ハリソン君の素晴らしいブログZ

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『太陽にほえろ!』#229

2019-07-16 00:05:07 | 刑事ドラマ'70年代








 
☆第229話『結婚』(1976.12.3.OA/脚本=小川英&野瀬州/監督=澤田幸弘)

プロカメラマンの山部という男が自宅マンションで転落死。おしどり夫婦で有名だったファッションデザイナーの妻=美智子(高林由紀子)に事情聴取したボン(宮内 淳)は、夫を愛する彼女の一途さに同情します。

折しも結婚を間近に控えたボンの姉=由紀恵(沢田雅美)が大阪から上京し、いわゆるマリッジブルーを打ち明けます。

そんな姉に、ボンは率直に「結婚、やめとけ」と切り出します。

「反対やったんや、僕は。あんなドテーっとしたコンニャクみたいな男、姉ちゃんには向いてへんよ」

ドテーっとしたコンニャクみたいな男って、一体どんな男やねん?って思われるでしょうが、演じるのが岸部シローさん(岸部一徳さんの弟)だと言えば納得して頂けるかと思いますw

「ドテーっとしたコンニャク? コンニャクとは何よ! そりゃちょっと頼りないとこはあるけど、コンニャクやなんてあんまりやわ!」

「どっちやねん。ほんまに政男さんと結婚したいんか、したないんか、どっちやねん?」

「それが分からへんねん。せやから良ちゃんに相談しよ思って」

「あのなぁ、姉ちゃんに分からんもんが僕に分かるワケないやろ。アホか!」

沢田雅美さんは神奈川県出身、宮内淳さんは愛媛県出身なのに、このお二人の関西弁には違和感が無く、喧嘩しても漫才チックなノリで、実に楽しいです。

ところで、カメラマン・山部の転落死は他殺の線が濃厚となり、その捜査で妻・美智子と何度も会う中、ボンは姉のマリッジブルーについて未亡人に愚痴をこぼします。

「迷うのは当然よ、好きなだけじゃ結婚生活って出来ないもの。好きな上に、理解し合えることが大切。理性の裏打ちの無い結婚なら、動物と同じですもの」

山部夫妻に結婚の理想像を見ていたボンは、そんな美智子の言葉を意外に感じます。幼なじみの相手と何となく結婚する事になった姉と違って、山部夫妻は情熱的な愛で結ばれた筈なのに……

そしてボンは、更にショックを受ける事になります。捜査の結果、山部をマンション上階から突き落として殺したのは、妻・美智子である事が判明したのです。

おしどり夫婦は、実は芝居だった。カメラマンとファッションデザイナーで職業上の利害関係が一致する二人は、お互いのステップアップの為に「契約結婚」し、目的を果たしたら離婚する約束を交わしてた。

ところが、10年間の仮面夫婦生活の中で、美智子は本当に山部を愛してしまった。なのに山部は離婚を迫り、美智子の気持ちを嘲笑った。それで口論となり、揉み合った末に弾みで……と、『相棒』はじめ昨今の謎解きドラマでも描かれそうな、愛のもつれ。

ボンは、姉の結婚について考え直します。例えドテーっとしたコンニャクみたいな男でも、婚約者=政男(岸部シロー)と一緒にいる時の由紀恵は実に楽しそうだし、幼馴染みだけあってお互いをよく理解してる。

迎えに来た政男と一緒に大阪へ帰ろうとする由紀恵に、駆けつけたボンが笑顔で声を掛けます。

「姉ちゃん、おめでとう! 幸せにな! 政男さん、姉ちゃんをよろしく!」

「なんやの、今さら」

そう言いながら涙ぐむ由紀恵と、その横でドテーっとした顔をする、コンニャクみたいな男。幸せそうです。

悲劇の未亡人=美智子を演じた高林由紀子さんは、当時31歳。『ザ・ガードマン』『キイハンター』等、いにしえのアクションドラマに数多く出演、『太陽にほえろ!』も第396話、第568話と合わせて3回ゲスト出演されてます。

ほか、特撮ヒーロー物『メガロマン』のローズマリー役や、米国ドラマ『チャーリーズエンジェル』の声優(ケイト・ジャクソンの吹替え)としても知られ、現在も活躍中の女優さんです。

そしてボンの姉=由紀恵を演じた沢田雅美さんは、当時27歳。『肝っ玉かあさん』『ありがとう』そして『渡る世間は鬼ばかり』等の人気ホームドラマでお馴染みの女優さんで、闘病生活を経て現在もご活躍中。

『太陽にほえろ!』は第665話『殉職刑事たちよ安らかに』でも、ボンの姉=由紀恵として再登場されてます。
 

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