちゃうと最低映画賞まっしぐら。今となってはよく解ります。

そして単身ベトナムのジャングルに降り立ったランボーは、案内役として派遣された現地諜報員のコー・パオ(ジュリア・ニクソン)と合流。

女性スパイが映画に登場し、主人公の相手役を務めるのは『007』シリーズでもよく見られたけど、それを自らマシンガンを撃ちまくるスーパーウーマンに設定しちゃうあたりがキャメロン色!

たぶんスタローン氏が「オレより強くしてどうする!?」とか言って控えめなキャラ(なにせ理想はエイドリアン)に書き直したせいで、サラ・コナーほど目立った活躍はしないけど、それでも本作における彼女の存在は大きい。演じたジュリア・ニクソンさんも良かった!

お互い天涯孤独の身どうし、徐々に心を通わせていきます。


「いつかはアメリカに渡って、静かに暮らしたい。あなたは?」


「オレは……ただの消耗品(エクスペンダブル)さ」

エクスペンダブル! 筋肉アクションの長い低迷期を経たあと、2000年代に『ロッキー』『ランボー』両シリーズの復活を成功させたスタローン氏が、かつては犬猿の仲だったシュワちゃんはじめ’80年代アクションスターたちを呼び集め、『エクスペンダブルズ』シリーズまで成功させる未来を知ってる今聴くと、実に味わい深いセリフです。

さて、問題の収容所まで辿り着いた2人は、想像を超えた捕虜たちの惨状ぶりを見て絶句します。

「証拠写真を撮る」という意味不明なミッションを無視し、とりあえず外で磔にされた1人の捕虜を救い出すランボー。

ュリア・ニクソンさんのおしり。

「ランボー、あなたは消耗品なんかじゃない」

ここでお役御免となるコーと別れたランボーは、ベトナム軍の容赦ない追撃から必死に逃れ……

味方と合流する筈だったのに、彼が捕虜を連れてると聞いたマードック司令官が急に顔色を変え、こう言います。


「直ちに作戦を中止して基地に戻れ!」

実はまだベトナムに捕虜兵がいるのを隠したかったアメリカ軍(その理由を書きだすと長くなるんで省きます)は、生き証人を連れて来られると非常にマズかった。

救出ヘリに同乗したトラウトマン大佐の抵抗も虚しく(ホンマ講釈垂れるばっかで何の役にも立たんな!💨)、ランボーはまたもや母国に裏切られるのでした。

炎天下でヒルだらけの沼に漬けられ、地獄の拷問を受けるランボーだけど、内心はやっと筋肉を見せびらかせて喜んでます。

さらにソ連軍も駆けつけ、拷問は夜通し続きます。

もっと拷問を続けてオレの筋肉を見てくれっ!!

そんなランボーの願いを無視し、1人の慰安婦が収容所にやって来ます。その正体は……


すでに任務を終えた筈のコー・パオ!


ジュリア・ニクソンさんのおっぱい!

コーの活躍により脱出成功! そうなったらもう、やることは1つです。


「ランボー、私も連れてって」

こないだ刑務所から出て来たばかりで、乱棒がズボンを突き破らんとしてるランボーだけど、ソ連軍&ベトナム軍が血眼で探し回ってる状況下じゃ我慢するしかない。

けど、彼もやっぱり人間だった。一瞬のスキを生んでしまい、潜んでたベトナム兵にコーが撃たれてしまう!


まだチョメチョメしてないのに!


チョメチョメしてないのに!!


チョメチョメしてないのに!!!

大軍VSひとりの戦争開始! ランボーがナイフや弓矢を武器に使うのは、音で自分の居場所を敵に察知させないため。言わば忍術です。

泥まで塗っちゃう忍者っぷりには笑いそうになるけど、ステルス戦法として実在しそうだし、何よりビジュアルがキャッチーで凄く印象に残ります。

さあ、もう後は解説不要でしょう。殺戮につぐ殺戮!

