ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『デカワンコ新春SP』(東京篇)

2019-01-02 11:22:12 | 多部未華子




 
前回、省略しちゃった部分をフォローしますと、柳先生(大倉孝二)に打ち首を言い渡した「遠山の金さん」は、ワンコ(多部未華子)の下宿先のお爺ちゃん(上田耕一)のご先祖様です。

TVシリーズでワンコが、ヤクザ事務所に単独で乗り込み窮地に陥った際、このお爺ちゃんが肩の入れ墨を見せただけでヤクザどもがひれ伏し、救われたんですよね。それ以前から「お爺ちゃん、何者!?」とワンコに言わしめて来た、謎の多い爺さんだったのですが、ここに来て遂に、その正体が明かされたワケです。遠山の金さんの血を引くんだから、現代においてもヤクザどもがひれ伏すのは当然です。>そうか?w

それと、江戸時代のヤナさん=柳先生はデブ専ではなく、男ヤモメで女性には興味が無さそうな、生真面目人間です。現代とは逆に、お琴(渡辺直美)の方が柳先生に惚れており、ふくよかな彼女の存在が今後、先生を狂わせ、変態の道へと導くものと思われますw


☆トモロヲ。

さて、黄門様(伊東四朗)の顔パスで江戸城に乗り込んだワンコは、いよいよ将軍・徳川綱吉と対面します。レギュラーキャストはほぼ出尽くした筈で、じゃあ綱吉は一体、誰のご先祖様なのか?

「はっ、田村さん!」

「ん?」

そこでCMに入るタイミングが絶妙でしたねw gonbeさんも書かれてた通り、ここが一番『デカワンコ』ファンの意表を突き、かつ納得させる爆笑ポイントであったと思います。

現代の田村さん(田口トモロヲ)は鑑識課の警察犬係で、人間よりも犬と心を通わせてるように見える、素朴で不器用な人です。考えてみれば、綱吉の子孫として彼ほど相応しい人はいないんだけど、何しろ地味なポジションなもんで忘れてましたw

会ってみると綱吉将軍も、田村さんそのまんまの素朴なお人柄。動物たちが世間で虐待されてると聞いて胸を痛め、イジメないようお触れを出しただけの事だったのに、役人達がそれを利用して町民達を虐待してた、というのが真相のようです。

綱吉の想いは、町民に伝わっていない。「片思い……恋と同じですね」と言うワンコは、その誤解を早く解くよう将軍様にアドバイスw この場面では更にワンコのライバル警察犬・ミハイルやレティシアのご先祖様も登場しますが、説明が面倒臭いのでカットしますw

と、そこでワンコのケータイが鳴ります。現代のキリ(手越祐也)と、なぜか電話が通じちゃうのですが、ワンコのケータイが濡れてたのは、何か意味があるんでしょうか? ワンコは、セーヌ川に落ちてタイムスリップした?

「はっ、寝てました!」

↑お約束セリフの一つですw ワンコが目覚めると、そこは東京へと帰る飛行機の座席でした。ま、まさかの夢オチ!?

多部ちゃんが出た番宣の一つで、日テレの馬鹿アナウンサーが「まさか夢オチじゃないでしょうね?」なんて馬鹿なコメントをしてました。ほんと馬鹿ですよね、勉強ばっかりしてた輩は。ばーか。

『デカワンコ』なら夢オチぐらい平気でやっちゃう事を、司会者なら承知してなきゃ駄目でしょう? いや、どんな番組であろうと、勝手にオチを予想するなど不粋にも程があります。馬鹿! 乳毛!


☆おなじみの刑事部屋。

「なに? 江戸時代とな?」

まだ時代劇気分が抜けてない、現代の門真ボス(升 毅)w 13係メンバーは誰も信じようとしませんが、ワンコが「夢じゃありません!」と主張してる以上、あながち夢オチとは限らないのかも知れません。

でも、私は「夢だった」に一票入れたいです。ギリギリ最低限のリアリティーは守る。それが『デカワンコ』の面白さを支えてると思うので。クドカンさんあたりの卑怯な「何でもアリ」とは違うんです。

パリに置いてけぼりだったヤナさんも無事帰国し、連ドラ主演で忙しいシゲさん(沢村一樹)以外は13係全員集合です。

でも結局、連続殺人事件は既に解決済みで、新たに発生した事件も、駆け付けたと同時に所轄が解決w 本庁の刑事達には実際、こういう事も起こり得るんでしょうね。

この出動場面で流れたのが、連ドラ『デカワンコ』のOPテーマ「太陽にほえろ!メインテーマ'97リミックス・駄馬編」です。「♪ダバダ、ダバダ」と唄うから駄馬。

今回のスペシャルで新録音されたフレンチ編や三味線編にも鳥肌が立ちましたが、この駄馬編=スキャットバージョンを初めて聴いた時の衝撃には及びません。そんな発想の大胆さが、まさに『デカワンコ』という番組を象徴してると思います。

