goo blog サービス終了のお知らせ 

ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『チョコレート・ファイター』

2021-01-25 20:25:04 | 外国映画










 
リー御大の次はやっぱりジャッキーで……って思ったけど、それじゃ順当すぎてつまんないから、意表を突いて今回はこれを蔵出し。私が所有する唯一のタイ映画DVD、プラッチャヤー・ピンゲーオ監督による2008年公開の作品です。

主演はジージャー・ヤーニン、撮影当時23歳ぐらいの可愛い女の子! そしてどういうワケか阿部寛さんもご登場、ナレーションまで担当されてますw

タイの凶悪マフィアのボス=ナンバー8(ポンパット・ワチラバンジョン)の女であるジン(アマラー・シリポン)が、よりによって日本ヤクザの阿部ちゃんと恋に落ちたもんだからさぁ大変!

当然、激怒したナンバー8に命を狙われた阿部ちゃんは急きょ日本に逃亡。残されたジンは阿部ちゃんとチョメチョメして出来た娘=ゼン(ジージャー)を密かに育てるも、大病を患って倒れちゃう。

ゼンはお母さんの治療費を工面するため、かつて母から借金し踏み倒したロクデナシどもを「取り立て」に回り、抵抗する輩を片っ端からフルボッコにしていくのでした。

こんな小柄な女の子がなぜそんなに強いのか? 本作はちゃんとその理由も描いてくれます。ゼンは生まれながらに脳の発達障害を患っており、その代償として「眼で見た体術を一瞬で習得できる」特殊能力を備えてる。

なんと彼女は、テレビで放映されてるカンフー映画を片っ端から観て強くなった! そこで当初はブルース・リー御大の映像を使う予定が著作権の問題で不可となり、監督はやむなく自作『マッハ!!!!!!!!』('03) からトニー・ジャーの映像を流用したんだとか。つまり本来、ゼンの師匠はリー御大だった!

この設定にリアリティーがあるかどうかはともかく、何も無いよりは断然いい。お陰ですんなり感情移入できますから、全てのアクションに説得力がある。燃えます。めちゃくちゃ燃えます!

いや、こんな小柄な女の子が超人的なカンフー技(マーシャルアーツ? ムエタイ?)を見せてくれるだけでも鳥肌もんで、自然と涙が出て来ちゃう。

『キック・アス』('10) におけるヒットガール(クロエ・グレース・モレッツ)の超絶アクションにも興奮したけど、先にジージャーのアクションを観ちゃったもんで驚きはしませんでした。

それだけジージャーの動きは凄い! そのスピードと精確さはブルース・リー御大にも決して負けてない!(私みたいな素人の眼から見ればだけど)

なぜそんなに凄いのかと言えば、ピンゲーオ監督はジージャーが高校生の頃から眼をつけ、4年間みっちり鍛え上げてから撮影に入ってる。その撮影にも丸1年ぐらいの歳月をかけてる。

同じガールズアクション物でも、主演女優を2~3回だけアクション塾に通わせ、たった10日ほどで撮っちゃう日本映画とは環境レベルに雲泥の差がある。そもそも打撃技から高所落下まで何もかも「ガチで」本人にやらせちゃうタイや香港の映画界と、タレント(で得られる収益)を守ることしか頭にない日本の芸能界とじゃ比較にならないワケです。

水野美紀さんや清野菜名さんがいくら動けても、それを活かせる機会がほとんど無い。あったとしても活かしきれる環境が無い。映画『百円の恋』でボクサーに扮した安藤サクラさんも悔しがっておられました。小太りからボクサー体型になるまでの減量過程をたった10日で撮るって、そんな馬鹿げたことやってるのは世界を見渡しても日本だけじゃないですか?

海外のアクション映画を観るたび、そんな我が国の現状を嘆かずにはいられません。もうちょいホント、なんとかならんものか?

だけどそのお陰で、女の子がこれだけ凄いアクションを見せてくれる事実だけで、私は心底感動しちゃう。ほんと有難いことです。(皮肉ですよ!)

『マッハ!!!!!!!!』のトニー・ジャーも確かに凄いけど、カリスマ性じゃリー御大に遠く及ばない。その点『チョコレート・ファイター』当時のジージャーには「可憐さ」という強力な武器がありますから、もしかするとリー御大に太刀打ち出来た唯一の存在と言えるかも?