大量の火薬を仕込んだオレの乱棒を喰らえっ!!


ドッカーンッ!!


バリバリバリバリバリバリバリッ!!


「ふんぬあぁぁぁーっ!!」

バゴーンッ!!


ドッカーンッ!!


「シュラファイヤーッ!!」


ドッ


カーンッ!!


捕虜だけノー・ダメージ!


ソ連軍の新型ヘリに猛追撃されるも……


ソ連製バズーカ砲でズガーン!


そしてドッカーンッ!!

すぐさまタイの作戦本部に戻ったランボーは、マードック司令官ご自慢のハイテク機材をマシンガンで一挙掃射!


ズガガガガガガのズガガガガガッ!!


「エイドリアァァーンッ!!」


「捕虜はまだ大勢いる。救いだせ。さもないと貴様を殺す!」

まだ無邪気だった当時の私は燃えたけど、軍の操り人形に過ぎないマードックを脅したところでどうにもならんし、私憤でいったい何百人殺したねん?とも思う。最低映画賞も無理からぬことです。


「ランボー、よくやった。軍に戻らないか?」

トラウトマン、お前が真っ先にしねっ!

「確かにあれは間違った戦争だったが、国を憎むのはいかん」

「憎む? 命を捧げます」

「では、何が望みだ」


「彼らと同じことです! はるばる遠くからこの土地へやって来て、戦いに身を投じ、地獄の苦しみに耐えながら望んだこと! 彼らが国を愛するように、国も彼らを愛して欲しい……俺の想いも同じです!」

彼らとは無論、10年も放置されて来た捕虜たちのこと。結局、悪いのはアメリカでもソ連でもなく戦争そのものなんだけど、敵国の兵士だけあんなに殺しちゃメッセージがブレてしまう。受け入れましょう、最低映画賞。


「おい、ランボー! いい加減、シャツを着たらどうなんだっ!?

だけどこの映画、決して嫌いにはなれません。いつも書くようにエンターテインメント(ストレス発散)としての暴力は犯罪抑止に繋がると私は思ってます。

アメリカ軍が一番の悪役として描かれてるし、これを観て軍人になりたがるヤツはおらんでしょう。 ザッツ’80年代! あくまでスタローン氏の筋肉と“マシンガン片手撃ち”を楽しむ為の映画です。

コメント (4)
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『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』1984

2024-09-07 06:20:07 | 外国映画

今はとにかく毎日ヘロヘロで、ブログ執筆への意欲はあってもエネルギーが湧いてこない。

だから前回の『ダーティハリー4』に続いて「1980年代に私を夢中にさせてくれたアクションムービー」のレビューをシリーズ化し、元気を貰うしかありません。(ただし膨大な時間と手間がかかるので、日記などは途中に挟んでいくつもり)

実際、ハリウッド映画が最も元気で、我らがニッポンも経済的な頂点に向かってた時期で、何より私自身が10代後半〜20代前半で青春ド真ん中だったのが’80年代。

当時に戻りたいとは思わないし、文化的には’70年代の方が好きだけど、弱ってるときに観たくなるのはヒーローが悪党どもを片っ端からぶっ殺す、カラッとした’80年代のアクションムービー。


1984年に公開された『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』は、もはや説明不要でしょう。『アメリカン・グラフィティ』『スター・ウォーズ』のジョージ・ルーカス氏が製作総指揮者として、『ジョーズ』『未知との遭遇』のスティーブン・スピルバーグ氏が監督としてタッグを組んだウルトラ・ヒットシリーズの第2弾。

そしてこれは、’80年代前半で私を最も夢中にさせ、いよいよ本格的にハリソン・フォード信者たらしめた記念碑的な作品でもあります。

私だけじゃなく、日本でこのシリーズを本格的にメジャー化させたのも本作だと思います。第1弾『レイダース/失われたアーク』(’81) は日本公開時、映画マニアには熱狂的に迎えられたものの、それ以外のマジョリティにはさほど認知されず大ヒットとまではいかなかった。

