2013年にカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した、アブデラティフ・ケシシュ監督によるフランス映画です。gonbeさんのレビューで興味を引かれました。
同性愛をモチーフにした青春映画かと思いきや、本格的な愛欲ドラマ(しかも3時間!)で驚きました。
私は前のブログで、思春期の同性愛について「卒業と共に消滅しちゃう儚さがいい」って書いた事がありますが、この映画のカップルは社会人になっても続いて行くんですよね!w
アデル(アデル・エグザルコプロス)は普通に男子とデートし、セックスセックスもするんだけど、何かが違うと感じてる。
そんな時に、髪をブルーに染めたレズビアンのエマ(レア・セドゥー)と街ですれ違う。お互い、思わず振り返るほどビビっと来ちゃう。
とにかく2人の女優が本当に魅力的で、一目で惹かれ合う描写に説得力があるんですよね。私が仮に女性でも、アデルやエマを見たらやっぱビビっと来て、身体の一部が Hot! Hot!! になっちゃうかも知れません。
で、アデルは自分にレズの素質がある事に気づき、湧き上がる欲望を抑え切れずにエマを探し、ゲイバーで再会する。
そのいきさつを観てると、こっちまでドキドキするんですよね。かつてアメリカの同性愛ドラマ『Lの世界』を観た時もそうだったけど、男女の恋愛と同じ過程を踏んでても、それが女性どうしってだけでドキドキしちゃう。
男女の恋愛なんか、もうつまんないです。所詮はオスとメス、種族保存の本能(あるいは打算)ですから。
その点、レズは違います。最近は緩くなったにせよ偏見とか背徳感があるし、それを乗り越えるだけの熱い衝動、動物の本能や打算とは違う何かがあるワケですから。
2人が明らかに惹かれ合いながら、簡単にくっつかないのがまた良いんですよね。初めてのキスに至るまでの過程が凄く丁寧に描かれてて、こちらのドキドキを持続させてくれます。
そしてアデルの実家における、声を潜めながらのセックスシーン。いやらしさよりも、心底から愛する相手と結ばれる高揚感と幸福感で、観てる我々まで胸が熱くなっちゃいます。そしてやっぱり身体の一部も Hot! Hot!! になります。
ところが、育った環境と受け継いだ血筋の違い(アデルは堅実な公務員ファミリー、エマは奔放な芸術家ファミリー)が価値観の違いを生み、すれ違いへと繋がって行く。
で、寂しさを紛らわせる為にアデルが男とセックスセックスしちゃった事が、決定的な破局を招いちゃう。
奔放な筈のエマが異常なほど怒り、頑としてアデルを許さなかったのは、浮気相手が男だったからかも知れません。生粋のレズであるエマに対して、アデルはバイセクシャルなんですよね。そこんとこの違いにエマは絶望したのかも?
それはともかく、儚いどころか、アデルはいつまで経ってもエマが忘れられず、胸にポッカリ空いた穴が埋められない。実はエマも同じだったようで、数年後にアデルから復縁を迫られた時にはかなり動揺しちゃう。
女性って切り替えが早い筈なのに、同性愛の場合はまた違うんでしょうか? あるいは、それ程までにアデルとエマは運命的な出逢いだったのか?
最終的にエマがアデルを振り切ったのは、やっぱ色んな意味で棲む世界が違う=必ずまた決裂しちゃう事が目に見えてるから……なのかも知れません。
これが男女の恋愛だったら、私は「好きにしなはれ」の一言で片づけちゃうし、そもそも3時間近くも付き合ってられないんだけど、レズは違いますね。真実の愛を感じます。(ホモは知りませんw)
ラストシーンでようやく、エマとは結ばれようがない現実をアデルは悟ったみたいだけど、胸に空いたままの穴をどうやって埋めて行くのか、答えを示さないまま映画は終わっちゃいます。
そこんとこがフランス映画ですよねw アメリカや日本の映画なら、良くも悪くも救いを入れずにいられないでしょう。
だけど本当に面白い映画って、筋じゃないんですよね。ハッピーエンドだろうがバッドエンドだろうが、観てる間どっぷり世界観に浸り、主人公の生き様に併走出来れば、それが面白い映画なんです。
3時間弱がちっとも長く感じなかった『アデル、ブルーは熱い色』は、間違いなく面白い映画です。
「こうあるべき」でも「こうなっちゃダメ」でもなく、「こういう感情ってあるよね」って、性別関係なく共感できる映画だったような気がします。
素晴らしい映画でした!
フランス映画は投げっぱなしのオチがないのが多いので苦手でしたがwこの映画は良いですね!
とにかく見ているこちらが本当にドキドキする!
禁断のものをものすごく間近でのぞき見てるような感覚ー
アデルの美しいけど未熟で幼い感がまたたまりませんでした!
衣類はなんとなくだらしないし、いつも口が半開き、キャラ設定も細部までちゃんとしていてとても共感できました!