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☆第46話『命、燃えつきても』(最終回2時間スペシャル)
(1990.4.8.OA/脚本=石井信之/監督=吉田啓一郎)
2ヶ月前に唐突に末期癌であることが発覚した第8班の伊達(舘ひろし)が、ここに来て同僚の美奈子(田中美奈子)と唐突に恋に落ちます。
折しも2つの暴力団が絡むヘロイン密売に、図らずも関わってしまったセスナ機のパイロット・皆川(竹中直人)が口封じの為に命を狙われ、助けに行った伊達と美奈子も拉致されて、瀬戸内海の島に幽閉されちゃいます。
点滴なしで伊達が生きていられる時間は残り僅か。どっちにしろ彼の余命は限られてるんだけど、倉本(渡 哲也)・風間(神田正輝)・谷川(谷川 竜)は決死の覚悟で、無数の武装ヤクザたちが待ち構える島の要塞へと救出に向かうのでした。(結局、伊達は仲間を救う為に自ら盾になり、蜂の巣にされて殉職しちゃいます)
そんなクライマックスのシチュエーションは『西部警察』シリーズの焼き直しにも見えるし『特命刑事(大激闘/マッドポリス'80)』最終回にもよく似てます。
そういうスペシャル感は大歓迎なんだけど、伊達の癌設定といい美奈子との恋愛といい、如何にも最終回用に取って付けたような盛り上げ要素が、かえって興醒めに感じます。「熱い」と言うより「クサい」んですよね。
加えて、当時の田中美奈子さんや谷川竜さんの演技力がハッキリ言って学芸会レベルなもんで、そんな2人が伊達の余命を知って涙を流したり、すれ違いの恋に身悶えたりする、ただでさえクサいシーンが相乗効果でクサさ200倍になっちゃってるw
渡さんも舘さんも神田さんも決して演技力で売ってる人達じゃないですから、若手の拙さをカバーすることが出来ない。石原プロはやっぱ暴力振るってナンボ、射殺して爆破してナンボなんだから、下手な「泣かせ」芝居はやらない方が絶対いい。しかも2時間かけて見せるような話じゃないし。
BGMに使われる気取った英詞の歌がまた、メロドラマ的な内容とアンバランスでクサさ400倍。何から何までチグハグで、ずっと迷走し続けて来た『ゴリラ』らしい最終回と言えば最終回でした。
つくづく、視聴率を稼ぐことだけ考えてドラマを創るとこうなっちゃうっていう、典型的な失敗例ですよね。大ヒットした『あぶない刑事』の軽いノリを節操なくマネして、ウケなければコロッとシリアスに転向し、癌だの悲恋だのおっ始めちゃう。そこに創り手の強い志しやプライドは微塵も感じられません。無理やりテコ入れされても頑として作風を変えなかった『大激闘』とは実に対照的。
ドラマ創りのセンスが無く、商売のことだけで頭がいっぱいの番頭さん(小林専務)に権力を与え過ぎたのが、そもそもの敗因だったんだろうと思います。裕次郎さん亡き後の石原プロの没落ぶりも、全てはそこに尽きるでしょう。
そんなワケで、熱い要素が満載の筈なのに、ピクリとも心が揺さぶられない、珍しいパターンの最終回でした。
あんなにお金をかけてアクションドラマを創ることなんて、今となっては夢のまた夢ですから、つくづく勿体ない話です。