それがレンタルビデオやセルビデオ(たしか千円台で発売された業界初のブロックバスターVHSが『レイダース』でした)の普及とテレビ放映でじわじわとファンを増やし、満を持しての続編公開で大ヒット!っていうパターンが定着するのも’80年代。それまでの「二匹目のドジョウ狙い」と違って続編の質も向上しましたよね。

『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』を皮切りに『スーパーマン II/冒険篇』『マッドマックス2』『エイリアン2』『ハスラー2』『リーサル・ウェポン2』『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』等々、1作目に引けを取らないどころか凌駕しちゃう出来映えの『2』が’80年代は目白押しで、シリーズ物に対する我々の偏見をみごと払拭してくれました。



1935年、上海の高級クラブ「オビ・ワン」におけるディナーショーで華やかに幕を開けた本作は、全編アジアが舞台になってる(つまりナチスやソ連が一切絡まない)点といい、良くも悪くも演出が過剰な点といい、シリーズ中ではちょっと異色で「番外編」っぽい存在。

大ヒットしながら批評家たちには叩かれまくった点でも異色なんですよね。めっぽう面白くて私は大好きな作品だし、今となっては再評価もされてるけど、まあ叩かれても仕方ない要素は確かにある。該当するシーンの画像は載せづらいですからw



それはともかく、タキシード姿で登場する我らがヒーロー、インディアナ・ジョーンズ=ハリソン・フォードがすこぶるカッコいい!

もちろんハン・ソロに扮した『スター・ウォーズ』(’77) の時からずっとカッコいいけど、ここでまた一皮剥けたというか、スターとしてのオーラがいよいよ爆発したように私は感じました。



で、さっそく満洲系ギャング団相手に秘宝「ヌルハチ」を巡る争奪戦が始まり、スピルバーグ監督が残酷大将ぶりを遺憾なく発揮!



さらにアクションに次ぐアクション!



ワケあって歌姫のウィリー・スコット(ケイト・キャプショー)を伴ってクラブを脱出したインディを、相棒のショートラウンド(キー・ホイ・クァン)が出迎えます。



のちにケイト・キャプショーはスピルバーグ夫人となり、キー・ホイ・クァンは『グーニーズ』(’85) 出演を経ていったん裏方に回るも、アカデミー賞で主要7部門に輝く『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(’22) で俳優復帰し、プレミア上映イベントでハリソンと感動の再会を果たすことになります。



閑話休題、アクションは尚も続く。夜の繁華街を舞台にカーチェイス&銃撃戦を繰り広げ……



なんとか飛行場に辿り着いたインディらは、パイロットがギャングに買収されてるとも知らず「ドヤ顔」で飛行機に乗り込んじゃう。



そしてお馴染みのコスチュームに着替え、ようやく一息ついたのも束の間。



飛行機が国境を越え、ヒマラヤ上空に入ったあたりでパイロットたちが脱出!



もちろん燃料もパラシュートも無く、墜落必至の状況下でインディが選んだのは、ゴムボートに乗ってスカイダイビングという一か八かの賭け。




なんとか着地したものの雪山を猛スピードで滑降したゴムボートは、さらに断崖から川へと落下し、急流下りを経てインドの山村へと辿り着く。



上映開始から約20分間、まさにノンストップ!