この出動場面で、刑事達が横一列になって歩くのを背後から、横移動のカメラで捉えたショットは、たぶん映画『ニキータ』あたりから流行りだしたスタイリッシュな撮り方で、格好良かったですね。

でも、その格好良さが10秒と続かないのが『デカワンコ』たる所以です。前回も書きました通り、刑事ドラマらしい描写は江戸時代パートでやり尽くしましたから、もう捜査はいいでしょうって事ですね。

それにしても、警察犬のミハイルまで恋に落ちた様子なのに、ワンコは結局、人のお節介に駆け回るばかり。ワンコよ、君は玉木つばさか?

「恋かぁ……」

今回の視聴率は、かろうじて2ケタに乗った程度だそうで、『デカワンコ』の人気と実力からすると、不本意な数字と言わざるを得ません。

私はふと思ったのですが、レティシア=1回きりのゲストの恋だけじゃなくて、ワンコとキリの間にも少しぐらい「この二人、もしかして……」って思わせる描写があれば、メイン視聴者である少女層の興味をもっと引いて、数字は上がったんじゃないでしょうか?

それがワンコと来たら「ドキドキ!」とか言ってた割に、目の前にいる異性にはまるで興味なし。原作のワンコはずっとキリに片思いしてると言うのに!

でも、それが多部未華子のワンコなんですよね。多部ちゃんのワンコは、視聴率の為に恋などしない。加乃子や秀樹が大衆向けの「模範的な善人」になっちゃったら『つばさ』が『つばさ』でなくなっちゃうのと同じで、こんな一子だからこそ『デカワンコ』なんです。

だから、数字は仕方がない。それで続編の可能性が微妙になったとしても、『デカワンコ』を愛する我々は、本望と思うべきでしょう。


☆ビバ! 浅草。

ワンコは愛犬・パトラッシュの散歩中に、レティシアと再会します。彼女を下宿先の家に連れて帰ると、元警視総監の松田さんが遊びに来てました。

「はっ、黄門様!?」

「肛門?」

↑絶対、そう言ってますよねw この家にはワンコの同僚達のみならず、退職したとは言え警視総監まで遊びに来る。アットホームな警察にも程がありますw

松田さん情報によると、第1話で逮捕された後、汚職の全貌を解明する為に脱走までしちゃったガラさん(佐野史郎)は、裁判員裁判で懲役10年の判決を受けて、現在は長野刑務所に服役中とのこと。

その頃、ガラさんが佇む格子窓の外は寒々とした吹雪で、見る毎に状況が悲惨になってるワケですがw、松田さん曰く「模範囚」との事で、他の囚人達に習字を教えたりなんかして、文字通り「模範」を示してるのが可笑しいですw

そもそもガラさんが捕まっちゃう設定って、演じる佐野史郎さんが忙しくて毎回出演出来なかった事情による苦肉の策だったんじゃないか?と想像するのですが(お陰で素晴らしい第1話になりました)、まさか長野刑務所にまで行く羽目になるとは、佐野さんはもちろん、脚本の伴さんも当初は思ってなかった事でしょうw

さて、久々にピンク一色なワンコの部屋が登場しました。普通の感覚なら落ち着かない空間である筈なのに、我々はなぜか癒されますよね。招かれたレティシアも「カワイイ!」を連発します。

パリでは結局、恋人の「シゲ」に会えずじまいだったレティシア。シゲは電話にも出ない(沢村さんのシゲもそうだったから、もはや我々も同一人物だと確信しちゃってます)ゆえに、レティシアはたまらず日本まで会いに来たのでした。

「そっか……恋のつばさで、飛んで来たんだぁ」

「シゲのつばさ、折れてる……」

創り手も、ワンコの玉木つばさ化を意識してたのでしょうか?w

署に出勤しても、レティシアの恋を想って、ワンコはため息をつきます。「ワンコ、どういう人なんだ?」と、チャンコ先輩(石塚英彦)。ワンコ自身が恋してるものと同僚達が思い込むのはお約束ですが、刑事部屋でそれをやっちゃうドラマは珍しい。ええ職場やなぁ……


☆ローマの休日。

ワンコはパリ案内のお返しに、レティシアを浅草観光に連れ出しますが、彼女を追う謎の外人コンビの存在に気づきます。『ローマの休日』を御覧になった方なら、先の展開はミエミエですね。

そんな折りに、沢村シゲさんがようやく主演ドラマを片付けて帰国。ワンコはシゲさんに詰め寄ります。

「レティシアのこと、どうするつもりですか?」

「え? もちろん、幸せにするつもりです」

こうなったらどう見たって、このシゲとあのシゲは同一人物。ワンコは二人を会わせようとしますが、レティシアは例の外人コンビに拉致された模様。匂いを追うワンコ!