百聞は一見に如かず、未見の方は是非ご覧下さい。格闘技にそれほど興味なくとも、ジージャーの凄絶アクションには鳥肌&感涙を保証します。以降にもいくつか出演作があるけど、やっぱ一番若い時の本作がオススメ。

少々血なまぐさいシーンもありますが、あとで存分に燃えるための布石ですからそこは我慢。それよりラストのNG集&メイキングの方がよっぽど血なまぐさいしw(絶対、死人でてますw)

当然、主役のジージャーが誰よりも満身創痍。そこまでやるからこその鳥肌&感涙です。日本映画でそんな涙を流したことは一度も無いし、今後もたぶん死ぬまで無いでしょう。

カワイイは最強!とはまさに『チョコレート・ファイター』のこと。これはホント、必見です!


 


コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『燃えよドラゴン』 | トップ | 『レッドアイズ/監視捜査班... »

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (over-the-magic)
2021-01-26 12:45:21
この前見た映画で志穂美悦子さんという方がかなりキレキレでしたが。
今や隔世の感でしょうかね。

最近は草食系男子なんて言いますが、女子も相当ナヨナヨしてる気が。
アトミックブロンドの撮影のために体を鍛えたシャーリーズセロンは、筋トレ中に踏ん張り過ぎて歯が砕けたとか。

さすがにそこまでは求めませんがw
もう少し根性のある役者さんや製作が日本にいればなぁとは思います。
返信する
Unknown (harrison2018)
2021-01-26 17:33:26
日本で「アクション女優」として成功されたのは志穂美さんだけかと思います。その志穂美さんすら文芸路線に転向されて行きましたから、業界にアクション物を見下す風潮が昔から根強くあるんでしょうね。

同じぐらい動ける女優さんが今も何人かおられるのに、メジャーになればなるほどアクションから遠ざかっちゃう。ご本人はヤル気満々でも所属事務所が怪我やイメージ低下を恐れてやらせない。アカデミー女優になった後でアクションをバリバリやっちゃうシャーリーズとか、海外とは温度差があまりに違い過ぎてホント哀しくなります。
返信する
Unknown (gonbe5515)
2021-01-26 18:59:47
早速DISCASのリストの上位に設定させていただきました。ハリソン君に教えていただいた『キックアス』の再来のような気がします。

・・・・“血なまぐさい”部分に不安はあるのですが、我慢します。
返信する
Unknown (harrison2018)
2021-01-26 21:54:09
アジア映画ならではの暗さがあるので『キック・アス』ほどの爽快感は無いけれど、それを差し引いてもジージャーのアクション……というより「技」は一見の価値充分にアリと思います。

そう、アクション映画の『キック・アス』と、格闘技映画の『チョコレート・ファイター』。その違いはあるかも知れません。
返信する
Unknown (gonbe5515)
2021-02-08 07:30:54
観ました!

『チョコレートファイター』とてもとても楽しく面白く、胸震わせて鑑賞させていただきました。ハリソン君には感謝感謝です。ほんとうにここで教えてもらわなければ私絶対この映画との接点を得ることが出来なかったと思うのです。

>少々血なまぐさいシーンもありますが、あとで存分に燃えるための布石ですからそこは我慢。

この部分は、血が苦手な私に向けての励ましの言葉と理解できました。お心遣いありがとうございます。おかげさまでなんとか我慢できました。

アクション映画と格闘技映画の違いを指摘された意味もようくわかりました。この二つは似て非なるものですね。

それにしてもいい映画だった。

とにもかくにも、その感動を記事にするつもりです。まあ、観たまんまの文章になるにちがいないのですが・・・。
返信する
Unknown (harrison2018)
2021-02-08 09:34:54
発達障害っていう理由づけや、母子家庭でお母さんが病気っていう設定の妙もさることながら、やっぱり何と言ってもジージャーの格闘技が本物!であることに我々は胸を震わせちゃうんだと思います。その背景に血が滲む(どころか流血の日々だったであろう)鍛練の重さを感じるから。演技がどうこうの問題じゃないですよね。

あと、『ルート225』のダイゴやマッチョを彷彿させる、あの相棒のキャラをきっとgonbeさんは気に入られるだろうと思ってました。記事では省略しちゃったけど、彼による癒し効果もなにげに大きかったですよね。ホントよく出来た映画です。
返信する

コメントを投稿