『007』シリーズのスタイルを真似たとはいえ、これほどのスピード&スケールで描かれたアクションシークエンスは前代未聞。“ジェットコースター・ムービー”という新しいジャンルの誕生を映画館で目撃し、私はメチャクチャ興奮しました。

と同時に、冒頭からラストまで絶え間なく手に汗握り続けた結果、クタクタに疲れたのも事実で、そこんとこも批評家のエサになったかも知れません。



さて、辿り着いた村の人々に“救世主”と思い込まれたインディは、邪教集団に奪われた神秘の石「サンカラ・ストーン」と、拉致されてしまった大勢の子供たちを奪還して欲しいと懇願されます。

守護神と未来への希望を同時に失い、失意のどん底にいる村人たちを見捨てられないインディは、「やめた方がいい」というウィリーとショートラウンドの忠告をスルーし、邪教集団の巣窟と化したパンコット宮殿へと向かうのでした。



表向きは平和で煌びやかな宮殿で、インディたちはマハラジャの歓待を受けるんだけど、ここで最も批判の的となった“悪趣味”シーンが登場!



おもてなしのご馳走がヘビや昆虫、挙げ句にデザートが猿の脳みそという悪ノリぶりで、当時は笑ったけど今観ると「東洋人差別」と受け取れなくもない。



それでゲンナリしちゃったウィリーの部屋に、インディが果物を差し入れに来てチョメチョメムードになるも、互いのプライドが邪魔した結果ノー・チョメチョメ。

『スター・ウォーズ』のハン・ソロ&レイア姫を彷彿させる、ちょっと子供じみたロマンスが似合うのも俳優ハリソン・フォードの強みで、イーストウッドやスタローンだとたぶん成立しない。インディアナ・ジョーンズ役がハリソン以外には考えられない、最大のポイントもここにある気がします。



さて、ひと息ついたのも本当に束の間。自分の部屋に戻ったインディはさっそく刺客に襲われ、この宮殿に何かが隠されてることを確信。

そいつをぶっ殺し、慌ててウィリーの部屋に駆けつけたら……


「Oh~, Indy…♡」

やっぱり私が欲しいのね♡と呑気かつヤル気まんまんなウィリーに、日本の映画館じゃ珍しく爆笑が起きたのをはっきり憶えてます。

1作目で大刀を振り回す敵と対峙したインディが、面倒臭くなって即射殺しちゃうシーンとか、ヌンチャクかと思いきや実は組み立て式ハンガーだった!ってなシーンも場内バカウケ(死語?)でした。

そういう“ベタな笑い”も本シリーズの特長で、監督が交代しちゃった第5作『運命のダイヤル』にはそれが無くて寂しかったです。ルーカスが身を引いた『スター・ウォーズ』の新シリーズも然りで、スピルバーグ&ルーカス最大の共通点が笑いのセンスなんですよね、きっと。



さあ、ここから先は休憩なし。ラストまで本当にノンストップです。



1作目の“蛇の大群”に続いて今回登場したのが“虫の大群”。もちろんCGが無い時代ゆえ全部ホンモノ。昆虫嫌いの人には耐えられない映像で、残酷大将は批評家たちに喧嘩売ってますよねw

3作目はネズミ、4作目はCGの軍隊アリ、そして5作目は……何だったか忘れちゃう程度のもんで、グロ描写のインパクトでも『魔宮の伝説』はずば抜けてます。



さらにお約束のデストラップ! 串刺し寸前で何とか食い止めるも、間髪入れずにウィリーが再起動させちゃう畳みかけで場内また爆笑!

単にベタなだけじゃなく、緊張と緩和の落差で笑わせるのがスピルバーグ監督は抜群に上手い。この人に演出を委ねたルーカス御大も、あえてベタな笑いを控えた5作目のマンゴールド監督も、直感的に「真似できない」と悟ったんでしょう。



トラップ満載の隠し通路をくぐり抜け、地下の採掘場に辿り着いたインディ、ウィリー、ショートラウンドは、そこで邪神“カーリー”に生贄を捧げるクレイジーな儀式を目撃しちゃう。

拉致された村の子供たちは、全部で5個あるサンカラストーンの残り2個を発掘する過酷な労働を強いられ、逆らえば生贄としてマグマに沈められていた!