行き着いた先は「モナカ公国」の大使館。お察しの通り、レティシアはその王様の一人娘=次期王女様なのでした。

彼女には、親が決めたフィアンセがいる。シゲと結婚したいけど、彼にその気が無いなら仕方がない。でもせめて、最後にもう一度会いたい。そんなレティシアの願いを叶える為、ワンコは大使館を抜け出し、日本の「恋人たちの橋」=浅草・桜橋へと向かいます。


☆ロミオとジュリエット(オリビア・ハッセー版w)

レティシアに呼び出され、やって来た……と思われた沢村シゲさんは、橋を素通りしちゃいます。入れ違いに現れた板前風の男こそが、レティシアの恋人・茂なのでした。

こっちのシゲさんが会いに来たのは、もう一人の小さなレティシア。シゲさんと、別れたフランス人の妻との間に出来た娘が、たまたまモナカ王女と同じ名前だったのでした。ちゃんちゃん!

後日、モナカ王室が婚約会見を開き、その模様をテレビで13係の面々が見守ります。フィアンセのお披露目と見せかけて、茂さんとの結婚許可をサプライズ発表する、粋なモナカ国王。さすが外人w 日本人がやるとクッサイですよ、きっと。

驚き、感激したレティシアは、TVカメラを通して視聴者に語り掛けます。

「私、恋、ダメそうになった時、励ましてくれました。勇気をくれました。メルシー、ワンコ。ありがとう、ワンコ!」

王道の展開ながら、外人さんが演じるとサマになりますから、素直に泣けて来ます。

「恋の匂いがします!」

毎回恒例のワンコの決め台詞ですが、ヤナさんが真似して気持ち悪かったですねw

そんなワケで、恋をテーマに徹頭徹尾、ユル~く楽しかった新春スペシャルですが、ドラマとしては物足りなさを感じたのが正直なところ。

それは事件が起きる起きないの問題じゃなくて、前述の通りゲストキャラの恋がメインであった為、ワンコ自身のドラマが見られなかったせいだと私は思います。

『つばさ』で言えば、伸子さん夫妻や宇津木さん夫妻のエピソードみたいなもんで、ヒロインは傍観者の立場でしかなく、その行動が単なるお節介にしか見えないんですよね。

でも、そんな事は創り手の皆さんも先刻承知の上で、お正月なんだから『新春スターかくし芸大会』のノリで行こうよ!って事だったんだろうと思います。

フジテレビ系列で毎年やってたあの番組、いつの間にか無くなったんですね。やっててもたぶん観ないけどw、ちょっと淋しい気はします。

日テレでも一時期、番組対抗かくし芸大会みたいなのを正月にやってましたけど、もし今も存在したら『デカワンコ』の出し物はまさに、この新春スペシャルみたいな内容になった事でしょう。

だから、これで大正解。『デカワンコ』ファンにとって、最高に贅沢なお年玉でした。本当に楽しかったです。

メルシー、デカワンコ!


☆PS. 私がこのレビューを書いたのは7年前の2012年。今だから正直に言いますが、この『デカワンコ新春SP』はイマイチでしたねw かつて『あぶない刑事』の続編がそうだったように、ハメを外し過ぎてやり過ぎて、番組本来の面白さを創り手自身が見失ってるように思います。

そう感じながらも認めようとせず、これは絶対に面白いんだ!って自分に言い聞かせながらレビューを書いてた当時の自分自身が、今となってはチョー恥ずかしいですw

多部ちゃんの芝居も連ドラシリーズの時と若干違ってましたからね。1年弱のブランクがあり、その間に忘れちゃったキャラを無理して思い出しながら「作ってる」感じがしました。もしかするとプライベートにおける女性としての成長も影響してたりして。

つまり、同じスタッフ&キャストが創っても、ちょっとタイミングがズレると微妙に違った作品になっちゃう。『デカワンコ』は2011年こそが旬だった……のかも?

単純に2時間かけて描くようなストーリーじゃないだけのような気もするけどw、とにかく正直な感想を今、ここで初めて告白させて頂きました。『デカワンコ新春SP』は、明らかにスベってますw
 

 

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