1977年に公開された、深作欣二監督による東映製作の日本映画です。『キイハンター』を初めて観て無性にこれも観たくなり、DVDをレンタルしました。
以前ご紹介した刑事ドラマ『爆走!ドーベルマン刑事』と同じく、武論尊&平松伸二による原作劇画とは似ても似つかぬ内容ですw
それはもう、観る前から分かってました。なにしろ千葉真一さんが主演で深作欣二さんが監督なんだから、原作通りになるワケがないw
主人公=加納錠治の見た目がまず程遠い。原作の加納は『俺たちの勲章』の松田優作さんをモデルにしたシャープな造形で、千葉さんにせよテレビ版の黒沢年男さんにせよ、顔が濃過ぎるし体型が違い過ぎるw
映画版の加納は沖縄県警から遠征して来た刑事で方言丸出し、しかもなぜか豚を連れてる設定でw、ハナから原作に似せる気などありゃしない。(イーストウッド御大の『マンハッタン無宿』あたりがモチーフ?)
しかも、石垣島から上京したまま行方不明の幼なじみ(ジャネット八田)を故郷に連れ戻すのが加納の目的で、ポスターに記載されたキャッチコピー通り「事件を追ってきたんじゃない」んですよね。
44マグナムは使うけどスーパー・ブラックホークじゃなくS&W(しかも成り行きで入手した借り物)だし、加納以外の原作キャラクターはいっさい登場しないし、ここまでかけ離れたら原作者も文句を言う気にならないでしょうw
だから、これは原作をいっさい忘れて、ソニー千葉が大都会を舞台に大暴れするカラテ・アクション映画として、また実録ヤクザ路線で慣らした深作監督が撮った珍しい刑事物として楽しむのが正しい観賞法。
脇を固めるキャストも松方弘樹さんはじめ、岩城滉一さん、室田日出男さん、川谷拓三さん、藤岡重慶さんetc…と、ヤクザみたいな人ばっかりですw(皆さん後に刑事役もやられてますが)
当時、劇画を描かれた平松伸二さんが撮影見学された際、天下の原作者に向かって放たれた千葉さんのコメントが「ボクなんかより松田優作くんの方が合ってるんじゃない?」w、深作監督のコメントが「この次に撮る『柳生一族の陰謀』が面白くなりそうなんだよ!」だったというw、実に微笑ましいエピソードがWikipediaに記載されてます。当時のプログラムピクチャーって、そういうノリなんですよね。肩肘張らない、徹底して娯楽なんです。だから細かいことを気にしても仕方がない。
そう思って割りきれば、千葉さんのアクションやコミカルな持ち味も存分に堪能できるし、やたらハイテンポ&ハイテンションな深作演出や、ジャネット八田さんのヌードなど見どころは満載です。
私はあらためて、千葉真一さんのカリスマ性に見惚れました。ストーリーを度外視しても、千葉さんの演技とアクションを観てるだけで楽しく、飽きることが無いんですよね。
ブルース・リーやジャッキー・チェン、タランティーノ監督や関根勤さん等が千葉さんに魅了され、影響を受けられた理由が、今更だけどよく解りました。
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