この辺りのダークさ、残酷さも批判の的にされたらしいけど、これは絶対に必要でしょう! さっき書いたとおり“緊張”があればこそ笑いもアクションも活きてくるワケで。

儀式が終わったあと、村から奪われた3つのサンカラストーンをこっそり回収するインディ。だけど、洞窟の奥から聞こえてきた子供たちの悲鳴で足が止まっちゃう。



そして捕まったインディは、邪神カーリーの血を呑まされ、洗脳されて敵の手先となり、なんと乳首を見せびらかしながらウィリーを生贄に捧げようとする!



最近のインタビューでハリソンは、俳優の仕事とは「カメラの前でアホを晒すことさ」と自虐的な発言をしてたけど、それはこの場面を指してるのかも知れませんw



ハリソン・フォード史上、最もアホな顔してますw この展開は「ショッカー」の「世界征服」を彷彿させて、私もさすがに気恥ずかしかった。



けれど相棒ショートラウンドの大活躍により、なんとか正気を取り戻したインディは、バーベキュー寸前のウィリーも取り戻します。

もう許さん!💢



ハリー・キャラハンの次に逆光がよく似合う、我らがヒーロー=インディアナ・ジョーンズ!



奴隷にされてた子供たちを解放し、シリーズ中で最も激しい立ち回りを見せるインディ! (ハリソン・フォード史上においても一番でしょう)

そしていよいよ、『魔宮の伝説』と聞けば誰もが真っ先に思い出す、あのチェイスシーンに突入!



パソコンやスマホの小さい画面、それも静止画像じゃ100分の1も迫力が伝わらないけど、あらゆる乗り物がチェイスに使われた本シリーズの中でも一番小さくてコントロールが利かない「トロッコ」によるノンストップバトル!



まさに文字通りのジェットコースター! そりゃ観終わったあとクタクタになっちゃうワケです。それを全部アナログ特撮で創り上げた’80年代ルーカスフィルムの底力!



さらに水攻めから逃れてのクリフハンガー!(“崖からぶら下がる”の意)

CGで何でもリアルに表現できる現在の眼で見れば稚拙な合成かも知れないけど、こっちの方が断然いいと私は思う。この手作り感こそ真の“ムービー”ですよ!

同じスピルバーグ監督が『ジュラシック・パーク』(’93) で切り拓いたCGの時代も私はそれなりに楽しんで来たけれど、何でも映像に出来ることが当たり前となり、サプライズがすっかり消え失せた現在の映画に、私の興味もまた消え失せつつあります。

映画はやっぱり’80年代が最高!



さて、クライマックス。人食いワニの大群がウヨウヨ待ち構える通称“水曜スペシャル川”を見下ろす吊り橋で、挟み打ちにされたインディは仕方なく、敵から奪った大刀でロープを真っ二つに分断!



再びクリフハンガー状態となり、ラスボスの司祭=モラ・ラム(アムリーシュ・プリー)とサンカラストーンを奪い合うインディ。

と、その時!



村人たちを救いにきたインディに手を貸すかのようにサンカラストーンが炎を発し、それを掴もうとしたモラ・ラムは「あーちっち、あっち!!」と叫びながら数百メートルの断崖を落下、自らワニの生贄となるのでした。



「やっぱり戻って来よったわい」と、村の長老がインディたちを出迎えます。もちろん、戻って来たのは神秘の石だけじゃなく、村の希望そのものである子供たちも!



ホンモノの親子たちに演じさせたであろう再会シーンには、その家族の背景がまったく描かれてないにも関わらずグッと来ます。こればっかりは説明不要なんですね。



いや〜、面白い。何度観ても面白い! 実際、数え切れないほどの回数観てるけど全然飽きません。

やっぱり’80年代アクション最高! ハリソンもスピルバーグもルーカスも、音楽のジョン・ウィリアムズもみんな最高! お陰でまた元気が出て来ました。さて、次はどの作品をレビューしましょうか?

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