☆第66話『生き返った白骨美人』
(1973.10.19.OA/脚本=田波靖男&四十物光男&小川 英/監督=山本迪夫)
約4年前に殺されたと思わしき白骨死体が発見され、科学警察研究所の川上技官(天地総子)が生前の顔の復元に取り掛かります。
そんな折り「自首マニア」として知られる初老のマンション管理人=田口(浜村 純)が、4年前に自分の娘(伊藤めぐみ)を殺したと言って、七曲署に自首して来ます。
何しろ自首するのが趣味のオジさんなもんで刑事たちは相手にしないんだけど、復元された顔は確かに田口の娘とソックリで……
先に結末を書きますと、殺された娘は癌を患い、あまりの苦しみで自ら死を望んでた。そんな娘を介護する田口は、彼女を死なせることを幾度となく考えた。
実は別の人間に金目当てで娘は殺されたんだけど、犯人に突き飛ばされて頭を打った田口は記憶を失い、娘に対する罪悪感だけが残った為に、自分が殺人犯だと思い込み、これまで自首を繰り返して来たワケです。
ラストシーンでボス(石原裕次郎)が、自分の父親も癌で亡くなったこと、そして苦しむ父親を死なせてやりたいと何度も考えたことを告白し、「あんたが殺人犯なら俺だって殺人犯だ」と、田口に優しく言って聞かせます。
尊厳死という重いテーマを扱いながら、すっとぼけた田口さんのキャラクター(浜村純さん、名演!)や、負けん気の強い川上技官のハツラツとした言動はむしろコメディータッチで、『太陽』らしい爽やかな後味が残るエピソードになってます。(復元された伊藤めぐみさんの生首が、いきなりカメラ目線で微笑むラストショットがトラウマになった視聴者もいるみたいだけどw)
催眠療法で田口の記憶を掘り起こす医師役に梅野泰靖さん、真犯人役に西沢利明さん、そして聞き込み先のホステス役に阿川泰子さんと、なんだかやけに豪華キャストな作品だったりもします。
後にジャズシンガーとして有名になる阿川泰子さんは、当時22歳。ジーパン=松田優作さんと文学座の同期生で、呑み仲間でもあったそうです。
後に阿川さんが古舘伊知郎さんと一緒に司会を務めるトーク番組『おしゃれ30-30』に優作さんがゲスト出演された際、本作における阿川さんの出演場面が紹介されてました。
そして、メインゲストの天地総子さんは当時32歳。歌手であり女優であり、『オバケのQ太郎』等の声優としても知られた方だけど、何よりNHK『連想ゲーム』における女性軍キャプテンの印象が強く残ってます。
このエピソードにおける川上技官役も非常にキャラが立ってて、セミレギュラーとして活躍されてもおかしくない存在感だけど、残念ながら1本だけの出演に終わりました。
今回は庶務係の久美(青木英美)も冒頭から大活躍で、ミステリー小説のマニアという一面が紹介されました。
「科警研」の仕事内容(正確には科捜研の仕事らしい)や、うそ発見器、催眠療法など、『太陽』じゃ滅多に登場しない要素も満載で、当時のTVドラマとしても異色作だったんじゃないでしょうか?
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